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第2章 町の名はコイロ。カイロじゃないです。
2-1 砂漠の名はハサラです。
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暑い。何だ、この暑さは。それに、やけに喉が渇いている。
ああ、俺は寝てたのか。喉は渇いているけど、体は重くない。きっと充分な睡眠を取れたんだろう。……んっ? 体を起こすと、そこは……。
一面、黄色みがかったベージュの世界だった。えっ? ここどこ? もしかして砂漠? どれだけ回りを見回しても、砂のベージュと空の青以外は目に映らない。
……そして俺は誰もいない砂漠で、一人叫んでいた。
「ハル君ーーーーー!」
……じゃ、なかった。喉が渇いて痛いのに、わざわざ叫ぶ必要はない。ポケットを探るとスマホがあるはずだ。
ほら、あった。……LINEを、と。
(店長。目が覚めたら、連絡ください)
ハル君からのLINEに安心できた。ハル君がいれば、俺はどんな世界でも生きていける。いや、元の世界に戻りたい。いや、在庫処分だ! 過剰在庫を売り捌きたい!
(ハル君。起きたよ。何か周り、砂漠しかないんだけど)
(やっと起きたんですね。随分、寝てましたね)
どれだけ寝てたのかは、分からないけど。ハル君の言葉には、トゲがある。……俺、何か怒らせる事をしただろうか?
(すみません。で、起きたら周りに砂漠しかないんだけど、俺はどこにいるんでしょう?)
(砂漠があるなら、砂漠に聞いてください)
んー、またこのパターン。……それにしても、何を怒っているんだろう? まぁ、仕方ない。
「砂漠さん! ここはどこですか?」
2回目でも、やっぱり恥ずかしい。32歳にもなって、俺、何してんだろう。
「今、誰か、僕の事を呼んだかな?」
ん? 何だ? 声は返ってきたけど、この威厳のない声は。
「あのぅ、砂漠さん。お名前教えてくれませんか?」
「ああ、僕の名前? 僕はハサラって言うんだよ。よろしくねー」
「はい、ハサラさんですね。よろしくです」
何だかなー。ピリッとしてないと言うか、気が抜けると言うか。んー、で、ハサラって、どこだ? ハサラ、ハサラ、ハサラ……。もしかしてサハラ砂漠?!
まあ、とりあえず喉を潤そう。
はい。スポーツドリンク、110円。
そう言えば、砂漠なんか写真か、映像でしか見た事がない。こんな世界だったとは、知りもしなかった。……キレイだな。
「あれ? 今、僕の事、キレイって誉めてくれた?」
マジ? 声漏れちゃってた? それか、砂漠に心読まれちゃってる? やばい、やばい。
「あ、すみません。誉めました」
「謝らなくてもいいよー。誉めてくれて、ありがとうねー」
んー。やっぱり気が抜ける。ここは、さっさと用件を聞き出して、後にしよう。
「……ハサラさん。ちょっと聞かせてください。ここはどこの国ですか? それと近くに町はありますか?」
「ええー、知らないの? 教えてあげてもいいけど、僕もそれ飲みたいー」
砂漠がスポドリ飲むの? 意味分からんですが、購入しますよ。しかもサービスです。2リットルサイズ、198円です。
「大きいのくれるの? ありがとうねー。ここはね、オジプトって国でね、2キロくらいかなー? 東に行った所にニイル川ってのがあって、その川越えると、この国の王都のコイロだよー。僕、親切でしょ? だからもう1本よろしくねー」
はい、はい。オジプトって事は、エジプトね。ニイル川って事は、ナイル川で。コイロって事は、カイロですね!
