10 / 36
1章 運命の出会い
第8話 番契約
しおりを挟む『あ、そうだわ!ルイン、サフィーちゃん。あなた達、番契約はどうなっているの?』
「……?まだしてないよ。だってさっき出会ったばかりで、色々な話をしてたからね」
『そう。早くした方がいいわよ。というか、今すぐしなさい』
「理由を聞いてもいい?」
『ええ。発情期のことは知っているでしょう?』
「うん」
「……はい」
『サフィーちゃんの発情期は、通常よりも早く来ると思うわ』
「……何故でしょう?」
『だって私が早く来たんだもの。あ、ちなみに、竜族は運命の番しか伴侶にしないわ。運命の番が出来ると通常は1か月後に発情期が来るけれど、私は2週間後に来たのわ。通常の半分よ?来た時は、マジかと思ったわ』
「だから私も早いと?」
『ええ。だって、よく考えてみて?"精霊王の王“と竜族の息子よ?最強同士の子供じゃない。何があってもおかしくないわ。もしかしたら私よりも早いかもしれない。私の場合はお互いの独占欲のお陰で出会ってすぐに番契約をしたから大丈夫だったけれど。もしこのまま番契約をしないで通常より早く発情期が来たときのことを考えてみなさい?サフィーちゃん襲われるわよ』
お義母様がドスの効いた声で言った。
「確かに。予期せぬ発情期でフィアがもし襲われたらなんて、考えただけで恐ろしい。
フィア、俺と番契約してください。
これを申し込むのは、ただの俺の独占欲だと思って?フィアが誰かに奪われるだなんて、死んでも考えたくない。お願い、フィア。
俺とこれからの人生を共に歩んでください」
ルドが真剣な眼差しで言う。
私の心は既に決まっている。
「はい、私と幸せになってください」
「ありがとう、フィア。愛してる」
「私もよ、ルド。愛してるわ」
お互いに近づき、触れるだけの、幸せなキスをした。
『じゃあ早速番契約をしましょうか』
「真名を明かして誓い合えばいいのですか?」
『ええ、そうよ。2人だけの言葉で誓い合うの。正解はないから自由にするといいわ』
「フィア」
「ルド」
辺りは鎮まり、静かな静寂が訪れる。
「真名は、ルインドレッド・フィル・リード・カイルラント」
「真名は、サーフィリア・フィアナ・ルナ・アイラック」
「我、ルインドレッド・フィル・リード・カイルラントは誓う。永遠にサーフィリア・フィアナ・ルナ・アイラックを愛し、己の持つ全ての力を使い、守り抜き、幸せにすることを」
「私、サーフィリア・フィアナ・ルナ・アイラックは誓います。私の全てをもって、ルインドレッド・フィル・リード・カイルラントを永遠に愛し抜き、幸せにし、共に歩んでいくことを」
お互いに真名を明かし、誓い合ったところで、眩い光が辺りを包み込んだ。
次第に光は収まり、フィアとルドの胸に吸い込まれていった。
吸い込まれる前に、自分の魔力でできた一本の鎖がお互いの胸から伸びて、混ざり合い、繋がったのが分かった。
『『おめでとう。2人供お幸せに』』
「「ありがとう(ございます)。幸せになる(りますわ)」」
幸せな空気が流れたが、忘れていた。
「あ、私自分の両親に何も言ってないわ」
「そういえばそうだね」
「どうしましょう?」
『取り敢えず挨拶に行きましょうか。私達が行けないのが残念でしょうがないけれど』
『リナはただ嫌味が言いたいだけだろう』
『そうよ。こんないい子を愛さないなんて、どうかしてるわ』
「ふふ、ありがとうございます」
『私達が貴女の新しい両親よ』
「ありがとうございます。嬉しいですわ」
『いっぱい甘えてくれていいのよ?』
「母さん、それは俺の役目だから」
『ふふ、そうね。でも私も娘ができて嬉しいわ。……また子どもが欲しくなってきたわ。ルイン、貴方も兄弟が欲しいわよね?』
若干、リナが圧を掛けながらルインに問う。
「それは父さんに言わないとだよ?」
『ふふふ、ロナ?』
『もう1人つくるか?』
『ええ、そうね』
ルドの兄弟ができることが決まったようだ。
『とは言っても、私達は子どもができにくいから、そんなにすぐできないのよね。魔力の高い者は、総じて子どもができにくいわ。寿命が長いことが関係していると思うのだけど…』
「それは初めて知りましたわ」
『あまり知られてないのよね。寿命が長いから、子孫を残すための能力が劣っているのかしら。でも、性欲がないわけではないのよね。むしろ、子どもができにくい分性欲は強いし、魔力や身体能力は高いわ。逆に、人間は能力が低い者が多いでしょう?その分繁殖能力は高いわよね』
