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第1章 町の名はポリ。パリじゃないです。
1-2 マンモルトルの森です。
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(で、俺はどうすれば?)
ハル君にLINEを送ってみたけど、既読は付かなかった。10時に開店。その後12時までは、開店直後のタイムセールだ。大量に仕入れたエクアドル産のバナナ。何とか売り捌いてくれ!
異世界に飛ばされながらも、特売のバナナを気にするあたり、やっぱり店長だと自負したくなるけど、今、考えるべきは、そこじゃない!
スマホ画面をタップする。11時47分。後13分でタイムセールが終わって、ハル君は休憩に入るはずだ。
んっ? どう言う事?
スマホ画面を良く見ると、並んでいるはずのアイコンが何一つない。ホーム画面にあるのは、LINEのアイコンだけ。しかもハル君だけだ。
美弥は? 他の友達は? もしかして俺、皆んなにブロックされたの⁈
「嫌だーーーーーーーーー!」
「うるさい!」
誰もいない森で叫んだつもりだったけど、森さんの存在を忘れていた。
「森さん、うるさくして、ごめんなさい」
「分かれば、よろしい」
ん? この森さんが答えてくれるって事は、とりあえず色々質問して大丈夫って事? だよね? 多分。ハル君はまだタイムセール中だし、何も聞く事出来ないし。
「あのう。森さん、質問していいですか?」
「ん? 何じゃ? でもさっきからその森さんって言うのが気に入らない。わしにはマンモルトルと言う名前があるんじゃ」
「すみません。失礼しました。あのう、マンモルトルさん。ここはどこですか? 因みにここ何処かの国だったりしますか?」
「国? ここはハランス王国じゃ」
「ハランス?」
「そうじゃ」
何か微妙。確かモンマルトルはフランスだったはず。で、モンマルトルじゃなくてマンモルトルで、もしかしてフランスじゃなくてハランス? って事?
「ハランス王国って事は、国王が住んでる都があったりしますか?」
「ああ。この国の都はポリじゃ」
ポリ? ああ、何かやっぱり微妙。想像は出来たけど何か微妙。パリじゃなくてポリって。思わず噴き出しそうになる。
「何がおかしいのじゃ?」
「あっ、すみません。ところでマンモルトルさん。ここからポリの町は遠いですか?」
「いや、そう遠くはない。このマンモルトルはポリの都の郊外じゃ。1時間も歩けば、町の中心、王宮に辿り着くだろう」
「1時間ですか? 色々教えて頂きありがとうございました」
森と……、いや、マンモルトルと喋る事にも慣れてきた。ってか、それより微妙にズレたこの世界観は何なんだろう? ハル君はファンタジー小説だと言っていたけど、フランスじゃなくてハランスで、パリじゃなくてポリ。モンマルトルじゃなくてマンモルトル。やっぱり噴き出しそうになる。
「お主、何をまた笑っておる」
「あ、すみません。マンモルトルさんを笑っている訳じゃないです。ただネーミングセンスが……」
「ネーミングセンス?」
「いや、何でもないです。ところで今の国王って、ルイ……いや、ライとかリイとかだったりしますか?」
「何を言っておる。今の国王はロイ16世だ」
ああ、そうくるのね。
「ロイ16世なんですね」
「ああ、だがバローニュの森に住むノポレオンと言う魔物がポリの都に攻め入ろうと画策しておるようじゃ」
ナポレオンじゃなくノポレオン? って。微妙なネーミングセンスにいちいち引っ掛かるのはやめよう。それよりもマンモルトルは今、確かに魔物と言った。
「あのう。この世界には魔物がいるんですか?」
「何を言っておる? お前は魔物を知らないのか?」
「いえ、聞いた事はありますが、見た事はないです」
ってか、考えてみれば、話の出来る森なんだから、このマンモルトルも魔物なのか?
「バローニュの森は魔物の巣窟になっておるんじゃ。その魔物を束ねておるのがノポレオンじゃ。だが安心せい。わしがいるからこの森には他の魔物は近づけん」
他の? やっぱりこのマンモルトルも魔物と言う事か。その時、ようやくスマホがブルっと震えた。ハル君からの返信だろう。
「マンモルトルさん。本当に色々教えて頂きありがとうございました」
ハル君にLINEを送ってみたけど、既読は付かなかった。10時に開店。その後12時までは、開店直後のタイムセールだ。大量に仕入れたエクアドル産のバナナ。何とか売り捌いてくれ!
