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第1章 町の名はポリ。パリじゃないです。
1-10 ポリよ、さようなら。
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騎馬隊の先頭とは、もう200メートルは差がついていた。市民の中に、我こそはと思う奴は居なかったようで、騎馬隊に続いているのは、俺一人だった。隊長らしき人物が、何か指示を出しても聞こえない。俺は俺のやり方で、魔物に挑み、レイラを助け出すしかない。
歩みの遅い騎馬隊を順に抜かしていく。馬に跨った隊員達は重そうな鎧を身に着けている。防御は大丈夫そうだけど、攻撃は大丈夫なんだろうか? 隊員達が手にしている物は、剣か槍のどちらかだ。
「森の手前、魔物達が見えているぞ! 皆の者、怯むな!」
騎馬隊の先頭近くまで辿り着き、ようやく隊長らしき男の声が聞こえた。
誰が、怯むか!
騎馬隊より先に、魔物に近付く。だけど何が実体なのか、判断が難しい。そんな中に、小さな男の子の顔を見つけた。……あの子が、攫われた幼児? なのか? もし、騎馬隊が何も考えずに、魔物に剣や槍を向けたら、あの子達はどうなる? レイラはどうなる?
目を凝らす。魔物の実体を見極められれば、何とかなる。だけど騎馬隊の剣先は実体のない、魔物を捕らえようとしている。
「ちょっと待ってください! 剣や槍で闇雲に刺したら、子供達を死なせてしまいます!」
「お前は誰だ?」
「俺ですか? ただの商人です」
とりあえず巨大水鉄砲は7挺ある。試しに撃ってみるか。
「……巨大水鉄砲! 発射!」
おっ! 黒い影が少し消えたじゃないか。……あ、ハル君。今、分かったよ。これは聖水だから、撃ちまくっても、子供達に害はないって事だね。
「……発射! 発射! 発射! 発射!」
すると撃たれた魔物から解放されたのか、3人の小さな子供達が、黒い影の前に落ち、倒れた。
「早く、子供達を救出して!」
騎馬隊に向かって、思わず叫んでいた。だけど救出された子供達の中に、レイラはいない。
「……発射! 発射! 発射! 発射!」
2挺目の巨大水鉄砲を手にする。黒い影は薄れていくけど、まだ実体は見えない。……どこだ? どこだ? どこだ?
ん? あれは、確か……。黒い影の隙間に、見覚えのある形が浮かんだ。あれは、確か、ナポレオンの二角帽子だ。ハロウィンの変装用に仕入れようとして、親父の怒りを買った二角帽子。
って、事は、実体はあそこか?
3挺目、4挺目の巨大水鉄砲を両手に、撃ちまくる。
「……発射! 発射! 発射! 発射!」
おっ! レイラか? ノポレオンの実体のすぐ下に倒れた子供は、間違いなくレイラだった。
「早く、早くレイラを助けて! ……発射! 発射! 発射! 発射!」
叫びながらも、聖水をノポレオンに浴びせまくる。……このままいけそうか? もう黒い影は消え、今はノポレオンの実体しか見えない。
あと、3挺か……。
5挺目、6挺目の巨大水鉄砲を手にする。
「……発射! 発射! 発射! 発射!」
ノポレオンの実体も少しずつだけど、薄くなって来ている。このままいけるか?
あー、ラスト1挺かよ! もっと仕入れておけば、もっと売れ残っていたのに。7挺目の巨大水鉄砲を両手で構える。
「……発射!」
突然だった。黒い光の粒子に全身が覆われていった。もしかして、これがノポレオンの攻撃なのか? でも、発射を止める訳にはいかない。
巨大水鉄砲の銃口を天に向ける。
これは、聖水の雨だ。
全身にまとわり付く、ノポレオンの粒子に浴びせてやる。
「発射!」
んっ? 俺はどうなった? 勝ったのか? ノポレオンはどうなった? 倒せたのか?
やけに体が重いのは、どうしてだろう?
