あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

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「さすがに無理かも。だって追加で月に100エランでしょう？」
「塩の利益全て回してはいかがですか。200エラン程度は最低でも利益出るはずでは？」
「確かにね…」
「もしくはケイビス様にこのままお願いし続ける」
「それは…」
「私はそれも一つよろしいかと思いますが。」
「そりゃ、私達にとってはよろしくてもケイビス様にはよろしくないわよ」
「そうでしょうか」
「え？」
「いえ、案外悪くないと思うのですが…」
「どう言うこと？」

そこで、ベスはにっこり微笑んだ。

「先行投資のようなものでしょう。お嬢様は一年後にはクレメント様を身ぐるみ剥いで追い出す気でいらっしゃる。そしてその後ケイビス様に売却なさるつもりですよね。それなら1年間面倒見ていただく代わりに売却ではなく譲渡にしては？」
「確かにね」
「というか、不思議なのですが、なぜ今すぐ婚姻関係を解消なさらないのですか？」
「どういうこと？」
「いえ、当初の目的ではクレメント様への意趣返しが目的だったはずです。公爵家がかつかつなのは婚姻前から分かっていたことですが、まさかこれほど多額の借金があるとは思わなかったから、新しい事業をクレメント様にさせた上でその担保に領地を奪い取るおつもりだったでしょう？でも、借金の肩代わりですでに目的は果たしておられるはずです。それなのに1年間婚姻関係を継続される理由が分かりません。今すぐケイビス様に売っても結果は同じだと思うのですが…」
「それは…」

答えあぐねたアリアナにベスは一つため息を吐いた。

「やはり、お嬢様は優しすぎます。」
「え」
「放っておけばよろしいものを…」
「…」

黙り込んだアリアナにベスは穏やかに語りかけた。

「領地を建て直してからケイビス様にお譲りしたいのですね」
「だって…」
「ご自身のものになるわけでもありませんのに。それにケイビス様は有能ですよ。そこまでなさらなくてもいずれご自身で建て直しそれますよ」
「だめなの！」

ベスの言葉にアリアナは思わず叫んだ。

「なぜです？」

ベスは眉ひとつ動かさずに質問した。

「ケイビス様は確かに有能だけれど、ご多忙なのよ。ケイビス様が本格的に領地経営に着手できるのがいつになるか分からない。そんな状況で放って置けないわ。」
「ですが…」
「早く正しい領地経営をしないと領民から餓死者すら出かねないの」
「まさか」
「本当よ。そして公爵家の経営はまさにギリギリの線なの。今年中に立て直さないと」