「確かに、人間の血が濃い者ほど子どもはできやすいですわよね」
『そうなのよ。私の兄弟は上に兄がいるだけだもの。兄とは200歳くらい歳が離れているわね。
今は父が隠居して、兄がグランキール国を治めているの。父は早く隠居して母と2人きりで過ごしたかったのですって。そのうち弟か妹が出来るかしら?ふふっ』
「お義母さまは竜族が治めているグランキール国の王女様だったのですか⁉︎」
『ええ、父が王だったわ。今の身分は王妹にあたるわね』
「それでは、ルドはグランキール国の王族の血を引いているのですね…」
「フィア?何か不安なの?」
まさかの、ルドがグランキール国の王族の血を引いているという事実を知って、驚きと共に不安を抱いた。
「だって…この事実をみんなが知ったら、ルドの妻になりたいと言い出す人が絶対にいるわ。それで、もしもルドが他の人を好きになってしまったら……。私は生きて行けないわ…」
「そんなこと考えていたの?さっき番契約をしたでしょう?俺達には確かな絆がある。信じて?
俺はフィア以外を好きにならない。一番に愛するのはフィアだけだよ。その次に俺たちの子供。
フィア、愛してるよ」
「ありがとう、ルド。どうしても不安になってしまうの…。前世で愛されてこなかったから、自信を持つことができないのよ」
「いいよ。不安になったらいつでも言って?何度でも俺がフィアを愛してるって伝えるから」
「ありがとう……」
その言葉が本当に嬉しくて、涙を流しながらも笑みを浮かべた。
泣き笑いのようなその顔が儚く、その場にいる者全員を惹きつけた。
「フィア、そんな可愛い顔は俺以外に見せないで?」
『ふふふ、独占欲が強いわね』
「……?分かったわ」
何故ルドがそんなことを言うのか分からないが、とりあえず言っておく。
『コレは分かっていないわよ?ふふふ、大変ね』
分かっていないことはバレているようだ。
「フィアは自分が可愛いってことが分かっていないんだよ。どうしたら自覚してくれるのかな?」
そんなことを言われても、自分が可愛いと自信を持って言うことはできないと思う。
「私はルドが可愛いと思っていてくれればそれでいいわ」
「本当に可愛い。無自覚でコレを言うんだから、俺の理性はいつまでもつかな?」
『ふふふ。ルイン、大人になるまではダメよ?』
「……分かってるよ。フィアと結婚できるのは5年後か」
「そうね。今私は10歳だから。成人が15歳だもの」
「長いな…」
「ごめんなさい?もう少しだけ待っててね?」
可愛いらしく首を傾げて言うと、
「だから、その可愛さは反則だって」
「ふふ、やられてばかりじゃないのよ?」
「いや、やられてるのは俺の方なんだけど」
「いいえ?ルドにはずっとドキドキさせられてるわ」
「じゃあ、お互い様だね」
「そうね」
2人は微笑み合った。
そろそろ戻らなければならない。
『もう、戻るのか』
『寂しいわ』
「また会いに来るから」
「2人でまた来ますわ」
『ああ、楽しみにしてる』
『待ってるわ』
「あ、そういえば、ガーデンパーティーってどうなっていますの?」
『ああそれはな、精霊界と地上では流れている時間が違うのだが、時間を指定すれば、精霊界に来た時間に地上に出る事ができるぞ』
「そうなんですのね。ありがたいですわ」
『それではまた近いうちに会いましょう』
「「うん(はい)」」
『あぁ、サフィー。申し訳なかった』
「何がですの?」
『君の魂が向こうの世界に行ってしまったのは、私が君の魂が攫われるのを防げなかったからだ。予想出来なかったこととはいえ、俺が防げれば、君に辛い思いをさせずに済んだ。本当に申し訳ない』
私の魂は攫われたのか。
「気になさらないで?確かに辛い経験でしたけれど、こうしてまたルドに出会うことができましたもの。私は今世で幸せになれればそれでいいですわ」
『ありがとう…』
誰に攫われたのかはわからない。
それは今考えてもしょうがない。
いつか、その問題にあたることがあるかもしれないが、それを考えるのは今ではない…。
そうして別れを告げ、ガーデンパーティーの会場へ戻る。
***
精霊界から帰ってくると本当に精霊界に行った時の時間に戻っていた。
