あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

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ベスは妖艶に微笑んだ。

「むしろ気づかない方がおかしいかと。」
「でも、さっき…」
「ユージン様を除いて、という前置き付きです」

しれっと答えたベスをアリアナは思わず半眼で見てしまった。

「つまりユージンを除いて、あなたを妻に望む男性などいない、と？」
「はい。ユージン様はよほど奇特…」
「ちょっとベス。私の弟なんだけれど」

あまりの言い草に思わずアリアナはベスの言葉を途中で遮った。そしてそのまま続ける。

「それに奇特でもなんでもないわよ。あなたのように美しいだけでなく頭もよく優しい女性を妻に望むのは普通のことじゃない？」
「アリアナ様…」
「ああ、でもだからと言って気を遣う必要は全くないからね」
「といいますと？」
「嫌なら当然断っても構わない。断ったところであなたを取り巻く環境はほとんど変わらないのだから」

アリアナが安心させるように言うと、おかしそうにベスが尋ねた。

「ほとんど、ですか？このような場合は全く変わらないと言ってくださるのでは」
「ふふ。さすがにユージンがあなたと話す時にしょんぼりするでしょうから、ほとんどなのよ。まあ、彼にもプライドがあるでしょうから目に見えて避けたりはしないでしょうけど」
「ふふ、なるほど」

くすくすと笑うベスの様子をアリアナは微笑ましく眺めた。

「それで、アリアナ様はいかがでしょうか」
「え？」
「もし、私がユージン様の思いにお答えしたら」
「え？受けるの？」

驚いたようにアリアナが言うと、ベスはさっと顔色を変え、慌てたように付け加えた。

「例えばの話です。アリアナ様はどうお考えになるのか知りたくて」
「そうね…ユージンに対してはめちゃくちゃ腹が立つ…私の大切なベスを攫って行くなんて。でもあなたが義妹になることはこれ以上ないくらい嬉しい、かしら。複雑な乙女心だわ」

アリアナが答えると、ベスは瞳に涙を浮かべていた。

「やだ、どうしたの？」
「いえ…私のようなものが身内になるのを嫌がられるのではないかと。」
「そんなまさか。父様と母様も絶対喜ぶわ。あなたが娘になってくれたら。でも無理はしなくていいのよ。あなたの心が決めることなのだから。」
「私はユージン様に憧れておりましたので」
「まあ！嬉しいわ…本当、自分の愚かさに腹が立つ。ごめんなさい。」

アリアナが謝罪するとベスはふるふると頭を振った。

「私が望んだことですから。アリアナ様が気に病まれることではありません。本当にありがとうございます。」