スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの

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第5章 町の名はニスカ。ナスカじゃないです。

5-8 地上絵を描くお手伝いです。

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 日の出前にマーペンに起こされはしたけど、目覚めは悪くなかった。まぁ、考えてみれば日没後すぐに寝ているんだから、10時間は寝ているはずだ。んー、すっきり。

「イスケ。太陽が顔を出したら行くからね。あ、これ食べて」

 マーペンが茹でたトウモロコシと芋を差し出してきた。朝食はユウキで何か買えばと思っていたけど、せっかくだからトウモロコシにかぶりつく。……んー、甘い。トウモロコシがこんなに甘いとは知らなかった。

「……おお、イスケよ。それでじゃ、ヤズラとの事は考えてくれたか?」

 朝一番で、あのブ◯イクなヤズラの顔を思い出さされ、不愉快になる。それにしてもナンローはしつこい。

「俺には嫁がいるんで、断ったはずですよ。そんな事より、今日から俺も絵を描くのを手伝いますから、さっさと行きましょう」

「分かった、分かった。イスケが無理なら、他にヤズラの結婚相手に良い男を知らんかのぅ?」

「いえ、知りません!」

 切実なのは理解出来るけど、ヤズラのあの顔だ。もし誰かに紹介しても、俺が恨まれるのは目に見えている。

「じぃちゃん。ヤズラおばさんの事は諦めた方がいいよ。それより早く行こうよ」

 マーペンは事情がよく分かっているようだ。ナンローはヤズラを美人だと紹介したけど、それは親の贔屓目ひいきめだ。マーペンの目にもきっとブ◯イクに映っているに違いない。

「分かったわい。ほれ、2人ともわしに掴まれ」

 はい、はい。また20kmを瞬間移動ですね。あー、この便利な能力、俺も欲しい。

「……着いたぞ」

 一瞬過ぎて、本当に何が何だか分からないけど、閉じた目を開けると、周りの景色が変わっていた。でもここは昨日の大地とは違う場所だ。目の前には大きな岩山だ。

「あの、ここは?」

「ここで採石するんじゃ。ここから石を運び出す。この石がないと絵は描けんからの」

 確かに昨日の大地は赤茶けた土地で、こんな白っぽい石は転がっていなかった。瞬間移動したから、どれくらいの距離かは分からないけど、この岩山から石を運び出すなんて、結構な作業じゃないか。

「……じぃちゃん。採ったから移動頼むよ」

 マーペンだ。……採った? ん? 確かにマーペンの両手には、幾つかの石が握られているけど。……たったのそれだけ?

「なぁ、マーペン。採ったって、今持ってる石の事?」

「そうだよ。ちょっと固そうな石があったから、それで岩山を叩いて、これだけ採れた」

 何だか、マーペンは自慢げな顔を見せてくるけど。それはない。そんな事をしてたら、いつ絵が完成するかは分からない。

「もしかして、1日に何度もここに石を採りに来るって事だよね」

「そうだけど。じぃちゃんがすぐに移動させてくれるから、問題ないよ」

 いや、そう言う問題じゃなく。要領が悪すぎ。しかもちょっと固い石で岩山を叩くって、原始的にも程がある。

「……なぁ、ナンロー。ナンローはどれだけ重い物持っても移動できるの?」

 採石はマーペンに任せ、腰掛けたナンローに聞く。

「当然じゃ。お前たち2人だけじゃなく、10人だって、20人だって移動させてやるさ」

 豪快に笑うナンロー。重量制限はないって事ですね。分かりました。……今日は売れ残りの在庫処分は出来ないけど、ユウキで仕入れさせていただきます。

 まずは石を運ぶためには……。そうだ! ユウキのエコバッグがいいんじゃないでしょうか。特大サイズなら65cm×80cmで、10kgの米袋が入るし、それに何と言っても丈夫なのがいい。……後は石を砕くツルハシとか、カナヅチとか? 後はシャベルか。

 とりあえずお買い物を開始しましょう。商売じゃないから見返りはないけど。でも在庫処分を気にせず買い物するのも、たまには悪くない。
 で、エコバッグ特大サイズ、5枚入りがあるから、まずはこれをポチッ。2,400円と。で、ツルハシが4,200円で、カナヅチ、780円のシャベルが2,980円。合計10,360円。……こんなところかな。
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