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第6章 町の名はプラハ。パラフじゃないです。……どう言う事?
6-7 卓上お掃除ロボ・2代目Ms.クリーンです。
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「お待たせ。これがロボットだよ」
テーブルの上に"卓上お掃除ロボ・2代目Ms.クリーン"を置く。初代より吸引力がアップして、電池の持ちも随分良くなったけど。USB充電できるようになった3代目の登場で、一気に売れ残ってしまった、2代目Ms.クリーンさん。……世知辛いなぁ。
「……ロボットってのは、こう言う奴だよ」
「この人形がか?」
フランツがMs.クリーンの頭を指で小突く。
「やめろよ!」
思わず怒鳴ってしまった。3代目の登場で、ただでさえ気の毒な2代目クリーンさんの頭を小突くなんて。哀れで仕方がない。……でも、怒鳴ってごめんね、フランツ。
「ごめん、ごめん。大きな声出して。えーっと、ゴミが必要だから、……カレル、あの辺に落ちてる枯葉を何枚か拾ってきてくれないか?」
「枯葉? うん。分かった」
カレルが枯葉を集める姿を横目に、もう一度フランツに謝る。
「フランツ、さっきは怒鳴ってごめん」
「いや、俺の方こそ。大事な物だって分からなかったから」
フランツが申し訳無さそうな顔をすると、カレルが枯葉を集めて戻ってきた。その枯葉を粉々にして、テーブルの上に撒く。
「見てろよ」
そう言って、クリーンさんの背中のスイッチを入れる。
「えっ? 動いた!」
カレルが声を上げる。
テーブルの上をゆっくり進むクリーンさんが通った後は、粉々の枯葉が吸われ、綺麗になっている。ゴミをセンサーで判別するから、クリーンさんはテーブルの上を動き回り、あっという間に撒いた枯葉はなくなっていた。
「すごい! どうやって命を吹き込んだの?」
カレルが簡単の声を上げる。でも、どうやってと説明するのは難しい。電池で動いているだけだし、それを説明すれば今度は電池の説明をする事になるだろう。
「いや、どうやってと言われても難しいけど」
「イスケさん。お願い。僕の人形にも命を吹き込んで!」
と、カレルに言われても、どうしてやる事も出来ない。んーーー。あっ。
「……カレル。その人形に命を吹き込む事は出来ないけど、この2代目Ms.クリーンを……このロボットをカレルにあげるよ」
「えっ! いいの?」
「プレゼントだ。……これは小さくて卓上サイズだけど、こうやって人間の代わりに働いてくれる人形の事をロボットって言うんだ」
正直、自分で持っていても使い道はない。それに使用済みだから返品なんて出来ないし。
「やったー! ロボットだ。僕のロボットだ!」
カレルの喜び方は、9歳の子供らしくて、こっちまで嬉しい気持ちになる。たまには無償のプレゼントも悪くない。……でも、一つ、やっぱり引っ掛かるんだよなぁ。カレル、それにロボット。……人間の代わりに働いてもらうって言うこの発想。やっぱり聞き覚えがある。
あ? え? あ? え?
あっ! 思い出した。
「……カレル。さっき名前、なんて?」
「えっ? 僕の名前? カレル・チャペックだよ」
そうだ。カレル・チャペックだ。でも記憶が不十分で、はっきりとは思い出せない。あ、こう言う時は、ウィキペディア先生に質問を。あ、ダメだ。スマホ使えないんだ。
「イスケ。どうしたんだ?」
「いや、何でもない」
なんて言いながらも、声はかすかに震えている。これはハル君を頼るしかない。
「俺ちょっと席はずすね」
「どうしたんだ?」
「ちょっとトイレに」
「何だ、トイレか。腹でも痛いのか?」
「うん」
腹は痛くはないけど、そう思ってもらった方が時間は稼げる。
(ハル君!カレル・チャペックって知ってる?)
(知ってますよ。で、カレル・チャペックがどうしたんですか?)
(確かロボットと関係があったよね?なんか聞いた事があって)
(ああ。カレル・チャペックはチェコの作家ですよ。R.U.Rって戯曲でロボットを登場させたんです。今、ロボットって言葉を普通に使ってますけど、ロボットって言葉を最初に使ったのは、カレル・チャペックです)
ちょっと待って。ロボットって言葉をカレルは知らなくて、さっき俺が教えた。で、ロボットって言葉を最初に使ったのが、カレルって事で……。えーっと、俺が教えなかったらロボットって言葉は無かった。って事? 何か俺、やばい事した?
(ハル君。どうしよう?俺、カレルにロボットって言葉教えちゃった)
(え?どう言う意味ですか?店長がパラフじゃなくて、プラハに居るって言うから、今執筆止めてるんです。それなのに何勝手に動いてんですか!)
(えっ?そうなの?ハル君の小説進んでないの?)
