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第5章 町の名はニスカ。ナスカじゃないです。
5-1 良い知らせと悪い知らせです。
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んっ? 俺また寝ていたんだ。目を開くと、手が届きそうなほど近くに星空があった。……何て綺麗なんだろう。数多の星に吸い込まれそうだ。……って、詩人気分で酔っている場合じゃない! んーと、ソリエリのサロンでの演奏会で、ムーツァルトを退治して、それからリナンだ。仕返しだとか何とか、リナンに頭から悪魔のスライムをかけられたんだ。
んっ? あれ? ない。顔を両手で触りまくってみたけど、スライムはもうどこにも付いていない。って事は、もうワィーンじゃないって事ですね。……で、ここはどこだ? 周りを見回しても何もないじゃないか!
ぶるっ。あ、ハル君。……いつもグッドでナイスなタイミングでありがとう。
(店長、良い知らせと、悪い知らせがあります)
えっ? いきなりどう言う事でしょう?……良い知らせって何だ? 悪い知らせって何だ?
(ハル君、もう俺、ワィーンにはいないよね?)
何だか核心に触れるのは怖い。悪い知らせなんか絶対に聞きたくないし。
(そうですよ。もうワィーンにはいません。で? 良い知らせと、悪い知らせ、どっちから聞きます?)
あっ、話を戻された。
(あのぅ、ハル君。良い知らせだけ聞くのは可能でしょうか?)
(お知らせなんでダメですよ。ちゃんと店長に伝えるよう頼まれたんで)
どう言う事? 誰に頼まれたの? あー、耳を塞いでいたい。でも、どっちのお知らせも聞かないといけない事は分かっている。ハル君には逆らえないんだし。……んー。先に良い知らせを聞いて、後から悪い知らせを聞けば、どん底に落ちたまんま、もう立ち上がれなくなるかもしれない。先に悪い知らせを聞いても、その後で良い知らせを聞けば、少しは救いがあるかも。うん、そうだ。これは先に悪い知らせを聞くのが、正解じゃないだろうか。
(で、どっちですか? 俺も暇じゃないんで、早く決めてください)
(あ、ごめんなさい。じゃあ、悪い知らせからお願いします)
あー、怖い。悪い知らせって何だ? ハル君は何を言い出すんだ?
(悪い知らせですね。えー、言い辛いんですが、美弥さんがお見合いされるそうです)
は? 美弥が見合い? 何で? 俺と言う彼氏が居るじゃないか。確かに今は側に居ないけど。訳が分からない。何でだ?
(来月、お見合いするそうです。店長に伝えてくれって、美弥さんが)
は? 美弥からの伝言って事なの? まだ黙って見合いされていた方が、何も考えなくて済んだのに、どうして伝言を? あーーー、もう訳が分からない。これは来月までに戻って、見合いを阻止するしかないのか?
(ハル君、俺って来月までに、そっちに戻れるのかな?)
(さぁ)
(さぁ、って。ハル君、何とかしてよ)
(まあまあまあ。何とかなるかもですよ。とりあえず良い知らせもあるんで、気を取り直してください。で、良い知らせと言うのは、何と!)
美弥の見合いを忘れられるくらい、良い事なんかあるとは思えない。
(何と、今回は店長が1番行きたがっていた所に、飛ばしてあげました。一生の思い出に楽しんでください。じゃあ、以上)
俺が一番行きたがっていた所? どこだ? 俺が今一番行きたいのは、美弥の所だけど、こんな何もない所に美弥がいるはずないし。
(それって、どこ?)
んー、1分経過、3分経過、5分経過。……未読ですか。いつもの事だから、慣れたと言えば慣れたけど。
誰かに聞きたいけど、人どころで何もないじゃないか。あるのは綺麗な星空だけ。美弥と一緒にこんな満天の星空見れたら、幸せだろうなぁ。あっ、美弥の事を考えていたら泣けてきた。んー、一か八か。
「……星空さーん、ここはどこですか?」
「…………………」
だよなぁ。星空に聞いても返ってくるはずないか。だけど聞く相手がいない。あるのはこの何もない大地だけだ。……ん? 大地? 一応聞いてみるか。
「あのぅ。大地さーん。ここはどこですかー?」
「……ニスカ」
何かぼそりと小さな声が返ってきた。
「大地さんのお名前はニスカさんですね」
「……そうだ」
また、ぼそりと一言だけ。
「あとここはどこの国ですかー?」
「……ポルー」
ポルー? いつものパターンにはめると、パルー、ピルー、プルー、ペルー。んっ? ペルーって事? 確かにハル君にいつか行きたいと、話した記憶がある。って事は、ニスカはナスカって事ですね。あの地上絵が描かれたナスカって事ですね。……これは確かにテンション上がる!
