悪役令嬢は所詮悪役令嬢

白雪の雫

文字の大きさ
4 / 7

②ヒロインによる逆転劇-2-

しおりを挟む









 待つ事暫く

 「聖女アネットよ、今宵はサタナスを倒した二人の英雄を祝う宴だ。主役であるそなた達の為に用意した衣装は王宮に用意してある」

 今すぐ王宮へと向かうが良い

 リリスと取り巻き達によるアネットの断罪という名の茶番劇が繰り広げられていた教会にやって来たのは王国の統治者である国王と衛兵達、教会の頂点に立つ教皇、そして彼女と共にサタナスを討ち取ったヴァンパイアハンターであるオデッセイアだった。

 「恐れ入りますが、国王陛下。私、アネット=アンダーソン・・・いえ、アネット=シュナイダーは今宵の宴に参加する事が不可能となりました」

 アネットが国王にカーテシーをした後、リリス公爵令嬢に対する嫌がらせの実行犯として王太子のメフィストを中心とする貴族子息達に国外追放の沙汰を下されてしまった事を話した。

 「妻が国外追放になるのであれば夫である私も共にするのが道理。互いに信頼し合い、同じ道を歩むのが夫婦というもの。陛下、私はアネットと共に国を出て行きます」

 「ですが、国を出て行く前に一つだけお願いがございます。国王陛下、サタナスの首と死体をリリス様達に披露してもよろしいでしょうか?」

 自分達の身の潔白を証明したいと、アネットが国王に願い出る。

 「父上!何故、こんな悪女を庇うのですか!?この女は平民の分際で聖女を騙り私が愛するリリスを殺そうとしただけではなく、サタナスを倒したと父上達を騙しているのです!!」

 「メフィスト!余と教皇の命令でオデッセイアと共に一年以上も前からダークネス城にサタナス討伐へと向かっていたアネット嬢がリリス嬢に対してそのような嫌がらせが出来るはずがなかろうが!!」

 それに、お前にはアネット嬢のみならず他人を裁く権限と権利などないわ!!!

 「そ、そんな!私は王太子なのですよ!それに・・・先程から申し上げているようにリリスは聖女を騙るアネットに何度も命を狙われていたのです!」

 「では、尋ねよう。アネット嬢がリリス嬢の命を狙っていたという証拠を出してみよ!」

 「本人と我等の証言こそが、聖女を騙る卑しいアネットが愛しいリリスを虐めていた証拠になります!!」

 (この馬鹿息子が!!)

 オデッセイアとアネットがダークネス城に向かう道中で、オークやコカトリス、ワイバーンやドラゴンといったモンスターを狩り、それ等を冒険者ギルドに卸して換金したり、立ち寄った村や町が襲われていたら(金目的で)モンスターを倒していたのだ。

 二人が死と隣り合わせの旅をしている間、メフィスト達はリリスと色に耽る日々を送っていた事を【影】から報告を受けていた国王は、今の一言で第一王子を捨てて第二王子を王太子に立てる事を決意する。

 乳房と乳首だけではなく、クロッチの部分に穴が開いているランジェリーが透けて見えるドレスを纏っている痴女の色香に惑わされたメフィストと息子の側近になる筈だった青年達に国王は頭を抱えるが、ここはアネットが言っていたようにサタナスの死体を見せれば息子達も自分が犯した罪の重さを自覚できるだろう。

 「聖女アネットよ。あ奴等にそなた達が倒したサタナスを見せてやるがよい」

 オデッセイア=シュナイダー。アネット=シュナイダー。今宵の祝宴でそなた達二人には男爵位ではなく子爵位を授けるし、メフィストが言い渡したという国外追放も取り消す!

 それだけではなく、今回の冤罪事件に関わった家からアネット嬢に相場の倍以上の慰謝料を支払う事を国王の名を以て約束する!

 だから、王国に残ってくれぬか?!

 一国の王が頭を下げるのは国の権威に関わるので、国王は二人に対して頭を下げていない。

 だが、地位と金を提示する事で国王は、オデッセイアとアネットを王国へ引き留めようとしていた。

 最強のヴァンパイアハンターとして名高いシュナイダー家の男と、前衛で戦える聖魔法の使い手を輩出してきたアンダーソン家の女が王国から出て行くというのは国にとって大きな痛手なのだ。

 ましてや、オデッセイアとアネットは吸血鬼の恐怖から世界を救った英雄である。

 そんな二人を、リリス嬢に対する嫌がらせという冤罪で国から追い出してしまったらどうなるか──・・・。

 王家は民にそっぽを向かれ、近隣諸国は英雄に対する仕打ちを広める事で王国を追い詰めると同時に、二人を自国に招き入れるだろう。

 「国王陛下、私とアネットは爵位を望んでおりません。その代わりと言っては何ですが、我等が行動しやすいように色々と便宜を図って頂きたいのです」

 そんな事でシュナイダーとアンダーソン両家を王国に留めておけるのなら易いものだと考えた国王は、自分が目にしたサタナスの首と死体を披露する事を許可するのだった。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

