スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの

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第6章 町の名はプラハ。パラフじゃないです。……どう言う事?

6-5 大容量ゴキゴキじぇじぇジェットの出番です。

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 広場へ急ぐ、フランツの背中を追いかける。

「なぁ、フランツ。待ってくれよ」

「いや、待てない。父さんと母さんが、あんな怪我をしたんだ」

「でも、ゴキブリって言ってただろ? 巨大ゴキブリが広場に出没したんだ。襲われたんだよ」

「巨大ゴキブリだって?!」

 フランツの足がピタリと止まった。そりゃ、そうだ。丸腰で巨大ゴキブリには、立ち向かえない。……あ、そうだ。忘れてた。とりあえず大容量ゴキゴキじぇじぇジェットだ。

「……フランツ。とりあえず、これを」

「何だ? この缶は?」

「これはゴキゴキじぇじぇジェットなんだ。これをプシューって、ゴキブリにかけると退治出来るんだ」

「え? こうか?」

「おい、やめろ! 俺はゴキブリじゃない!」

 フランツがゴキゴキじぇじぇジェットの噴き出し口を向けてくる。……ん? 何を笑ってんだ? ハル君は、フランツが間違って俺にかけてきたって言ってたけど、もしかしてわざとなのか?

「フランツ。言っておくけど、絶対人に向けてプシューってしちゃ、ダメだかんな」

「分かってるよ」

 んーーー。フランツはそう言いながらも、ニターッと笑っている。この顔は絶対分かっていない顔だ。

「もう一度言う。絶対ダメだかんな」

「しつこいなぁ。分かったから行くぞ。その角を曲がったら広場だ」

「ああ。出陣だ! ゴー!」

 ん? 広場に足を踏み入れる。ん? 巨大ゴキブリはどこだ? ん? 広場には多くの人出がある。もし巨大ゴキブリなんていたら、こんなのんびりした空気は流れていないはずだけど。……どう言う事?

「……広場からどこかへ行ったのかな?」

 フランツも広場の平和さを感じとったようだ。

「分からないけど、逃げたのかな?」

「……あ、隣りのアンおばさんがいるから聞いてみよう」

 アンおばさん? フランツがスカーフを頭に巻いた年配の女性に話しかけている。……軽く会釈をしながら二人に近づく。

「……フランツ、あんたの父さん達は帰って来たかい?」

「ああ、帰って来たけど。すごい怪我をして」

「そうなんだよ。突然現れたゴキブリにびっくりして、二人揃って転んだんだよ。顔から転ぶって何だろうねぇ」

 あ、巨大ゴキブリに襲われたんじゃなくて、びっくりして転んで怪我したんですね。……それよりこのアンおばさんって人は、何で余裕そうにしてるんだろ? 普通、巨大ゴキブリが現れたら逃げ出すと思うんだけど。

「それでそのゴキブリは? もうこの広場にいないの?」

「ついさっき、時計台前の広場に移動したよ。あっちにはまだいるんかじゃないかな」

「分かった。行ってみる」

 んーーー。何か気が抜けてきた。フランツはまだ張り切ってるみたいだけど。……ってか、こんなに、ゆるーい空気の中で俺、葬られるんだ。

「イスケ。行こう」

「はい、はい。分かりましたよ」

 ちょっと面倒くさそうに答えながら、フランツに続く。……あ、人集りだ。あ、時計台だ。……でも何で皆んな逃げないの?

「あそこだ」

 人集りを掻き分けるフランツ。えっ! ゲッ! 足元に何匹ものゴキブリがカサカサと這い回っている。怖っ! 無理だ。やっぱりゴキブリ無理。そんな這い回るゴキブリ達に、フランツがプシューッと、噴射しまくっている。

「イスケ。プシューしないなら、それ俺に貸して。両手でプシューするから」

 ゴキブリを退治するフランツに、時計台前の小さな広場に居た人達が拍手をしている。何かのショーとでも思ってるのかな。でもフランツのおかげでゴキブリは次々と退治されていく。……でもこにいるのは全部普通のゴキブリだ。一体、巨大ゴキブリはどこに居るんだろう?……その時だ。

「あんたフランツの友達だろ?」

 声に振り向くと、さっきのアンおばさんだった。

「あ、はい。偉介と言います」

「おっ! フランツはゴキブリを全部退治したんだね。……これで親のかたきを取ったって事さ」

「あのぅ。親の仇ですか? フランツの両親は巨大ゴキブリにびっくりしたんですよね? あのぅ、巨大ゴキブリはどこに?」

「巨大ゴキブリ? あんた何を言ってんだい? そのゴキブリ達がさっき広場に大量発生したゴキブリだよ。フランツの親もそのゴキブリ達に驚いたのさ」

 えっ? 巨大ゴキブリじゃないの? それじゃあ、俺は葬られなくて大丈夫って事ですか?
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