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第2章 町の名はコイロ。カイロじゃないです。
2-2 帆掛け船=200パンダです。
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町中の2キロと砂漠の2キロじゃ、疲労度が違いすぎる。それにしても暑い。いったい今の気温は何度だ? 体感では40℃はいってるはずだけど。んー、そうだ! スマホアプリに温度計がある! って、そうだった。ハル君のLINE以外、何も残っていなかったんだ。
はぁー。温度計を買ったところで、気温が下がる訳じゃないし。……それにしても暑い。
世界一周旅行に憧れていたけど、一人旅なんて、こんなもんなんだろうか? 話相手もなく、気付いたら、心の中でぶつぶつ言っている。あー、美弥に会いたい。美弥とカフェでくだらない話をしたい。
あっ! 川だ!
砂漠の丘陵を一山越えると、大きな川が見えてきた。あれがニイル川か。川沿いには緑地帯もある。これで、ベージュの世界とはお別れだ。
さようなら、ハサラさん。
「何、言ってんのー? ずっと僕の中だよー。コイロの町も僕の中だからねー」
今のは声に漏れていなかったはず。やっぱりハサラさんは、心が読めるらしい。
それから5分。緑地帯を進むと、ニイル川のほとりに辿り着いた。
「着いたー!」
両手を挙げて、つい叫んでしまった。周りを気にすると、チラチラとこっちを見ている人が数人。とりあえず対岸へ渡るには、船が必要だ。渡し船があればいいけど。
「あのぅ、すみません」
気の良さげな、おじさんに声を掛ける。
「何だい?」
「あっち側に、コイロの町に行きたいんですが、どうやって行けばいいです? 船とかありますか?」
「あ? お前の目は何も見えんのか? 目の前にいるじゃろうが」
おじさんが川を指差す。
えっ? 今の今まで居なかった船が、突然、目の前に現れた。……帆掛け船? だよね。どんな仕組みかは分からないけど、まあ、この帆掛け船で対岸へ、運んでもらおう。
「すみません。コイロまで行きたいんですが?」
「コイロか? なら、200パンダだ」
先頭が答える。
200パンダ? パンダが200頭? そんなはずはないだろうけど、価値が分からない。ってか、そもそもこの国のお金を持っていない。ハル君を頼りたいけど、何か怒ってたし。とりあえず試して見るだけ、試してみよう。
アイテムボックスから、金貨1枚、1000グーロを取り出す。
「あのぅ、これじゃダメですか?」
「何だ、外国人か」
「はい。一応、金ですけど」
金貨を受け取った先頭が、金貨に歯をあてている。
「これで乗せてやるけど、釣りはないぞ!」
「大丈夫です。釣りはいらないです」
小さな帆掛け船は、乗り込む時に、少し揺れはしたけど、川の上で揺れる事はほとんどなかった。
川の上って、こんなに涼しいんだ。
砂漠にいた時と、同じ太陽が照りつけているのに、体感温度は大きく違った。……このまま、ずっとこの帆掛け船に揺られていたい。んー、気持ちいい。
「……着いたぞ」
えっ?! 早っ!
あまりの早さに、びっくりだ。まだ1分も経っていないような。これで、1000グーロ、2万円か。高い。
船を降りると、すでに客が2人待っていた。何もなかった砂漠へ行くのか?
「対岸まで、2人お願い」
「おー、2人で、2パンダだ」
「2パンダだね。はい、これ2パンダ」
うっそー!
パンダ200頭じゃなくて、2人で2頭。1人なら、たったの1頭! ……やられた。
「ちょっと、船頭さん!」
あれ? 船は? えっ? もう消えたの?
落ち込みはするけど、仕方ない。初めての国の、初めての町だ。ちょっとしたトラブルは旅の醍醐味のはず。
あ、ハル君だ。
ハル君とのLINEしか使えないスマホ。ぶるッと震えれば、それはハル君からのLINEだ。
(もうコイロに着きましたよね?野宿が嫌なら商売ですよ)
そこは言われなくても、分かっている。価値が分からないと、またボラれる事になる。それよりも、やっぱりトゲのあるLINEに不安になる。
(ハル君。俺、何か怒らせるような事した?)
いくら気になっても、聞かない方がいい事もある。だけど聞いてしまった事は諦めるしかない。後悔は先には立たないんだから。
(店長!気付いてないんですか?あの巨大水鉄砲!あれ、一つ1,780円で買いましたよね?あの水鉄砲、本当は売値3,780円です。そもそも仕入れ値が2,000円なんです!ってか、あれ売値付けたの店長ですからね。分かってますか?そもそも仕入れ値を割った売値を付けて、売れ残るなんて、最悪です。ってか、店長の貯金から2,000円×7つ分で、14,000円引いておきますから!)
