ざまぁをご所望でしょうか?

はなまる

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エピローグ ざまぁは 悪役令嬢にはいらない

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「でも・・・・・・ あなたの力は必要ないわ」

 ラブリナに 任せていたら、 どんな最悪な事態に陥るか わかったものではない。 だから、ちゃんと対策を立てて行ったはずではないか。
 私はギリギリのところで冷静になれた。
 
 ルルリナが 私の罪をでっち上げたことにされて、 彼女が代わりに断罪されるというところだろうか。
 さすがにそれはやりすぎだと思う。

 ざまぁ怖ぁ。

 私は 私のやり方で立ち回らせてもらうよ!
 

「 これはどういうことだ!」

 国王陛下の登場です。 私との繋がりを知られていない 貴族令嬢に呼んで来てもらったんだよ。

「 父上、 犯罪者の ルナシオンを断罪しているところです」
「 ふざけた真似をするな!」

 至極当然のことをしていると思っているクリシュマルドを、 国王陛下は力いっぱい殴った。

「父上、 何をなさるのですか!?」
「 それはこちらのセリフだ! 相手はフュリアス公爵家の娘だぞ。 秘密裏に処理するべきではないか!」
「 ルナシオンの罪を握りつぶせとおっしゃるのですか!」
「 そうではないが 、表沙汰にすると色々とまずいのだ」

 ゲーム通りだと、この後にルルリナが フュリアス公爵家を 潰すことになるのだが、 現段階の 我が家は 敵に回すには厄介な力を持っている。

 ルルリナは 大変優秀だが、 クリシュマルド以外の人間を信用していない。 私のようにうまく人を使うことができないのである。
 ルナシオンの 統率力は絶大だ。それを利用しない手はない。

 国王陛下の登場で、 カルセドニーの手が緩んだ。 私は体の痛みを押しのけて 立ち上がり、淑女の礼 カーテシーをしてみせた。

「 国王陛下様、ごきげんよう。 発言の許可をいただけますか?」
「うむ、許そう」
「 ありがとう存じます。 私がルルリナ様にしでかしたことは事実にございます。 謹んで罰をお受けいたします。 ただし、国外追放という形で」
「しかし、フュリアス 公爵家を敵に回すわけには・・・・・・」
「 お父様には私の方からうまく言っておきます。陛下は この場を収めることだけを考えてくださいませ」
「 私の愚息が すまなかったな」
「いいえ、 悪いのは全て私です」
「だが、 あれの父親として謝罪を受け入れてほしい」
「 そういうことでしたら、分かりました」

 お互いに水に流す。 これで丸く収まったかな。

 ところが・・・・・・。

「 凶悪なその女を野放しにするというの!」

 ルルリナが 癇癪を回すように 喚きだした。
 せっかく穏便に済んだところを、 なんでわざわざかき回すのかな。 もう少し妥協を覚えて、 折り合いをつけようよ。

「よせ、ルルリナ。 僕には君さえいてくれたらいい」
「 クリシュマルド様」

 ルルリナと クリシュマルドは見つめ合って、二人の世界に入っている。 実におめでたいことだ。・・・・・・ 二人の頭がね。

「 クリシュマルドよ、王太子には 第一王子の バルバトスを 任命する」
「 待ってください! 僕が王位を継ぐはずではなかったのですか!?」
「フュリアス 公爵家の後ろ盾がない今、 貴様にその資格はない!」

 国王陛下がそう宣言すると、 クリシュマルドはなぜか 私の元にやってきて、 両手を握りしめてくる。

「ルナシオン、 僕が悪かった。 やり直そう」
「 ふざけるな!!」

 私は平手打ちを食らわせてやった。ざまぁは 怖すぎるから、 このくらいのささやかな仕返しが丁度いいよね。

「 私は何も見ていないぞ」
「 ありがとう存じます」

 国王陛下はクリシュマルドと違って空気が読める。
 クリシュマルドは悪い奴じゃないけど、ただのバカだ。 記憶が戻る前とはいえ、 こんなやつを好きだった自分が情けなくなってくるよ。

 このまますぐに旅立ちの準備をしてもいいけど、 私はルルリナに 向き直ることにした。

「ルルリナ」
「何よ!」

 ルルリナは、むっと した表情で 目を合わせてくれない。 返事は返してくれるから、話は聞いてくれると 思う。

「 本当にごめんなさい」
「えっ?」
「 いじめの件は全面的に私が悪いと思ってるよ。でも、 山賊の件は誤解だから。・・・・・・ 信じられるわけないよね」
「 私はあなたのことを絶対に許さない!」

 それはそうだ。 私だって同じことをされたら、 憎しみで頭がおかしくなることだろう。

「でも・・・・・・ 山賊の件は信じないこともないわ」
「ルルリナ、 ありがとう」
「 落ち着いたら手紙を書きなさいよ」
「 それって・・・・・・」
「 勘違いしないでよね。 一生かけて私に謝罪しなさいってことよ」

 ルルリナは ツンデレだね。 こういうところがあるから、 彼女にざまぁしたくなかったんだよ。 今は許してくれなくても、交流のチャンスをくれたのだから、 いつか仲良くなりたい。
 
「ざまぁをご所望でしょうか?」
「いいえ」

 物語の展開なんて望まない。 私はこれから、 私の道を歩んで行くんだ。


 
 [完]

 
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