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第5章 町の名はニスカ。ナスカじゃないです。
5-9 続・地上絵を描くお手伝いです。
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さあ、準備は整った。……作業開始と。
「……マーペン。俺がこのツルハシで岩山を崩していくから、マーペンは石をこの袋に入れていってくれ。大き過ぎる岩はこのカナヅチで砕いてからで」
「うん。分かった」
あんまりこう言う力仕事は慣れていないけど、比較的、固くない石だから、俺でも何とかなりそうだ。
「石をこの袋に入れるだけなのか?」
ナンローがエコバッグを摘んでいる。
「そうだよ。その袋に入れて、一気に大量に石を運ぶんだ」
ナンローが転がる石を、チマチマと袋に投げ入れている。手伝ってくれるのはいいけど、やっぱり要領が悪い。んーーー。
「……ナンローはちょっと休んでてください。手を借りる時、また声かけます。で、マーペンは袋に入れるのは後にして、とりあえずカナヅチで石を砕いていって」
「うん。分かった」
コン、コン、コンッ。コン、コン……。
マーペンがカナヅチを下ろす音を背中に聞きながら、ツルハシを下ろし続ける。……うん。充分な量だ。気がつけば大きな岩がゴロゴロしていた。マーペンの前にも砕いた石の山だ。
大きな岩に更にツルハシを下ろして、マーペンが叩き易いように小さくしていく。
コン、コン、コンッ。
「終わったー! 岩を叩いて小さな石にしたよ!」
額の汗を拭いながらも、マーペンはとびきりの笑顔を見せてくれる。
「んじゃ、ナンロー手伝って。で、マーペンと2人でエコバッグの口が広がるように持って」
「こうか?」
「ああ、それでいい」
シャベルを手に、マーペンが作った石の山をすくい取って、一気にエコバッグに流し込む。
「こんな感じ。……マーペン、やってみるか?」
「うん」
「ナンロー、1人でも袋を持てるだろ?」
「もちろんじゃ。これくらい何ともないわい!」
マーペンとナンロー、作業する2人の姿を眺める。本当なら、ナンローからその息子、マーペンの父親へ。そしてマーペンの父親から、マーペンへと引き継がれるべきだけど、マーペンの父親はもういない。それでもマーペンには引き継ごうとする意志が見える。……まだまだ小さいけど、マーペンは偉いな。何だか父親になった気分だ。
ぶるっ。何でこのタイミングでハル君?
(店長、父親にはなれませんよ。まず結婚しなきゃ)
(そんなの分かってます。でも美弥とはもう無理かもだから、まずは彼女作らないと)
(あ、言うの忘れてました。美弥さん、お見合い断ったらしいですよ)
えっ! LINEの文字を何度も読み返す。見合いを断った? おっしゃー!! まだまだ俺にも望みが充分にあるじゃぁ、ありませんか!
「イスケ。袋が全部いっぱいになったよ」
「オーケー。んじゃ、俺達と袋と、あ、シャベルも。全部まとめて移動させてくれよ。……ナンロー頼んだ」
「おー、おー。分かった。だが、わしを掴んでくれないと、移動出来んのじゃ」
んー。エコバッグが5袋。手に持ったら、ナンローを掴めない。んー。仕方ない。これは無駄遣いじゃない。マーペンのためだ。マーペンが一人前になって、ナンローの、父さんの跡を継ぐための投資だ。
軽量手押し台車"マグネ300"13,800円をポチッと。……普通の手押し台車だとは思わないでいただきたい! マグネシウム合金を使用して、軽量化を図りながらも、耐荷重300kgと言う、優れ物なんです。親父の、結城権介の幼馴染み、山田社長の会社で開発されたと言うのもあって、親父が大量に仕入れちゃいました。……もちろん手押し台車に、軽量や耐荷重を求めてる人なんて多くもなく、売れ残りまっしぐらな代物なんです。はい。
って、事で、今日は親父に協力です。
「マーペン。袋を全部この台車に積むぞ」
「うん、分かった」
袋に詰めた石が全部で何キロあるかは、知らないけど。余裕です。はい。
「ナンロー。これで大丈夫だろ?」
「ああ、問題ない」
左手にシャベルを持ち、右手でナンローを掴む。マーペンは左手でナンローを掴み、右手で台車に手を掛けている。……で、目を閉じて。
「着いたぞ」
目を開けると。はい。瞬間移動完了。んー、やっぱり羨ましい。俺も自力で瞬間移動したい。
「なぁ、マーペン。ナンローが居なかったら、移動はやっぱり歩いてなのか?」
「えっ? 何でわざわざ歩かないよ。僕もじぃちゃんみたいに移動出来るし」
「えっ? そうなの?」
「まだダメじゃぞ! マーペン」
「分かっているよ。まだ1人では移動しないから。……まだ俺の力は弱くて不安定なんだ。だからたまに思ってもいない所に移動してしまうんだ。まだまだ練習しないと」
あ、瞬間移動って、練習が必要な能力なんですね。んじゃ、なくていいか。練習は面倒だし。
「……それで、イスケ。後は石を並べていけばいいよね?」
マーペンがエコバッグから石を一つ取り出している。
「そんなチマチマとじゃ、ダメ。どこに並べるんだ?」
「あ、この線と線の間だよ」
「分かった」
シャベルで石をすくい上げ、線の間に放り出していく。……線からはみ出た部分だけ、後で手で調整すればいい。