長文に頭がクラッとする。
ハル君が怒っていた理由。売値を間違えていたなんて……。俺って、間違いなく、店長失格だ。親父とお袋に言っていないか、心配だけど、後悔は先に立たないんだから、聞くのはやめておこう。
はぁー。温度計を買ったところで、気温が下がる訳じゃないし。……それにしても暑い。
世界一周旅行に憧れていたけど、一人旅なんて、こんなもんなんだろうか? 話相手もなく、気付いたら、心の中でぶつぶつ言っている。あー、美弥に会いたい。美弥とカフェでくだらない話をしたい。
あっ! 川だ!
砂漠の丘陵を一山越えると、大きな川が見えてきた。あれがニイル川か。川沿いには緑地帯もある。これで、ベージュの世界とはお別れだ。
さようなら、ハサラさん。
「何、言ってんのー? ずっと僕の中だよー。コイロの町も僕の中だからねー」
今のは声に漏れていなかったはず。やっぱりハサラさんは、心が読めるらしい。
それから5分。緑地帯を進むと、ニイル川のほとりに辿り着いた。
「着いたー!」
両手を挙げて、つい叫んでしまった。周りを気にすると、チラチラとこっちを見ている人が数人。とりあえず対岸へ渡るには、船が必要だ。渡し船があればいいけど。
「あのぅ、すみません」
気の良さげな、おじさんに声を掛ける。
「何だい?」
「あっち側に、コイロの町に行きたいんですが、どうやって行けばいいです? 船とかありますか?」
「あ? お前の目は何も見えんのか? 目の前にいるじゃろうが」
おじさんが川を指差す。
えっ? 今の今まで居なかった船が、突然、目の前に現れた。……帆掛け船? だよね。どんな仕組みかは分からないけど、まあ、この帆掛け船で対岸へ、運んでもらおう。
「すみません。コイロまで行きたいんですが?」
「コイロか? なら、200パンダだ」
先頭が答える。
200パンダ? パンダが200頭? そんなはずはないだろうけど、価値が分からない。ってか、そもそもこの国のお金を持っていない。ハル君を頼りたいけど、何か怒ってたし。とりあえず試して見るだけ、試してみよう。
アイテムボックスから、金貨1枚、1000グーロを取り出す。
「あのぅ、これじゃダメですか?」
「何だ、外国人か」
「はい。一応、金ですけど」
金貨を受け取った先頭が、金貨に歯をあてている。
「これで乗せてやるけど、釣りはないぞ!」
「大丈夫です。釣りはいらないです」
小さな帆掛け船は、乗り込む時に、少し揺れはしたけど、川の上で揺れる事はほとんどなかった。
川の上って、こんなに涼しいんだ。
砂漠にいた時と、同じ太陽が照りつけているのに、体感温度は大きく違った。……このまま、ずっとこの帆掛け船に揺られていたい。んー、気持ちいい。
「……着いたぞ」
えっ?! 早っ!
あまりの早さに、びっくりだ。まだ1分も経っていないような。これで、1000グーロ、2万円か。高い。
船を降りると、すでに客が2人待っていた。何もなかった砂漠へ行くのか?
「対岸まで、2人お願い」
「おー、2人で、2パンダだ」
「2パンダだね。はい、これ2パンダ」
うっそー!
パンダ200頭じゃなくて、2人で2頭。1人なら、たったの1頭! ……やられた。
「ちょっと、船頭さん!」
あれ? 船は? えっ? もう消えたの?
落ち込みはするけど、仕方ない。初めての国の、初めての町だ。ちょっとしたトラブルは旅の醍醐味のはず。
あ、ハル君だ。
ハル君とのLINEしか使えないスマホ。ぶるッと震えれば、それはハル君からのLINEだ。
(もうコイロに着きましたよね?野宿が嫌なら商売ですよ)
そこは言われなくても、分かっている。価値が分からないと、またボラれる事になる。それよりも、やっぱりトゲのあるLINEに不安になる。
(ハル君。俺、何か怒らせるような事した?)
いくら気になっても、聞かない方がいい事もある。だけど聞いてしまった事は諦めるしかない。後悔は先には立たないんだから。
(店長!気付いてないんですか?あの巨大水鉄砲!あれ、一つ1,780円で買いましたよね?あの水鉄砲、本当は売値3,780円です。そもそも仕入れ値が2,000円なんです!ってか、あれ売値付けたの店長ですからね。分かってますか?そもそも仕入れ値を割った売値を付けて、売れ残るなんて、最悪です。ってか、店長の貯金から2,000円×7つ分で、14,000円引いておきますから!)
長文に頭がクラッとする。
ハル君が怒っていた理由。売値を間違えていたなんて……。俺って、間違いなく、店長失格だ。親父とお袋に言っていないか、心配だけど、後悔は先に立たないんだから、聞くのはやめておこう。
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