あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

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「とりあえず今日のところは一旦失礼致します。二人きりで長時間いると言うのも外聞が悪いですし。」
「ええ。そうですわね。では日を改めてよろしくお願いします」
「はい。ああ、アリアナ殿。財産管理権があなたに移られたのであれば一つご相談がございます。」
「はい。」

どきどきしながら何を言われるのだろうと身構えたアリアナにケイビスは微笑んで告げた。

「もし可能でしたら次までに領地の必要経費を算出しておいてもらえませんか」
「え」
「いま、ほとんど領地経営にお金を回せていない状態でして。いずれ手を入れなければと思いながらも仕事の方が忙しく手をつけられておりませんでした。」
「クレメント様には？」
「何度も言ったのですが…聞くような兄ではありません」

嘆息しながら答える様子にケイビスの苦労が透けて見える。

「分かりました。実は私も領地の経営を見直そと思っていました。あれほどの広大な領地で収益が少なすぎると思っていたものでしたから。それでは見直しでき次第ご連絡差し上げます」
「はい。お待ちしてます」

ケイビスを見送って、アリアナはほっと息を吐いた。

「あら、なんの溜め息でしょうか」

突然ベスに声をかけられて、びくりと体を震わせる。

「あなた。いつからそこにいたの？」
「たったいま戻りましたが…申し訳ありません。驚かせてしまいました。」

全く気配のなかったベスに驚きつつ、お互いの様子を報告し合う。

「それで、ベスの方はどうだった？」
「はい。おそらく問題ないかと」
「というと？」
「お嬢様は奥方であり私の主人でもあるので耐えられますが、それ以外に女性がいるのであれば旦那様のお気持ちにはお応えできません、とお伝えしておきました」
「役者ね」
「ありがとうございます。」
「それで？」
「早急に別れるそうです」
「まぁ…」
「お嬢様の方はいかがでしたか？」
「ケイビス様が後継なら良かったのにって思ったわ」
「そうでしょうね」
「考えていることはほとんど同じだったわ。彼も領地経営を見直そうとしてた」
「はい」
「それでね、それとは別に恐ろしい話があるのだけれど聞きたい？」
「いえ、大丈夫です」

しれっと答えたベスの肩を掴んで、アリアナは泣きそうになりながら告げた。

「ケイビス様、記載されてる200エラン以外に1200エラン出して下さってるそうなの…」
「…私は聞きたくないと申し上げたはずなのですが…」
「この現実を私一人で受け止めろだなんて、酷いこというのね」
「そこまでは。それでどうなさいます？本来なら払ってもらうべきではない、こちらで用意すべきだとかっこいいことおっしゃってませんでしたか？」

鋭い切れ味のベスの問いかけにアリアナはがっくりと肩を落とした。