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第一章 孫を追いかけ旅の始まりで御座います。
1-2 赤い果実は危険で御座います。
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「探偵さんよぅ。これから何処に行くんじゃ? こんな森の中に雷人が居るとは思えんのじゃが」
「そうですね。とりあえず町を目指してみましょう」
さすが私の夫と探偵さんで御座います。もうちゃんと次の事を考えていらっしゃる。
獣道と言うのでしょうか。鬱蒼とした森ではありますが、人が通った跡は御座います。あら、2人はもう歩き始めているじゃありませんか。遅れを取ったら大変です。でもあの赤い果実を捥いでもいきたいのです。
「じぃじ、ちょっとお待ち頂けませんか?」
「んっ? どうしたんじゃ?」
じぃじと探偵さんが、足を止めて振り返ってくださいました。
「あの赤い果実です。美味しそうなので、幾つか捥いでいこうかと」
私、そう言いながら、そっと手を伸ばそうとしたのです。すると探偵さんが慌てて大きな声を出されました。
「光江さん! 触っちゃダメです!」
大きな声に驚いて、さっと手を引いたので良かったです。さっきまでただの赤い果実に見えていたのに。あら、大変。果実に顔があるじゃありませんか。しかも大きく開けた口の中には、尖った歯が見えているじゃありませんか。
「その果実は魔物の一種です。触らなければ害はないですが、指の1本や2本、簡単に食いちぎられてしまいます」
「まぁ、怖い。探偵さんがいらっしゃって良かったわ。もしかしたら今頃、指が失くなっていたかもしれませんわ」
森の中には赤い果実の他にも気になる物が沢山ありますが、無闇に触ってはいけませんね。
「……探偵さんよぅ。魔物って何なんだい? あの赤い実が指を食っちまうと言うのかい?」
「ああ、康夫さん。魔物というのは魔力を持つものです。この異世界は魔物だらけです。危険な輩も沢山います。なので充分注意して頂かないと」
「はぁ……。よく分からんが、怖い輩がいっぱいいると言う事だな」
「そうです」
何だか異世界と言うのは恐ろしい所のようです。でも、探偵さんの知識があれば何とかなりそうです。
「探偵さん、頼りにしてます」
じぃじと探偵さんの背中を追いかけ、1時間くらいは歩いたでしょうか。
「もうすぐ森を抜けられそうです」
そう言いながら探偵さんが指差した先には、光がありました。探偵さんが言うように、もうすぐ森から出られると言う事は、光を見れば分かります。
「ああ、もうすぐなんですね。嬉しいです」
少しウキウキして足取りも軽やかになった途端、じぃじが足を止めたんです。
「じぃじ、どうしたのですか?」
「わしはもう歩けん。疲れた」
「もう少しじゃないですか。ほら、頑張ってください」
「無理じゃ、無理じゃ、無理じゃ」
じぃじが、子供のように駄々をこね始めましたが、こんな時の対処は心得ております。何と言っても45年も連れ添った夫婦ですもの。
「じぃじ、もう少しだけ頑張りましょう。森を抜けたらすぐご飯にしましょう。だからもう少しだけ」
「おお、そうじゃの。腹が減ってきたのぅ」
「じぃじは何が食べたいですか? じぃじのために腕をふるいますわよ」
「そうじゃのぅ。ばぁばの肉じゃがと秋刀魚の塩焼きなんてのはどうじゃ?」
「そうしましょう。肉じゃがと秋刀魚。煮浸しも作りましょうね」
少しは元気が出てきたようです。じぃじの足が動き始めました。
「ところで探偵さんよ。この異世界とやらでも、肉じゃがや秋刀魚が食えるんかい?」
「大丈夫ですよ。光江さんのアイテムボックスには10年分の食材やら、何やらが入っています」
「ほぅ、アイテムボックスとな。ほぅ、ほぅ、納得じゃ。……それで、なんじゃ? そのアイテムボックスとやらは」
まだ66なのに、じぃじはもう呆けが始まったのでしょうか。少し心配です。
「もう、じぃじったら、やだわ。こっちの世界に来る前に探偵さんから説明あったじゃない。何も持たずに旅は出来ないって。だから好きな物を入れておける箱があるって」
「おお、そうじゃった。値が高いほど箱が大きくなる言うから、探偵さんに一番高いやつを頼んだんじゃった」
まだ呆けていなかったようで、私、少し安心致しました。