そして、明日また会う事を約束して2人は別れ、それぞれの家に帰った。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】地下牢同棲は、溺愛のはじまりでした〜ざまぁ後の優雅な幽閉ライフのつもりが、裏切り者が押しかけてきた〜
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
悪役令嬢の役割を終えて、優雅な幽閉ライフの始まりだ!! と思ったら、なぜか隣の牢との間の壁が崩壊した。
その先にいたのは、悪役令嬢時代に私を裏切った男──ナザトだった。
一緒に脱獄しようと誘われるけど、やっと手に入れた投獄スローライフを手放す気はない。
断れば、ナザトは「一緒に逃げようかと思ったけど、それが嫌なら同棲だな」と言い、問答無用で幽閉先の地下牢で同棲が開始されたのだった。
全4話です。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
モブ令嬢、当て馬の恋を応援する
みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。
心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。
三月べに
恋愛
古川七羽(こがわななは)は、自分のあか抜けない子どもっぽいところがコンプレックスだった。
新たに人の心を読める能力が開花してしまったが、それなりに上手く生きていたつもり。
ひょんなことから出会った竜ヶ崎数斗(りゅうがざきかずと)は、紳士的で優しいのだが、心の中で一目惚れしたと言っていて、七羽にグイグイとくる!
実は御曹司でもあるハイスペックイケメンの彼に押し負ける形で、彼の親友である田中新一(たなかしんいち)と戸田真樹(とだまき)と楽しく過ごしていく。
新一と真樹は、七羽を天使と称して、妹分として可愛がってくれて、数斗も大切にしてくれる。
しかし、起きる修羅場に、数斗の心の声はなかなか物騒。
ややヤンデレな心の声!?
それでも――――。
七羽だけに向けられるのは、いつも優しい声だった。
『俺、失恋で、死んじゃうな……』
自分とは釣り合わないとわかりきっていても、キッパリと拒めない。二の足を踏む、じれじれな恋愛模様。
傷だらけの天使だなんて呼ばれちゃう心が読める能力を密かに持つ七羽は、ややヤンデレ気味に溺愛してくる数斗の優しい愛に癒される?
【心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。】『なろうにも掲載』
ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。
ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。
ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。
竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。
*魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。
*お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。
*本編は完結しています。
番外編は不定期になります。
次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
乙女ゲームに転生したので、推しの悲恋EDを回避します〜愛され令嬢は逆ハーはお断りです!
神城葵
恋愛
気づいたら、やり込んだ乙女ゲームのサブキャラに転生していました。
体調不良を治そうとしてくれた神様の手違いだそうです。迷惑です。
でも、スチル一枚のサブキャラのまま終わりたくないので、最萌えだった神竜王を攻略させていただきます。
※ヒロインは親友に溺愛されます。GLではないですが、お嫌いな方はご注意下さい。
※完結しました。ありがとうございました!
※改題しましたが、改稿はしていません。誤字は気づいたら直します。
表紙イラストはのの様に依頼しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる