あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

じじ

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「ですが…餓死者などそうそう出るものではありません」
「ええ。でもそれは分からないからよ。大規模な飢饉でもない限り、貧しい領民が飢えによって衰弱死しても分からないの。分からないのよ」
「そんな」
「だから、領地は常に豊かになるように領主は経営していくことが必要なのよ。もちろんケイビス様はそんなことご存知だわ。でも、彼の体は一つしかない。万が一無理して倒れられたら困るわ。最初は手がかかるでしょうけれど、ある程度整えてしまえば、あとは定期的な見直しだけで事足りるわ。だからそこまでは私がやりたいの」
「お嬢様…」
「あなたにはわがまま言ってごめんね」
「いいえ。お嬢様のお優しさに救われた人間であるにも関わらず…生意気を申し上げました」
「やめてよ。あなたにこそ私は救われているのよ」

そう言うとアリアナとベスは顔を見合わせて微笑みあった。
アリアナはパンっと一つ手を打って立ち上がると、ベスに声をかける。

「それじゃあ、始めましょう」

二人で黙々と追加で支出が必要と思われる項目や、不要な支出のある項目の洗い出しを行う。

「お嬢様、こちらの書類確認が終わりました。」
「あら、私もちょうど終わったわ。気が合うわね」

軽口を叩くアリアナににっこり微笑んで、ベスは残酷な言葉をはなった。

「結論から申し上げます。私の確認した分のみですが、現在のケイビス様から受けている支援分を全て回しても足りません」
「え」
「引き続き、お譲りになる一年後まで支援を受け続けてください。それとお借りしている500エラン。返済は1年後以降から開始で話をつけてください。もしくは贈与してもらってください」
「ま、待って。1年後以降なんて、私いないわよ?実質返さないと言ってるようなものじゃ…」

慌てたアリアナにベスは笑みを深めて言いはなった。

「あらお嬢様。」
「はい」
「言ってるような、ではなく、返さない、そう言ってるのです。」
「流石にそれは信義則にもとる気が…」
「お嬢様が借りた訳ではありませんし、ケイビス様もハンゼ公爵家の一員です。これくらいは甘えてもよいでしょう」
「でも…」
「お嬢様の心掛けは立派です。ですが公爵家の現状は私が調べた分ですら、すでに収入面が足りてないのです。」
「…」
「お嬢様が優先されるのは、領民の生活ですか?それともケイビス様への義理ですか?」
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