スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの

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最終章 町の名はパラフ。プラハじゃないです。……どう言う事?

7-7 ハル君の小説は完結です。

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(ハル君、ごめん。遅くなった)

 夕飯を終えて、慌ててスマホを手にする。フランツ達はワインを飲みながら大騒ぎだ。大きな声が、ツランフの部屋にまで聞こえてくる。

(大丈夫ですよ。夕飯だったんでしょ?)

(うん。どうしても抜けられなくて)

(分かってます。で、これから重要な事を伝えますよ。店長、まだシラフですよね?マジ重要な事なんで)

(飲んでません。フランツ達は飲んで大騒ぎだけど)

(安心しました)

(それで、重要な事とは?)

(はい。俺の小説が完結しました。あ、俺が書いたんじゃなくて、最後は勝手に書かれていったんですが)

 ん? 完結? 終わったって事?

(完結って、終わったって事だよね)

(そうですよ)

 えーーー! 終わったって、どう言う事? 俺まだパラフに居るんだけど。

(終わったって、俺このままパラフで暮らして行くの?嫌なんですけど。帰りたいんですけど。美弥に会いたいんですけど)

(違いますよ。パラフで暮らしてはいかないです)

(暮らしていかないって、俺、この町で死ぬの?)

(違いますよ。一応、小説の最後で店長は日本に帰って来てました。でも)

(でも、何?)

(途中から勝手に話が進んだり、消えたりしてたでしょ?だから店長が勝手な行動取ったりしたら話が変わってくると思うんです)

(うん、うん。それで?)

(なので、これからは俺が言う通りに動いてください)

 うーーーっ。あまりにも嬉しくて、泣いてしまいそうだ。ハル君の言う通りに動けば、日本に帰れる。やっと美弥に会える。こんな嬉しい事があったでしょうか?

(あっ、それと、店長だけじゃないですからね。フランツも元の世界に帰さないといけないですから。そうしないと歴史を変える事になりますからね)

(そんな大袈裟な。歴史を変えるなんて)

(大袈裟じゃないです。フランツを元の世界に戻さないと、こっちの世界からフランツ・カフカの作品が消えてしまうんですよ)

(そっか、それは大変だ)

(分かったら、言う通りにですよ)

(はい!分かりました。それでどうすれば?)

 あれ? 既読にはなっているけど、ハル君からの返信がない。え? まさかここで放置ですか? 早く帰る方法を知りたいのに、何で?

(ハル君ー!)

 うーーー。既読にはなるのに。あーーー、既読スルーは一番嫌です。フランツ達とワイン飲んで来ようかな? ハル君、返事くれないとワイン飲みに行っちゃうよー。

(ハル君ー!)

 あっ、来た。え? めちゃくちゃ長文じゃないですか。えーっと。

(まず明日、フランツとツランフと三人で、ボルタヴォ川に掛かるカルレ橋に行ってください。橋の上にヨンさんって言う聖人の像があるんで、店長はフランツと一緒に、ツランフに突き落とされてください。突き落とされる時は二人同時にですよ。それでツランフには、小説の一文を紙に書くように言っておいてください。"イスケ・ユウキとフランツ・カフカはカルレ橋の上から突き落とされた。この世から二人は消えたが、別の世界で二人は目覚めた。二人が目覚めた町はフランツが生まれた町、プラハだ。"って、書くようにツランフに言ってください。これで店長とフランツはプラハに戻れますから。くれぐれも勝手な行動を取らないように)

 何てかなりそうな気がする。フランツとツランフの協力は必要不可欠だけど、フランツだって元の世界に帰りたいはずだし、ツランフだって、カルレを助ける協力をしたんだから、協力は怠らないはずだ。

(ハル君、ありがとう。勝手な行動は致しません。何がなんでも帰ってみせます)

 さぁ。帰る方法も分かったし、フランツ達とワインを呑んで、明日に備えましょう。
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