この微妙にズレたネーミングセンスにも慣れたみたいだ。とりあえずハル君にLINEを送っておこう。
(砂漠さんに聞いたら、ハサラ砂漠って所でした。2キロ先にニイル川があって、川を越えるとオジプトって国の王都のコイロらしいんで、これからコイロ目指します)
なかなか意味不明な内容だった。だけどここはハル君が書いた小説の世界だ。ハル君にとっては、簡単に理解できる事だろう。
って、何で既読にならないんですか? ハル君。何を怒っているんですか? 分からん、分からん、分からん。でも、仕方ない。
「おーい、もう1本。忘れないでねー」
あっ。
2本目のスポドリを砂漠さんに供えて、2キロの道を歩き出す。
「お供えじゃないよー。僕、生きてるよー」
ああ、俺は寝てたのか。喉は渇いているけど、体は重くない。きっと充分な睡眠を取れたんだろう。……んっ? 体を起こすと、そこは……。
一面、黄色みがかったベージュの世界だった。えっ? ここどこ? もしかして砂漠? どれだけ回りを見回しても、砂のベージュと空の青以外は目に映らない。
……そして俺は誰もいない砂漠で、一人叫んでいた。
「ハル君ーーーーー!」
……じゃ、なかった。喉が渇いて痛いのに、わざわざ叫ぶ必要はない。ポケットを探るとスマホがあるはずだ。
ほら、あった。……LINEを、と。
(店長。目が覚めたら、連絡ください)
ハル君からのLINEに安心できた。ハル君がいれば、俺はどんな世界でも生きていける。いや、元の世界に戻りたい。いや、在庫処分だ! 過剰在庫を売り捌きたい!
(ハル君。起きたよ。何か周り、砂漠しかないんだけど)
(やっと起きたんですね。随分、寝てましたね)
どれだけ寝てたのかは、分からないけど。ハル君の言葉には、トゲがある。……俺、何か怒らせる事をしただろうか?
(すみません。で、起きたら周りに砂漠しかないんだけど、俺はどこにいるんでしょう?)
(砂漠があるなら、砂漠に聞いてください)
んー、またこのパターン。……それにしても、何を怒っているんだろう? まぁ、仕方ない。
「砂漠さん! ここはどこですか?」
2回目でも、やっぱり恥ずかしい。32歳にもなって、俺、何してんだろう。
「今、誰か、僕の事を呼んだかな?」
ん? 何だ? 声は返ってきたけど、この威厳のない声は。
「あのぅ、砂漠さん。お名前教えてくれませんか?」
「ああ、僕の名前? 僕はハサラって言うんだよ。よろしくねー」
「はい、ハサラさんですね。よろしくです」
何だかなー。ピリッとしてないと言うか、気が抜けると言うか。んー、で、ハサラって、どこだ? ハサラ、ハサラ、ハサラ……。もしかしてサハラ砂漠?!
まあ、とりあえず喉を潤そう。
はい。スポーツドリンク、110円。
そう言えば、砂漠なんか写真か、映像でしか見た事がない。こんな世界だったとは、知りもしなかった。……キレイだな。
「あれ? 今、僕の事、キレイって誉めてくれた?」
マジ? 声漏れちゃってた? それか、砂漠に心読まれちゃってる? やばい、やばい。
「あ、すみません。誉めました」
「謝らなくてもいいよー。誉めてくれて、ありがとうねー」
んー。やっぱり気が抜ける。ここは、さっさと用件を聞き出して、後にしよう。
「……ハサラさん。ちょっと聞かせてください。ここはどこの国ですか? それと近くに町はありますか?」
「ええー、知らないの? 教えてあげてもいいけど、僕もそれ飲みたいー」
砂漠がスポドリ飲むの? 意味分からんですが、購入しますよ。しかもサービスです。2リットルサイズ、198円です。
「大きいのくれるの? ありがとうねー。ここはね、オジプトって国でね、2キロくらいかなー? 東に行った所にニイル川ってのがあって、その川越えると、この国の王都のコイロだよー。僕、親切でしょ? だからもう1本よろしくねー」
はい、はい。オジプトって事は、エジプトね。ニイル川って事は、ナイル川で。コイロって事は、カイロですね!
この微妙にズレたネーミングセンスにも慣れたみたいだ。とりあえずハル君にLINEを送っておこう。
(砂漠さんに聞いたら、ハサラ砂漠って所でした。2キロ先にニイル川があって、川を越えるとオジプトって国の王都のコイロらしいんで、これからコイロ目指します)
なかなか意味不明な内容だった。だけどここはハル君が書いた小説の世界だ。ハル君にとっては、簡単に理解できる事だろう。
って、何で既読にならないんですか? ハル君。何を怒っているんですか? 分からん、分からん、分からん。でも、仕方ない。
「おーい、もう1本。忘れないでねー」
あっ。
2本目のスポドリを砂漠さんに供えて、2キロの道を歩き出す。
「お供えじゃないよー。僕、生きてるよー」
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