うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの

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第三章 孫を追いかけ北を目指す旅で御座います。

3-7 人鷲カフェでランバージュースで御座います。

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「探偵さんよぅ。あれが言っておった旅籠じゃの」

 巨大蟻に驚かされましたが、無事に旅籠に到着のようです。周りには何も御座いませんが、立派なお屋敷が目の前に表れたでは御座いませんか。でも、どうしてでしょう? とても懐かしい気持ちにさせられるのです。

「早めに着けて良かったです。私はどの辺りまで結界が張られているか、確認して来ますので。……そうですね、そちらのテラスでお待ちになっていてください」

「はい。承知致しました」

 軽く会釈しまして、探偵さんが指差したテラス席に目をやると、じぃじとパンさんがすでに座っているじゃありませんか。……じぃじはもう66で御座います。ですが動きの速さは、お若いパンさんに並ぶようです。

「……あら」

 席に着いて、目に飛び込んできたのが、本日のオススメと書かれた、メニューで御座います。

「ランバーのフレッシュジュースだそうですよ」

 誰に告げる分けでもなく、ぼそり。今が旬のランバーのジュースとあれば、飲まない分けにはまいりません。ちょうど隣りのテーブルを片付けていた、ウェイトレスさん? ……で、しょうか? お顔がどう見ても鳥の様に見えるのですが、でもきっとウェイトレスさんでしょう。……お声を掛けてみました。

「あのぅ。本日のオススメのランバーのジュースを4杯頂けますでしょうか?」

「あいよ! 4ディナになるよ」

 振り返ったウェイトレスさんに、銅貨4枚をお渡しした時。エプロンの胸に書かれたロゴを、レオンさんが気にされた様子でした。

「……ひとわしミックスとは珍しいなぁ」

 呟いたレオンさんを睨みながら、ウェイトレスさんが、奥に引っ込まれました。

「人鷲ミックスさんで御座いますか?」

「はい。この店の名前は、人鷲カフェと言うらしいです。エプロンに書いていました」

 レオンさんが何故か顔をしかめております。珍しいとは、どう言う事で御座いましょう?

「あいよ! お待ち!」

 人鷲さんが、グラスを4つ運んで来てくださいました。鮮やかな赤紫色は、前に頂戴しましたランバーの甘い味を思い出させます。

「さぁ、じぃじ、レオンさん、パンさん。戴きましょう」

 フレッシュジュースとあって、ランバーそのままの味で御座います。

「人鷲さん、大変美味しゅう御座います」

 ニコリと感謝の気持ちを伝えたつもりだったのですが、人鷲さんは目くじらを立てられておられます。

「あたいにはミーナって名があるんだ。人鷲なんて呼ぶんじゃないよ!」

 あら。大変で御座います。

「本当に申し訳御座いません。先にお名前を伺えば良かったのですが。失礼致しました。……ミーナさん、大変美味しゅう御座います。こんな美味しいジュースを頂戴できて、私、幸せで御座います」

「美味いだろ?」

「ええ、とても」

 ミーナさんの機嫌は戻ったようで御座います。それなのに、どうした事でしょう。レオンさんがミーナさんを、き付けるではありませんか。

「気性はやっぱり人鷲だな」

「何だ? 人猫ごときが、あたいに偉そうに」

 まあまあ、大変で御座います。じぃじ、パンさん。……って、あら。お二人とも、我関せずで御座いますね。美味しいランバーのジュースに、顔をとろけさせているじゃありませんか。

「……お待たせしました。ん? どうされましたか?」

 まあ、なんとグッドなタイミングで御座いましょう。探偵さんがお戻りになられました。

「ミーナさん。すみません。もう1杯、ランバーのジュースをお願い致します」

「あいよ!」

 ミーナさんが奥に引っ込んだのを確認して、探偵さんに事情を説明致しました。すると、レオンさんに向けて、探偵さんが笑い出したじゃありませんか。

「それはレオンのヤキモチですね」

「ヤキモチですか?」

 レオンさんの顔を覗き込むと、少し不貞腐れているようにも見えます。

「人鷲ミックスは戦闘能力に長けているので、国の護衛隊でも重宝されているんです。そんな人鷲ミックスがこんな所で働いているからですよ。人猫ミックスはなりたくても、国の護衛隊にはなれないですから」

「……こんな所で悪かったね」

 探偵さんの前に出されたグラスが、ゴトっと大きな音を立てました。まさか探偵さんまで、ミーナさんの機嫌を損ねたのでしょうか?

「申し訳ない。そんなつもりはないですよ」

「あたいだって、怪我さえしなければ、まだ王国の護衛隊でバリバリやっていたんだ」

「お怪我を……それは大変で御座いましたね」

「あたいだって……」

 諸事情は分かりませんが、何だか、ミーナさんの目が寂しそうで御座います。

「ミーナさん。このランバーのジュース、本当に美味しゅう御座いました。……王国は守れなくても、こんな美味しいジュースを提供してくださるミーナさんは本当に素敵な方だと思います」

「あんた、いい人だね」

 寂しさは消えてはいませんが、ミーナさんの目に優しい色が見えました。気性が荒く、口は悪いのかもしれませんが、ミーナさんの心根はとてもお優しいものだと、感じた夕刻で御座います。
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