あ、でも……。美弥の見合いがチラッと過ぎって、両手を挙げて喜ぶのは難しい。あーー、こんな事なら、悪い知らせを後から聞いて、とことん落ち込んだ方が良かったかも。
んっ? あれ? ない。顔を両手で触りまくってみたけど、スライムはもうどこにも付いていない。って事は、もうワィーンじゃないって事ですね。……で、ここはどこだ? 周りを見回しても何もないじゃないか!
ぶるっ。あ、ハル君。……いつもグッドでナイスなタイミングでありがとう。
(店長、良い知らせと、悪い知らせがあります)
えっ? いきなりどう言う事でしょう?……良い知らせって何だ? 悪い知らせって何だ?
(ハル君、もう俺、ワィーンにはいないよね?)
何だか核心に触れるのは怖い。悪い知らせなんか絶対に聞きたくないし。
(そうですよ。もうワィーンにはいません。で? 良い知らせと、悪い知らせ、どっちから聞きます?)
あっ、話を戻された。
(あのぅ、ハル君。良い知らせだけ聞くのは可能でしょうか?)
(お知らせなんでダメですよ。ちゃんと店長に伝えるよう頼まれたんで)
どう言う事? 誰に頼まれたの? あー、耳を塞いでいたい。でも、どっちのお知らせも聞かないといけない事は分かっている。ハル君には逆らえないんだし。……んー。先に良い知らせを聞いて、後から悪い知らせを聞けば、どん底に落ちたまんま、もう立ち上がれなくなるかもしれない。先に悪い知らせを聞いても、その後で良い知らせを聞けば、少しは救いがあるかも。うん、そうだ。これは先に悪い知らせを聞くのが、正解じゃないだろうか。
(で、どっちですか? 俺も暇じゃないんで、早く決めてください)
(あ、ごめんなさい。じゃあ、悪い知らせからお願いします)
あー、怖い。悪い知らせって何だ? ハル君は何を言い出すんだ?
(悪い知らせですね。えー、言い辛いんですが、美弥さんがお見合いされるそうです)
は? 美弥が見合い? 何で? 俺と言う彼氏が居るじゃないか。確かに今は側に居ないけど。訳が分からない。何でだ?
(来月、お見合いするそうです。店長に伝えてくれって、美弥さんが)
は? 美弥からの伝言って事なの? まだ黙って見合いされていた方が、何も考えなくて済んだのに、どうして伝言を? あーーー、もう訳が分からない。これは来月までに戻って、見合いを阻止するしかないのか?
(ハル君、俺って来月までに、そっちに戻れるのかな?)
(さぁ)
(さぁ、って。ハル君、何とかしてよ)
(まあまあまあ。何とかなるかもですよ。とりあえず良い知らせもあるんで、気を取り直してください。で、良い知らせと言うのは、何と!)
美弥の見合いを忘れられるくらい、良い事なんかあるとは思えない。
(何と、今回は店長が1番行きたがっていた所に、飛ばしてあげました。一生の思い出に楽しんでください。じゃあ、以上)
俺が一番行きたがっていた所? どこだ? 俺が今一番行きたいのは、美弥の所だけど、こんな何もない所に美弥がいるはずないし。
(それって、どこ?)
んー、1分経過、3分経過、5分経過。……未読ですか。いつもの事だから、慣れたと言えば慣れたけど。
誰かに聞きたいけど、人どころで何もないじゃないか。あるのは綺麗な星空だけ。美弥と一緒にこんな満天の星空見れたら、幸せだろうなぁ。あっ、美弥の事を考えていたら泣けてきた。んー、一か八か。
「……星空さーん、ここはどこですか?」
「…………………」
だよなぁ。星空に聞いても返ってくるはずないか。だけど聞く相手がいない。あるのはこの何もない大地だけだ。……ん? 大地? 一応聞いてみるか。
「あのぅ。大地さーん。ここはどこですかー?」
「……ニスカ」
何かぼそりと小さな声が返ってきた。
「大地さんのお名前はニスカさんですね」
「……そうだ」
また、ぼそりと一言だけ。
「あとここはどこの国ですかー?」
「……ポルー」
ポルー? いつものパターンにはめると、パルー、ピルー、プルー、ペルー。んっ? ペルーって事? 確かにハル君にいつか行きたいと、話した記憶がある。って事は、ニスカはナスカって事ですね。あの地上絵が描かれたナスカって事ですね。……これは確かにテンション上がる!
あ、でも……。美弥の見合いがチラッと過ぎって、両手を挙げて喜ぶのは難しい。あーー、こんな事なら、悪い知らせを後から聞いて、とことん落ち込んだ方が良かったかも。
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