【恋愛】目覚めたら何故か騎士団長の腕の中でした。まさかの異世界トリップのようです?

梅花

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72話

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「良く似合っているな」

支度が終わって暫くしていると、部屋にノックがありベルゴッドが顔を出した。

「ベルゴッド……さま?」

二人きりの時は呼び捨てでと言われていたが、まだメイドたちが片付けをしているため、美南は敬称をつける。
それに、ベルゴッドは苦笑する。

「シルヴィアの事はシルヴィアと呼ぶのに、俺はベルゴッド様か?ベルゴッドでいいと何度も」
「流石に、異性を呼び捨てにするのは……」

ベルゴッドの問に否を唱えると、ゆっくりとベルゴッドが近づいてくる。

「ミナミこれを」

ベルゴッドがポケットから取り出した箱が、美南の手に乗せられた。
手よりも少し大きくて細長いそれ。

「開けて見て欲しい」

そう言われて、美南は箱を開けた。
包みもリボンも無いシンプルな箱の中身は綺麗な真珠を使った簪だった。

「良かったら貰ってくれ、シルヴィアと揃いになっている」

そう言われると嫌だとは言えない。
こくりと美南が頷くと、メイドがひとり近付いて美南も持つ簪を箱ごと受け取る。

「ミナミ様、こちらへ」

促されたドレッサーの前。
椅子に座らされると、手早く髪が解かれた。
解かれたと言っても、刺してあった造花を抜き簪へと変えるだけなのだが、それだけで印象がだいぶ変わる。
美南には櫛で解くしかできなかった剛毛の髪をこんなにも綺麗に結い上げてくれるメイドさんたちの技術が凄く、教えて貰えないかと思ったくらいだったが、そんな時間もなく美南は諦めたのだが。

「シルヴィアもこの簪を?」
「あぁ、先日渡してある」
「でもこんな高価なものをいただく訳にはいきませんから、今日だけお借りします」

美南はぺこりと頭を下げたが、ベルゴッドは肩を竦めて見せる。

「恋人に贈り物をして何が悪い?シルヴィアと揃いのものだから、遠慮しないでくれ……それに、初めての贈り物だと言うのに……もっとちゃんとした物を贈りたかっ……そうか、これを贈らなければもっとしっかりとしたものを!」

何だか怖い事を言い始めたベルゴッドを慌てて止めると、これでいいですと美南は伝える。
誰かに何かを貰うことに慣れていない美南。
学生の頃に友達同士でプレゼントのやりとりをした事はあるが、それはお小遣いの範囲内であったため金額的にもたかが知れている。
だが、ベルゴッドが妹のシルヴィアに贈った物の揃いだから、安価なものではないだろう。
と言うか、シルヴィアの為に作らせたデザインなのだからあの注文の時点で一緒に頼んでいたのだろうか。
そんなことを考えながら美南はベルゴッドを見上げ微笑んだ。

「大切にします」
「俺もな」

ベルゴッドの言葉に美南は小首を傾げるのだった。
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