そうだ。昨日、一睡も出来なかったじゃないか。仕方ない。このまま眠ってしまおう。だけど、その前にちゃんと別れを言っておかないと、いけないような気がする。
……タミラ、さようなら。レイラ、さようなら。マンモルトルさん、さようなら。ニンフの婆さんたちも、さようなら。
……そして、ポリよ、さようなら。
歩みの遅い騎馬隊を順に抜かしていく。馬に跨った隊員達は重そうな鎧を身に着けている。防御は大丈夫そうだけど、攻撃は大丈夫なんだろうか? 隊員達が手にしている物は、剣か槍のどちらかだ。
「森の手前、魔物達が見えているぞ! 皆の者、怯むな!」
騎馬隊の先頭近くまで辿り着き、ようやく隊長らしき男の声が聞こえた。
誰が、怯むか!
騎馬隊より先に、魔物に近付く。だけど何が実体なのか、判断が難しい。そんな中に、小さな男の子の顔を見つけた。……あの子が、攫われた幼児? なのか? もし、騎馬隊が何も考えずに、魔物に剣や槍を向けたら、あの子達はどうなる? レイラはどうなる?
目を凝らす。魔物の実体を見極められれば、何とかなる。だけど騎馬隊の剣先は実体のない、魔物を捕らえようとしている。
「ちょっと待ってください! 剣や槍で闇雲に刺したら、子供達を死なせてしまいます!」
「お前は誰だ?」
「俺ですか? ただの商人です」
とりあえず巨大水鉄砲は7挺ある。試しに撃ってみるか。
「……巨大水鉄砲! 発射!」
おっ! 黒い影が少し消えたじゃないか。……あ、ハル君。今、分かったよ。これは聖水だから、撃ちまくっても、子供達に害はないって事だね。
「……発射! 発射! 発射! 発射!」
すると撃たれた魔物から解放されたのか、3人の小さな子供達が、黒い影の前に落ち、倒れた。
「早く、子供達を救出して!」
騎馬隊に向かって、思わず叫んでいた。だけど救出された子供達の中に、レイラはいない。
「……発射! 発射! 発射! 発射!」
2挺目の巨大水鉄砲を手にする。黒い影は薄れていくけど、まだ実体は見えない。……どこだ? どこだ? どこだ?
ん? あれは、確か……。黒い影の隙間に、見覚えのある形が浮かんだ。あれは、確か、ナポレオンの二角帽子だ。ハロウィンの変装用に仕入れようとして、親父の怒りを買った二角帽子。
って、事は、実体はあそこか?
3挺目、4挺目の巨大水鉄砲を両手に、撃ちまくる。
「……発射! 発射! 発射! 発射!」
おっ! レイラか? ノポレオンの実体のすぐ下に倒れた子供は、間違いなくレイラだった。
「早く、早くレイラを助けて! ……発射! 発射! 発射! 発射!」
叫びながらも、聖水をノポレオンに浴びせまくる。……このままいけそうか? もう黒い影は消え、今はノポレオンの実体しか見えない。
あと、3挺か……。
5挺目、6挺目の巨大水鉄砲を手にする。
「……発射! 発射! 発射! 発射!」
ノポレオンの実体も少しずつだけど、薄くなって来ている。このままいけるか?
あー、ラスト1挺かよ! もっと仕入れておけば、もっと売れ残っていたのに。7挺目の巨大水鉄砲を両手で構える。
「……発射!」
突然だった。黒い光の粒子に全身が覆われていった。もしかして、これがノポレオンの攻撃なのか? でも、発射を止める訳にはいかない。
巨大水鉄砲の銃口を天に向ける。
これは、聖水の雨だ。
全身にまとわり付く、ノポレオンの粒子に浴びせてやる。
「発射!」
んっ? 俺はどうなった? 勝ったのか? ノポレオンはどうなった? 倒せたのか?
やけに体が重いのは、どうしてだろう?
そうだ。昨日、一睡も出来なかったじゃないか。仕方ない。このまま眠ってしまおう。だけど、その前にちゃんと別れを言っておかないと、いけないような気がする。
……タミラ、さようなら。レイラ、さようなら。マンモルトルさん、さようなら。ニンフの婆さんたちも、さようなら。
……そして、ポリよ、さようなら。
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