異世界に飛ばされながらも、特売のバナナを気にするあたり、やっぱり店長だと自負したくなるけど、今、考えるべきは、そこじゃない!
スマホ画面をタップする。11時47分。後13分でタイムセールが終わって、ハル君は休憩に入るはずだ。
んっ? どう言う事?
スマホ画面を良く見ると、並んでいるはずのアイコンが何一つない。ホーム画面にあるのは、LINEのアイコンだけ。しかもハル君だけだ。
美弥は? 他の友達は? もしかして俺、皆んなにブロックされたの⁈
「嫌だーーーーーーーーー!」
「うるさい!」
誰もいない森で叫んだつもりだったけど、森さんの存在を忘れていた。
「森さん、うるさくして、ごめんなさい」
「分かれば、よろしい」
ん? この森さんが答えてくれるって事は、とりあえず色々質問して大丈夫って事? だよね? 多分。ハル君はまだタイムセール中だし、何も聞く事出来ないし。
「あのう。森さん、質問していいですか?」
「ん? 何じゃ? でもさっきからその森さんって言うのが気に入らない。わしにはマンモルトルと言う名前があるんじゃ」
「すみません。失礼しました。あのう、マンモルトルさん。ここはどこですか? 因みにここ何処かの国だったりしますか?」
「国? ここはハランス王国じゃ」
「ハランス?」
「そうじゃ」
何か微妙。確かモンマルトルはフランスだったはず。で、モンマルトルじゃなくてマンモルトルで、もしかしてフランスじゃなくてハランス? って事?
「ハランス王国って事は、国王が住んでる都があったりしますか?」
「ああ。この国の都はポリじゃ」
ポリ? ああ、何かやっぱり微妙。想像は出来たけど何か微妙。パリじゃなくてポリって。思わず噴き出しそうになる。
「何がおかしいのじゃ?」
「あっ、すみません。ところでマンモルトルさん。ここからポリの町は遠いですか?」
「いや、そう遠くはない。このマンモルトルはポリの都の郊外じゃ。1時間も歩けば、町の中心、王宮に辿り着くだろう」
「1時間ですか? 色々教えて頂きありがとうございました」
森と……、いや、マンモルトルと喋る事にも慣れてきた。ってか、それより微妙にズレたこの世界観は何なんだろう? ハル君はファンタジー小説だと言っていたけど、フランスじゃなくてハランスで、パリじゃなくてポリ。モンマルトルじゃなくてマンモルトル。やっぱり噴き出しそうになる。
「お主、何をまた笑っておる」
「あ、すみません。マンモルトルさんを笑っている訳じゃないです。ただネーミングセンスが……」
「ネーミングセンス?」
「いや、何でもないです。ところで今の国王って、ルイ……いや、ライとかリイとかだったりしますか?」
「何を言っておる。今の国王はロイ16世だ」
ああ、そうくるのね。
「ロイ16世なんですね」
「ああ、だがバローニュの森に住むノポレオンと言う魔物がポリの都に攻め入ろうと画策しておるようじゃ」
ナポレオンじゃなくノポレオン? って。微妙なネーミングセンスにいちいち引っ掛かるのはやめよう。それよりもマンモルトルは今、確かに魔物と言った。
「あのう。この世界には魔物がいるんですか?」
「何を言っておる? お前は魔物を知らないのか?」
「いえ、聞いた事はありますが、見た事はないです」
ってか、考えてみれば、話の出来る森なんだから、このマンモルトルも魔物なのか?
「バローニュの森は魔物の巣窟になっておるんじゃ。その魔物を束ねておるのがノポレオンじゃ。だが安心せい。わしがいるからこの森には他の魔物は近づけん」
他の? やっぱりこのマンモルトルも魔物と言う事か。その時、ようやくスマホがブルっと震えた。ハル君からの返信だろう。
「マンモルトルさん。本当に色々教えて頂きありがとうございました」
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