あら。そんな話をしていたら、あっと言う間に森を抜けたじゃありませんか。さっきまでとは別世界です。どこまでも続く広い広い草原です。キラキラと光っております。
「そうですね。とりあえず町を目指してみましょう」
さすが私の夫と探偵さんで御座います。もうちゃんと次の事を考えていらっしゃる。
獣道と言うのでしょうか。鬱蒼とした森ではありますが、人が通った跡は御座います。あら、2人はもう歩き始めているじゃありませんか。遅れを取ったら大変です。でもあの赤い果実を捥いでもいきたいのです。
「じぃじ、ちょっとお待ち頂けませんか?」
「んっ? どうしたんじゃ?」
じぃじと探偵さんが、足を止めて振り返ってくださいました。
「あの赤い果実です。美味しそうなので、幾つか捥いでいこうかと」
私、そう言いながら、そっと手を伸ばそうとしたのです。すると探偵さんが慌てて大きな声を出されました。
「光江さん! 触っちゃダメです!」
大きな声に驚いて、さっと手を引いたので良かったです。さっきまでただの赤い果実に見えていたのに。あら、大変。果実に顔があるじゃありませんか。しかも大きく開けた口の中には、尖った歯が見えているじゃありませんか。
「その果実は魔物の一種です。触らなければ害はないですが、指の1本や2本、簡単に食いちぎられてしまいます」
「まぁ、怖い。探偵さんがいらっしゃって良かったわ。もしかしたら今頃、指が失くなっていたかもしれませんわ」
森の中には赤い果実の他にも気になる物が沢山ありますが、無闇に触ってはいけませんね。
「……探偵さんよぅ。魔物って何なんだい? あの赤い実が指を食っちまうと言うのかい?」
「ああ、康夫さん。魔物というのは魔力を持つものです。この異世界は魔物だらけです。危険な輩も沢山います。なので充分注意して頂かないと」
「はぁ……。よく分からんが、怖い輩がいっぱいいると言う事だな」
「そうです」
何だか異世界と言うのは恐ろしい所のようです。でも、探偵さんの知識があれば何とかなりそうです。
「探偵さん、頼りにしてます」
じぃじと探偵さんの背中を追いかけ、1時間くらいは歩いたでしょうか。
「もうすぐ森を抜けられそうです」
そう言いながら探偵さんが指差した先には、光がありました。探偵さんが言うように、もうすぐ森から出られると言う事は、光を見れば分かります。
「ああ、もうすぐなんですね。嬉しいです」
少しウキウキして足取りも軽やかになった途端、じぃじが足を止めたんです。
「じぃじ、どうしたのですか?」
「わしはもう歩けん。疲れた」
「もう少しじゃないですか。ほら、頑張ってください」
「無理じゃ、無理じゃ、無理じゃ」
じぃじが、子供のように駄々をこね始めましたが、こんな時の対処は心得ております。何と言っても45年も連れ添った夫婦ですもの。
「じぃじ、もう少しだけ頑張りましょう。森を抜けたらすぐご飯にしましょう。だからもう少しだけ」
「おお、そうじゃの。腹が減ってきたのぅ」
「じぃじは何が食べたいですか? じぃじのために腕をふるいますわよ」
「そうじゃのぅ。ばぁばの肉じゃがと秋刀魚の塩焼きなんてのはどうじゃ?」
「そうしましょう。肉じゃがと秋刀魚。煮浸しも作りましょうね」
少しは元気が出てきたようです。じぃじの足が動き始めました。
「ところで探偵さんよ。この異世界とやらでも、肉じゃがや秋刀魚が食えるんかい?」
「大丈夫ですよ。光江さんのアイテムボックスには10年分の食材やら、何やらが入っています」
「ほぅ、アイテムボックスとな。ほぅ、ほぅ、納得じゃ。……それで、なんじゃ? そのアイテムボックスとやらは」
まだ66なのに、じぃじはもう呆けが始まったのでしょうか。少し心配です。
「もう、じぃじったら、やだわ。こっちの世界に来る前に探偵さんから説明あったじゃない。何も持たずに旅は出来ないって。だから好きな物を入れておける箱があるって」
「おお、そうじゃった。値が高いほど箱が大きくなる言うから、探偵さんに一番高いやつを頼んだんじゃった」
まだ呆けていなかったようで、私、少し安心致しました。
あら。そんな話をしていたら、あっと言う間に森を抜けたじゃありませんか。さっきまでとは別世界です。どこまでも続く広い広い草原です。キラキラと光っております。
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