異世界召喚に巻き込まれた女は男として生きる

白雪の雫

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2.北斗、暁華国を調べる

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 古代中国の皇帝っぽい格好をしている青年こと皇帝によって宮殿を追い出されて市場を歩いている私は、現地人から見れば変わった格好をしていたのでしょうね。(パンツスーツだった)

 道行く人々(といっても全員男性だけど)から好奇の目で見られていたの。

 これはやばい!と思った私は服屋で男物の漢服を買ってその場で着替えたわ。

 女物の漢服と洋装を中華風にアレンジした服もあったけど、それを纏う事が出来るのは額と腹部に花の痣がある男だけだと店長が言っていたわね。

「誰も私を見なくなった・・・」

 注目されなくなった事で行動しやすくなった私は旅人を装って情報収集に努めたの。

「実は僕、両親の死を切っ掛けに独り立ちをしようと思い北の辺境の・・・地図にも載っていない村から来たのですが、この国の事について教えて頂けないでしょうか?」

 飯店の店主さん(200cm超えの男でムキムキマッチョ)とか酒家の主人さんと奥さん(共に190cm超えの男で旦那と同じくらいにムキムキマッチョ)から聞いて分かった事だけど───

 ・暁華国を治めているのは趙 藍蓮という皇帝である

 ・後宮には皇帝に仕える額と腹部に花の痣がある男が居るのだが、千人とも三千人とも言われている

 ・詳しい理由は分からないがこの世界には女という生き物は存在しない

 ・暁華国だけではなく他国にも言える事だが、この世界の男達は額と腹部に花の痣がある男と結婚する

 ・額と腹部に花の痣がある男だけが子供を産む事が出来る

 ・額と腹部に花の痣がある男から産まれてくるのは男児のみである

 ・後宮に入る、色街の男娼になる事が出来るのは額と腹部に花の痣がある男と決まっている

(男が子供を産むって・・・どうやって産むのかしら?)

 帝王切開?

 何とか大魔王のように口から卵を産む?

 オメガバース?

 男のΩを孕ませる事が出来る女のαが存在しないからオメガバースではないわね。

 額と腹部に花の痣がある男はカントボーイ?

 カントボーイだとすれば自然分娩?

(・・・・・・異世界だもの。男が子供を産んだり、男しか存在しない世界があっても不思議ではない、か)

 深く考える事を放棄した私は酒家で借りた部屋のベッドに座りながら、これからどうするべきかを考えたの。

(日本に帰れないのなら、この世界で生きていくしかない・・・)

 異世界召喚に巻き込まれた日本人って平和な世界で生きてきたのだから、何かしらのチートが与えられているのがお約束よね?

 異世界もののお約束通り、魔法で火を出したい時は「ファイア」、水を出したい時は「ウォーター」って唱えたらいいのかな?

「ファイア」

 マッチの火を思い浮かべながら人差し指を立てて唱えてみたのだけど・・・指先に火は出なかったわ。

 どうやらこの世界には魔法が存在しない?

(或いは・・・)

 この世界は中世から近代ヨーロッパ的ではなく古代中国っぽい異世界。

 という事は魔法のような力は【魔法】ではなく【妖術】とか【法術】のようなものとして捉えられているのではないかしら?

 そう思った私は三国志をベースにした某ゲームに出てくる某教祖のように「天よ、我に奇跡を」と唱えながらマッチの火を思い浮かべてみたの。

 すると・・・

「やっぱり」

 私の人差し指の指先にはマッチの火くらいの大きさをしている炎が出ていたの。

 火だけではなく水に風、氷に雷、回復に浄化等

 検証していった結果、どうやら私はこの世界では全属性と表現するのが正しいかどうか分からないけど、妖術(?)法術(?)だけではなくストレージが使える事が分かったわ。

 室内だから無意識にセーブしてしまったのだと思う。

 私が妖術(?)法術(?)で出した火や水は小さかったから実際はどれくらいの規模で使えるのか分からないけどね。

「暁華国の文明と文化が地球で言えばどの時代に該当するのか見当がつかないわね・・・」

 辮髪じゃないから清ではないという事は分かるのだけど、チャイナドレスをアレンジしたような服だけではなく教科書に載っている楊貴妃が着ていそうな衣装、古代中国を舞台にしたゲームに出てきそうな中華風にアレンジしている衣装が店に売っていたから唐辺りなのかも知れない。

「・・・・・・まぁ暁華国の文明と文化がどの時代に該当するのかを考えるより今の私にはやるべき事があるわ」

 皇帝から口止め料として貰ったお金があるから暫くは遊んで暮らせるだろうけど、お金は有限だもの。

「明日から就職活動をしないといけないわね・・・」

 まさか異世界で就活するなんて夢にも思っていなかった私は自分で口にした就職活動という言葉で一気に疲れが押し寄せてきて眠ってしまったわ・・・。









※ケツ顎であっても、オネエであっても額と腹部に花の痣がある男(金持ち)であれば「お嬢様」と呼ばれる。
後宮に入って皇帝に気に入られたら「寵姫様」「お妃様」「皇后陛下」と呼ばれるし、宦官のように後宮で働ける男でもあります。
花街の娼婦ならぬ男娼も額と腹部に花の痣がある男だったりします。








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