あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

じじ

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きっぱりと言い切ったアリアナをケイビスは眩しそうに見つめた。

「私の妻となられることで、あなたを傷つけようとする者がいるかもしれません。ですが、必ず私がお守りします」

固い決意の込められた言葉にアリアナは微笑みながら頷く。

「とても嬉しいお言葉です。ですがそれならばあなたのことを、私にも守らせてください。」
「え」

驚いたように目を瞬かせるケイビスにアリアナは笑みを深めた。

「ケイビス様のことですから、私との結婚を揶揄された際にはご自身が泥を被ろうと思われているのではございませんか?」

言い当てられたケイビスは押し黙った。アリアナを心無い言葉から、無遠慮な好奇の視線から守るにはそれしかないと思っていたのだ。
自分が無理やり彼女をハンゼ公爵家に留めたのだ、と。
その様子を見て、自分の予想が当たったと分かったアリアナはくすりと笑う。

「残念ながら、ケイビス様の言葉を信じる方は少ないと思いますよ」
「なぜ…」
「品行方正で通っているケイビス様が嫌がる兄嫁を妻にしたなどと信じる方がおかしいですから。それなら私がクレメント様に嫁いでいる時にケイビス様も誘惑した、と言う方がまだ現実味があります」
「あなたはそんなことをする方じゃない!」

強いケイビスの言葉にアリアナはにっこり微笑んだ。

「ありがとうございます。ですが、私はケイビス様がご自身の評判を落としてまで私のことを庇ってくださることが嬉しいとは思えません。ですから…」
「それならば、真実を告げるまでです。」

特別に庇わなくて良い、言いたい奴には言わせておけば良い。
そうアリアナが言おうとした瞬間、ケイビスは妙にさっぱりした顔で言い切った。

「え?」
「愛する人を嘲る言葉を冷静に聞き流せるほど私は人間ができていないのです。ですから、あなたには申し訳ないですが、くだらない話を周りの人間から聞かされた時には真実を話すことにします。」
「それは…」
「あなたと兄は政略結婚だった、と。金が必要だったハンゼ公爵家に…赤い髪のあなたが嫁ぐのは互いに利益があった。」

表情を歪めながら髪色のことに触れたケイビスに優しさを感じる。
赤い髪で嫁ぎ先のないアリアナと、金が必要なクレメント。そう言う図式にすること自体、アリアナを見下しているようで自分が許せないのだろうと分かる。

「愛のない結婚生活にも関わらず、あなたは公爵家の再建に尽力した。そして、あなたから公爵家の現状を聞かされた私は無能な兄から公爵位を簒奪し、兄に愛想を尽かしたあなたを追いかけて、妻にと望んだ。そう説明いたします。ご承知いただけますか」

アリアナは頷いた。

「ありがとうございます。それほど思っていただけて嬉しいです。」



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