あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

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「ユージンに迎えに来させるわ」
「それはいけません。私はお仕えする立場です。ユージン様のお手を煩わせる訳には…」
「ふふ。恋人にも主従関係を求めるの？」

アリアナがからかうと珍しくベスの頬が赤く染まる。

「でもまだお付き合いしているわけではございませんし…」
「それにユージンにも説明しておきたいの。ベスを屋敷に帰す理由をね。そうじゃないとユージンのことだから何としても理由を探ってくるでしょうし」

アリアナの言葉にベスの顔色が変わる。

「幻滅されるでしょうか」
「私がベスを危険に晒してしまったのだから、幻滅されるとしたら私だわ。しっかり怒られてくる。」
「お嬢様…」
「私の身勝手な感情にあなたは振り回されただけなの。嫌な思いさせてごめんね」
「そんなことは全くありません。どうかお嬢様も早くこの屋敷での決着をつけてくださいね」

翌朝、アリアナに呼び付けられたユージンは、開口一番アリアナへの文句を口にした。

「昨日の今日でどうしたの？しかも朝一で来いとか、人使い荒すぎ…」
「ベスを実家に帰らせたいの」

てっきり契約の件だと思っていたユージンは一瞬言葉をなくす。

「ベスと姉さん仲違いでもしたの？」

心配そうにユージンが尋ねるのを見て、アリアナは苦笑した。

「まさか。ただね、この屋敷にベスを置いておきたくないの」

意味深なアリアナの言葉に、ユージンは勘づいたらしい。

「クレメント様がベスに興味を示したの？」

アリアナは気まずそうに一瞬顔を伏せた後、意を決して告げた。

「私がクレメント様に仕返ししたくて…ベスにお願いしたの。クレメント様の気を惹いて欲しいって」
「…」

黙り込んだユージンの沈黙が痛い。アリアナが口を開こうとした瞬間、ユージンが低い声で尋ねた。

「姉さん。クレメント様と同じことをして気は晴れたのか」

居た堪れなくなりアリアナは俯いた。黙ったままのアリアナにユージンは畳み掛ける。

「それはベスを危険に晒してまでしたかったことなの？ベスは僕たちと同じ自由民だ。でも生い立ちを気にしている彼女が、姉さんの言うことに逆らえるわけないだろう」

項垂れたアリアナにそれまで沈黙していたベスがそっと口を挟む。

「ユージン様、お嬢様ばかり責めないでください。私も悔しかったのです。」
「でも君は…」
「お嬢様は私に何度も尋ねてくださったんです。嫌なら嫌だと言っていい、やめてもいい、と。」
「だったとしても君に頼むべきことではなかったはずだ」
「お嬢様から頼まれなければ、私から言い出しました」

強い口調でベスが反論したことにユージンは一瞬たじろいだ。