これぞほんとの悪役令嬢サマ!?〜掃討はすみやかに〜

黒鴉そら
ファンタジー
貴族の中の貴族と呼ばれるレイス家の令嬢、エリザベス。彼女は第一王子であるクリスの婚約者である。 ある時、クリス王子は平民の女生徒であるルナと仲良くなる。ルナは玉の輿を狙い、王子へ豊満な胸を当て、可愛らしい顔で誘惑する。エリザベスとクリス王子の仲を引き裂き、自分こそが王妃になるのだと企んでいたが……エリザベス様はそう簡単に平民にやられるような性格をしていなかった。 座右の銘は”先手必勝”の悪役令嬢サマ! 前・中・後編の短編です。今日中に全話投稿します。

お母さんはヒロイン

鳥類
ファンタジー
「ドアマット系が幸せになるのがいいんじゃない」 娘はそう言う。まぁ確かに苦労は報われるべきだわね。 母さんもそう思うわ。 ただねー、自分がその立場だと… 口の悪いヒロイン(?)が好きです。

私は悪役令嬢……え、勇者ですの!?

葉月
ファンタジー
「カミラ。お前との婚約を破棄する!」 公爵令嬢でディラン王太子の婚約者であるカミラ。卒業パーティの最中に婚約破棄の上、その根拠として身に覚えのない罪を言い渡された。 そして、ディラン王太子の命令により強引に捕らえられそうになる。相手は学園の生徒全員と兵士。一方、カミラは武器も仲間もなし。多勢に無勢の状況でも彼女は諦めなかった。 追い詰められた時、彼女は覚醒したのだった。 ※この作品は小説家になろう、カクヨム、ノベルアップにも掲載しています。 短編です。3話で完結します。続編については未定です。書くかもしれません。

転落王太子…しかし?

越路遼介
ファンタジー
平和な王国セントエベールの王太子オルソンは男爵令嬢のミランダにたぶらかされて婚約者である公爵令嬢に婚約破棄を告げてしまう。そこから始まる彼の転落人生。 悪役令嬢転生ものを読んで思いついた短編です。主人公である悪役令嬢の痛快な逆転劇でめでたしめでたしと終わるのが定番ですが、本編の主人公は婚約者である王太子の方です。1話だけの短編で、後半まではダイジェストっぽいです。

【完結】貴女にヒロインが務まるかしら?

芹澤紗凪
ファンタジー
※一幕完結済。またご要望などあれば再開するかもしれません 乙女ゲームの悪役令嬢に転生した元・大女優の主人公。 同じく転生者である腹黒ヒロインの策略を知り、破滅を回避するため、そして女優のプライドを懸け、その完璧な演技力で『真のヒロイン』に成り変わる物語。

悪役令嬢は美貌と権力でざまぁする

Ao
ファンタジー
婚約破棄された悪役令嬢が、その完璧な美貌と生まれ持った絶対的な権力を武器に、自分を貶めた王子とあざといヒロインに徹底的な「ざまぁ」を仕掛ける、痛快無比な復讐劇! ヴァレンシュタイン公爵家の令嬢、フェリシア。絶世の美貌と明晰な頭脳を持つ彼女は、しかしその内面に冷徹な性格を隠し持っていた。ある日、王子が「真実の愛」と称して下級貴族の娘・リリアーナを選び、フェリシアとの婚約を一方的に破棄する。社交界の嘲笑と憐憫の視線の中、フェリシアは内心で嗤う。 しかし、彼女の転落は、新たな始まりに過ぎなかった。婚約破棄されたことで、かえってその比類なき家格と美貌が国内外の有力者たちの垂涎の的となり…

転生少女の暇つぶし

叶 望
ファンタジー
水面に泡が浮上するように覚醒する。どうやら異世界の知識を持ったまま転生したらしい。 世界観や様々な物は知識として持っているものの、前世を生きていたはずの記憶はこれっぽっちも残っていない。 リズレット・レスターはレスター辺境伯爵家の長女だ。異世界の知識を持つリズレットは娯楽がろくにない世界で暇を持て余していた。 赤子なので当然ではあるもののそれは長い時間との戦いだ。時間を有意義に楽しく過ごしたい。その思いがリズレットを突き動かす原点となった。 ※他サイトにも投稿しています。

アドリアナさんはヒロインでした。

みなせ
ファンタジー
誰かが机を叩きました。 教室が鎮まると、アドリアナさんはメアリーさんに向かって尋ねました。 アドリアナさんによる、メアリーさんの断罪の始まりです。 小説家になろうさんにも掲載しています。

処理中です...