41 / 70
第5章 町の名はニスカ。ナスカじゃないです。
5-1 良い知らせと悪い知らせです。
しおりを挟む
んっ? 俺また寝ていたんだ。目を開くと、手が届きそうなほど近くに星空があった。……何て綺麗なんだろう。数多の星に吸い込まれそうだ。……って、詩人気分で酔っている場合じゃない! んーと、ソリエリのサロンでの演奏会で、ムーツァルトを退治して、それからリナンだ。仕返しだとか何とか、リナンに頭から悪魔のスライムをかけられたんだ。
んっ? あれ? ない。顔を両手で触りまくってみたけど、スライムはもうどこにも付いていない。って事は、もうワィーンじゃないって事ですね。……で、ここはどこだ? 周りを見回しても何もないじゃないか!
ぶるっ。あ、ハル君。……いつもグッドでナイスなタイミングでありがとう。
(店長、良い知らせと、悪い知らせがあります)
えっ? いきなりどう言う事でしょう?……良い知らせって何だ? 悪い知らせって何だ?
(ハル君、もう俺、ワィーンにはいないよね?)
何だか核心に触れるのは怖い。悪い知らせなんか絶対に聞きたくないし。
(そうですよ。もうワィーンにはいません。で? 良い知らせと、悪い知らせ、どっちから聞きます?)
あっ、話を戻された。
(あのぅ、ハル君。良い知らせだけ聞くのは可能でしょうか?)
(お知らせなんでダメですよ。ちゃんと店長に伝えるよう頼まれたんで)
どう言う事? 誰に頼まれたの? あー、耳を塞いでいたい。でも、どっちのお知らせも聞かないといけない事は分かっている。ハル君には逆らえないんだし。……んー。先に良い知らせを聞いて、後から悪い知らせを聞けば、どん底に落ちたまんま、もう立ち上がれなくなるかもしれない。先に悪い知らせを聞いても、その後で良い知らせを聞けば、少しは救いがあるかも。うん、そうだ。これは先に悪い知らせを聞くのが、正解じゃないだろうか。
(で、どっちですか? 俺も暇じゃないんで、早く決めてください)
(あ、ごめんなさい。じゃあ、悪い知らせからお願いします)
あー、怖い。悪い知らせって何だ? ハル君は何を言い出すんだ?
(悪い知らせですね。えー、言い辛いんですが、美弥さんがお見合いされるそうです)
は? 美弥が見合い? 何で? 俺と言う彼氏が居るじゃないか。確かに今は側に居ないけど。訳が分からない。何でだ?
(来月、お見合いするそうです。店長に伝えてくれって、美弥さんが)
は? 美弥からの伝言って事なの? まだ黙って見合いされていた方が、何も考えなくて済んだのに、どうして伝言を? あーーー、もう訳が分からない。これは来月までに戻って、見合いを阻止するしかないのか?
(ハル君、俺って来月までに、そっちに戻れるのかな?)
(さぁ)
(さぁ、って。ハル君、何とかしてよ)
(まあまあまあ。何とかなるかもですよ。とりあえず良い知らせもあるんで、気を取り直してください。で、良い知らせと言うのは、何と!)
美弥の見合いを忘れられるくらい、良い事なんかあるとは思えない。
(何と、今回は店長が1番行きたがっていた所に、飛ばしてあげました。一生の思い出に楽しんでください。じゃあ、以上)
俺が一番行きたがっていた所? どこだ? 俺が今一番行きたいのは、美弥の所だけど、こんな何もない所に美弥がいるはずないし。
(それって、どこ?)
んー、1分経過、3分経過、5分経過。……未読ですか。いつもの事だから、慣れたと言えば慣れたけど。
誰かに聞きたいけど、人どころで何もないじゃないか。あるのは綺麗な星空だけ。美弥と一緒にこんな満天の星空見れたら、幸せだろうなぁ。あっ、美弥の事を考えていたら泣けてきた。んー、一か八か。
「……星空さーん、ここはどこですか?」
「…………………」
だよなぁ。星空に聞いても返ってくるはずないか。だけど聞く相手がいない。あるのはこの何もない大地だけだ。……ん? 大地? 一応聞いてみるか。
「あのぅ。大地さーん。ここはどこですかー?」
「……ニスカ」
何かぼそりと小さな声が返ってきた。
「大地さんのお名前はニスカさんですね」
「……そうだ」
また、ぼそりと一言だけ。
「あとここはどこの国ですかー?」
「……ポルー」
ポルー? いつものパターンにはめると、パルー、ピルー、プルー、ペルー。んっ? ペルーって事? 確かにハル君にいつか行きたいと、話した記憶がある。って事は、ニスカはナスカって事ですね。あの地上絵が描かれたナスカって事ですね。……これは確かにテンション上がる!