「すごい! あっと言う間に石が並んでいくね」
マーペンが目を輝かせている。ツルハシもカナヅチもシャベルも、エコバッグだって全部単純な道具だけど、今まで自分の手しか使ってきていないマーペンにとっては魔法の道具なのかもしれない。
「……マーペン。俺がこのツルハシで岩山を崩していくから、マーペンは石をこの袋に入れていってくれ。大き過ぎる岩はこのカナヅチで砕いてからで」
「うん。分かった」
あんまりこう言う力仕事は慣れていないけど、比較的、固くない石だから、俺でも何とかなりそうだ。
「石をこの袋に入れるだけなのか?」
ナンローがエコバッグを摘んでいる。
「そうだよ。その袋に入れて、一気に大量に石を運ぶんだ」
ナンローが転がる石を、チマチマと袋に投げ入れている。手伝ってくれるのはいいけど、やっぱり要領が悪い。んーーー。
「……ナンローはちょっと休んでてください。手を借りる時、また声かけます。で、マーペンは袋に入れるのは後にして、とりあえずカナヅチで石を砕いていって」
「うん。分かった」
コン、コン、コンッ。コン、コン……。
マーペンがカナヅチを下ろす音を背中に聞きながら、ツルハシを下ろし続ける。……うん。充分な量だ。気がつけば大きな岩がゴロゴロしていた。マーペンの前にも砕いた石の山だ。
大きな岩に更にツルハシを下ろして、マーペンが叩き易いように小さくしていく。
コン、コン、コンッ。
「終わったー! 岩を叩いて小さな石にしたよ!」
額の汗を拭いながらも、マーペンはとびきりの笑顔を見せてくれる。
「んじゃ、ナンロー手伝って。で、マーペンと2人でエコバッグの口が広がるように持って」
「こうか?」
「ああ、それでいい」
シャベルを手に、マーペンが作った石の山をすくい取って、一気にエコバッグに流し込む。
「こんな感じ。……マーペン、やってみるか?」
「うん」
「ナンロー、1人でも袋を持てるだろ?」
「もちろんじゃ。これくらい何ともないわい!」
マーペンとナンロー、作業する2人の姿を眺める。本当なら、ナンローからその息子、マーペンの父親へ。そしてマーペンの父親から、マーペンへと引き継がれるべきだけど、マーペンの父親はもういない。それでもマーペンには引き継ごうとする意志が見える。……まだまだ小さいけど、マーペンは偉いな。何だか父親になった気分だ。
ぶるっ。何でこのタイミングでハル君?
(店長、父親にはなれませんよ。まず結婚しなきゃ)
(そんなの分かってます。でも美弥とはもう無理かもだから、まずは彼女作らないと)
(あ、言うの忘れてました。美弥さん、お見合い断ったらしいですよ)
えっ! LINEの文字を何度も読み返す。見合いを断った? おっしゃー!! まだまだ俺にも望みが充分にあるじゃぁ、ありませんか!
「イスケ。袋が全部いっぱいになったよ」
「オーケー。んじゃ、俺達と袋と、あ、シャベルも。全部まとめて移動させてくれよ。……ナンロー頼んだ」
「おー、おー。分かった。だが、わしを掴んでくれないと、移動出来んのじゃ」
んー。エコバッグが5袋。手に持ったら、ナンローを掴めない。んー。仕方ない。これは無駄遣いじゃない。マーペンのためだ。マーペンが一人前になって、ナンローの、父さんの跡を継ぐための投資だ。
軽量手押し台車"マグネ300"13,800円をポチッと。……普通の手押し台車だとは思わないでいただきたい! マグネシウム合金を使用して、軽量化を図りながらも、耐荷重300kgと言う、優れ物なんです。親父の、結城権介の幼馴染み、山田社長の会社で開発されたと言うのもあって、親父が大量に仕入れちゃいました。……もちろん手押し台車に、軽量や耐荷重を求めてる人なんて多くもなく、売れ残りまっしぐらな代物なんです。はい。
って、事で、今日は親父に協力です。
「マーペン。袋を全部この台車に積むぞ」
「うん、分かった」
袋に詰めた石が全部で何キロあるかは、知らないけど。余裕です。はい。
「ナンロー。これで大丈夫だろ?」
「ああ、問題ない」
左手にシャベルを持ち、右手でナンローを掴む。マーペンは左手でナンローを掴み、右手で台車に手を掛けている。……で、目を閉じて。
「着いたぞ」
目を開けると。はい。瞬間移動完了。んー、やっぱり羨ましい。俺も自力で瞬間移動したい。
「なぁ、マーペン。ナンローが居なかったら、移動はやっぱり歩いてなのか?」
「えっ? 何でわざわざ歩かないよ。僕もじぃちゃんみたいに移動出来るし」
「えっ? そうなの?」
「まだダメじゃぞ! マーペン」
「分かっているよ。まだ1人では移動しないから。……まだ俺の力は弱くて不安定なんだ。だからたまに思ってもいない所に移動してしまうんだ。まだまだ練習しないと」
あ、瞬間移動って、練習が必要な能力なんですね。んじゃ、なくていいか。練習は面倒だし。
「……それで、イスケ。後は石を並べていけばいいよね?」
マーペンがエコバッグから石を一つ取り出している。
「そんなチマチマとじゃ、ダメ。どこに並べるんだ?」
「あ、この線と線の間だよ」
「分かった」
シャベルで石をすくい上げ、線の間に放り出していく。……線からはみ出た部分だけ、後で手で調整すればいい。
「すごい! あっと言う間に石が並んでいくね」
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