(はい。また連絡します)
トイレで受けた衝撃に、正直カレルどころではなくなった。小説が進んでないってどう言う事?
「おい、イスケ。大丈夫か? そろそろ帰るぞ」
「あ、すぐ出る」
トイレの外からフランツの声が掛かった。ハル君には何勝手に動いてるんだ。と、言われたけど。じっと何もせずに止まってる訳にもいかない。んーーー。悩ましい。
テーブルの上に"卓上お掃除ロボ・2代目Ms.クリーン"を置く。初代より吸引力がアップして、電池の持ちも随分良くなったけど。USB充電できるようになった3代目の登場で、一気に売れ残ってしまった、2代目Ms.クリーンさん。……世知辛いなぁ。
「……ロボットってのは、こう言う奴だよ」
「この人形がか?」
フランツがMs.クリーンの頭を指で小突く。
「やめろよ!」
思わず怒鳴ってしまった。3代目の登場で、ただでさえ気の毒な2代目クリーンさんの頭を小突くなんて。哀れで仕方がない。……でも、怒鳴ってごめんね、フランツ。
「ごめん、ごめん。大きな声出して。えーっと、ゴミが必要だから、……カレル、あの辺に落ちてる枯葉を何枚か拾ってきてくれないか?」
「枯葉? うん。分かった」
カレルが枯葉を集める姿を横目に、もう一度フランツに謝る。
「フランツ、さっきは怒鳴ってごめん」
「いや、俺の方こそ。大事な物だって分からなかったから」
フランツが申し訳無さそうな顔をすると、カレルが枯葉を集めて戻ってきた。その枯葉を粉々にして、テーブルの上に撒く。
「見てろよ」
そう言って、クリーンさんの背中のスイッチを入れる。
「えっ? 動いた!」
カレルが声を上げる。
テーブルの上をゆっくり進むクリーンさんが通った後は、粉々の枯葉が吸われ、綺麗になっている。ゴミをセンサーで判別するから、クリーンさんはテーブルの上を動き回り、あっという間に撒いた枯葉はなくなっていた。
「すごい! どうやって命を吹き込んだの?」
カレルが簡単の声を上げる。でも、どうやってと説明するのは難しい。電池で動いているだけだし、それを説明すれば今度は電池の説明をする事になるだろう。
「いや、どうやってと言われても難しいけど」
「イスケさん。お願い。僕の人形にも命を吹き込んで!」
と、カレルに言われても、どうしてやる事も出来ない。んーーー。あっ。
「……カレル。その人形に命を吹き込む事は出来ないけど、この2代目Ms.クリーンを……このロボットをカレルにあげるよ」
「えっ! いいの?」
「プレゼントだ。……これは小さくて卓上サイズだけど、こうやって人間の代わりに働いてくれる人形の事をロボットって言うんだ」
正直、自分で持っていても使い道はない。それに使用済みだから返品なんて出来ないし。
「やったー! ロボットだ。僕のロボットだ!」
カレルの喜び方は、9歳の子供らしくて、こっちまで嬉しい気持ちになる。たまには無償のプレゼントも悪くない。……でも、一つ、やっぱり引っ掛かるんだよなぁ。カレル、それにロボット。……人間の代わりに働いてもらうって言うこの発想。やっぱり聞き覚えがある。
あ? え? あ? え?
あっ! 思い出した。
「……カレル。さっき名前、なんて?」
「えっ? 僕の名前? カレル・チャペックだよ」
そうだ。カレル・チャペックだ。でも記憶が不十分で、はっきりとは思い出せない。あ、こう言う時は、ウィキペディア先生に質問を。あ、ダメだ。スマホ使えないんだ。
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なんて言いながらも、声はかすかに震えている。これはハル君を頼るしかない。
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「どうしたんだ?」
「ちょっとトイレに」
「何だ、トイレか。腹でも痛いのか?」
「うん」
腹は痛くはないけど、そう思ってもらった方が時間は稼げる。
(ハル君!カレル・チャペックって知ってる?)
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(ああ。カレル・チャペックはチェコの作家ですよ。R.U.Rって戯曲でロボットを登場させたんです。今、ロボットって言葉を普通に使ってますけど、ロボットって言葉を最初に使ったのは、カレル・チャペックです)
ちょっと待って。ロボットって言葉をカレルは知らなくて、さっき俺が教えた。で、ロボットって言葉を最初に使ったのが、カレルって事で……。えーっと、俺が教えなかったらロボットって言葉は無かった。って事? 何か俺、やばい事した?
(ハル君。どうしよう?俺、カレルにロボットって言葉教えちゃった)
(え?どう言う意味ですか?店長がパラフじゃなくて、プラハに居るって言うから、今執筆止めてるんです。それなのに何勝手に動いてんですか!)
(えっ?そうなの?ハル君の小説進んでないの?)
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