あ、でも……。美弥の見合いがチラッと過ぎって、両手を挙げて喜ぶのは難しい。あーー、こんな事なら、悪い知らせを後から聞いて、とことん落ち込んだ方が良かったかも。
んっ? あれ? ない。顔を両手で触りまくってみたけど、スライムはもうどこにも付いていない。って事は、もうワィーンじゃないって事ですね。……で、ここはどこだ? 周りを見回しても何もないじゃないか!
ぶるっ。あ、ハル君。……いつもグッドでナイスなタイミングでありがとう。
(店長、良い知らせと、悪い知らせがあります)
えっ? いきなりどう言う事でしょう?……良い知らせって何だ? 悪い知らせって何だ?
(ハル君、もう俺、ワィーンにはいないよね?)
何だか核心に触れるのは怖い。悪い知らせなんか絶対に聞きたくないし。
(そうですよ。もうワィーンにはいません。で? 良い知らせと、悪い知らせ、どっちから聞きます?)
あっ、話を戻された。
(あのぅ、ハル君。良い知らせだけ聞くのは可能でしょうか?)
(お知らせなんでダメですよ。ちゃんと店長に伝えるよう頼まれたんで)
どう言う事? 誰に頼まれたの? あー、耳を塞いでいたい。でも、どっちのお知らせも聞かないといけない事は分かっている。ハル君には逆らえないんだし。……んー。先に良い知らせを聞いて、後から悪い知らせを聞けば、どん底に落ちたまんま、もう立ち上がれなくなるかもしれない。先に悪い知らせを聞いても、その後で良い知らせを聞けば、少しは救いがあるかも。うん、そうだ。これは先に悪い知らせを聞くのが、正解じゃないだろうか。
(で、どっちですか? 俺も暇じゃないんで、早く決めてください)
(あ、ごめんなさい。じゃあ、悪い知らせからお願いします)
あー、怖い。悪い知らせって何だ? ハル君は何を言い出すんだ?
(悪い知らせですね。えー、言い辛いんですが、美弥さんがお見合いされるそうです)
は? 美弥が見合い? 何で? 俺と言う彼氏が居るじゃないか。確かに今は側に居ないけど。訳が分からない。何でだ?
(来月、お見合いするそうです。店長に伝えてくれって、美弥さんが)
は? 美弥からの伝言って事なの? まだ黙って見合いされていた方が、何も考えなくて済んだのに、どうして伝言を? あーーー、もう訳が分からない。これは来月までに戻って、見合いを阻止するしかないのか?
(ハル君、俺って来月までに、そっちに戻れるのかな?)
(さぁ)
(さぁ、って。ハル君、何とかしてよ)
(まあまあまあ。何とかなるかもですよ。とりあえず良い知らせもあるんで、気を取り直してください。で、良い知らせと言うのは、何と!)
美弥の見合いを忘れられるくらい、良い事なんかあるとは思えない。
(何と、今回は店長が1番行きたがっていた所に、飛ばしてあげました。一生の思い出に楽しんでください。じゃあ、以上)
俺が一番行きたがっていた所? どこだ? 俺が今一番行きたいのは、美弥の所だけど、こんな何もない所に美弥がいるはずないし。
(それって、どこ?)
んー、1分経過、3分経過、5分経過。……未読ですか。いつもの事だから、慣れたと言えば慣れたけど。
誰かに聞きたいけど、人どころで何もないじゃないか。あるのは綺麗な星空だけ。美弥と一緒にこんな満天の星空見れたら、幸せだろうなぁ。あっ、美弥の事を考えていたら泣けてきた。んー、一か八か。
「……星空さーん、ここはどこですか?」
「…………………」
だよなぁ。星空に聞いても返ってくるはずないか。だけど聞く相手がいない。あるのはこの何もない大地だけだ。……ん? 大地? 一応聞いてみるか。
「あのぅ。大地さーん。ここはどこですかー?」
「……ニスカ」
何かぼそりと小さな声が返ってきた。
「大地さんのお名前はニスカさんですね」
「……そうだ」
また、ぼそりと一言だけ。
「あとここはどこの国ですかー?」
「……ポルー」
ポルー? いつものパターンにはめると、パルー、ピルー、プルー、ペルー。んっ? ペルーって事? 確かにハル君にいつか行きたいと、話した記憶がある。って事は、ニスカはナスカって事ですね。あの地上絵が描かれたナスカって事ですね。……これは確かにテンション上がる!
あ、でも……。美弥の見合いがチラッと過ぎって、両手を挙げて喜ぶのは難しい。あーー、こんな事なら、悪い知らせを後から聞いて、とことん落ち込んだ方が良かったかも。
50
あなたにおすすめの小説
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる