リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜

ゆずき

文字の大きさ
33 / 294

32話 疑問

しおりを挟む
「とっても可愛いわ! クレハちゃん。お茶会の時に着ていた水色のドレスも似合ってたけど、黄色もいいわねぇ。あっ、次はこっちのピンクのを着てみてちょうだい。デザインはシンプルだけど裾の刺繍が素敵なのよ」

 現在私は王妃様のお部屋に招かれ、1人ファッションショー状態になっている。今着せて頂いているのは淡いピンク色のドレスだ。生地は軽くて柔らかい……そして着心地がとても良い。王妃様がおっしゃっている通り、裾に施された刺繍がとても綺麗。フリルいっぱいのひらひらしたドレスも華やかで素敵だと思うけれど、自分はこういう落ち着いたドレスの方が好みだ。
 それにしても、次から次へと出てくる色とりどりの豪華なお衣装と装飾品に目がチカチカする。そして気になる事に、着せられる服のサイズが全て私の体にピッタリなのだ。王宮で採寸などした覚えはない。うん……これについてはあまり深く考えてはいけないような気がした。

「こんなにたくさんのお洋服を私の為に用意してくださったのですか?」

「そうよ、私こういうの憧れてたの。うち男の子ばっかりでしょ? こんな風に可愛いドレス着せたり、選んだりできないからつまんなくて。愛らしいお嬢様が2人もいるジェムラート夫人が羨ましかったのよ」

 そ、そういうものなのかな……言われてみれば、お母様も私や姉様に色んなお洋服を着せたがるしなぁ。自分はお洒落とか流行には疎いからよく分からないけれど、王妃様が楽しいなら……まぁいっか。

「王妃様、ありがとうございます! でもこんなにたくさん申し訳なくて……」

 ざっと見る限りでも10着はある。しかもどれもお値段が張るようなものばかりだ。

「遠慮なんてしなくていいの。私が好きでやってるんだから。それに、クレハちゃんはしばらくこっちにいるんだし着替えは必要でしょ」

「えっ?」

「あら、もうこんな時間ね。一息入れてお茶にしましょうか? そろそろレオンも戻ってくるだろうし」

「はい……」

 時刻は午前10時を回ろうとしている所だった。王妃様は侍女にお茶の用意をするよう指示を出す。レオンは午前中はお勉強の時間なので、その間ひとりになった私は王宮の庭園を散歩していた。そこで王妃様が声をかけて下さり今に至る。

「今日のお茶請けは『シャルール』のチョコチップクッキーです。クレハちゃんクッキーは好き?」

 シャルールのクッキー!?

「はい! 大好きです。シャルールのお菓子は前にレーズンバターサンドを頂いた事があるんですけど、とっても美味しくて……わぁ、クッキーも楽しみです!!」

「フフッ、良かった。それじゃこっちのテーブルに来て席についてちょうだい。飲み物は紅茶でいいかしら?」

「はい!」

 私が王宮に来てから今日で5日目。初日に体調を崩して倒れてしまったから泊まることになったのだけど、いつの間にかズルズルと滞在が延びてしまっている。その理由は家からの迎えが来ないからだ。次の日も、その次の日も……何の連絡も無いまま私は王宮に留まる事になってしまった。さすがにこのままではいけないと思い、セドリックさんに家までの馬車を手配して頂けないかとお願いしたのだが『そのうち来ますよ。のんびりお待ち下さい』とはぐらかされてしまった。
 王宮にいるのが嫌なわけじゃない……でも、どうして誰も理由を教えてくれないのだろう。もしかして、家で何かあったんじゃ……

「やっぱり心配だよ……」

「何が?」

「わっ! レオン?」

「ただいま。クレハ」

 びっくりした……。私の独り言に相槌を打って来たのはレオンだった。お勉強はもう終わったみたいだ。どうして王妃様の所にいるのが分かったのかな。

「おかえりなさい……」
 
「それ、よく似合ってる。可愛い」

 最初は何について言っているのか分からなかったけど、今着ているドレスの事だと遅れて理解した。

「でしょう!」

 レオンの言葉を聞いた王妃様が、得意気に胸を張っている。

「さすが母上、良い見立てですね。でも……」

 レオンがそっと私の頬に触れる。

「着てる子が可愛いから、どんな服を着てても可愛いんだけどね」

「へっ……えっ!?」

「あらあら……クレハちゃんたら」

「クレハ、顔真っ赤だよ? ほんと可愛いね」

 これ、わざとやってるんじゃないだろうか……絶対私の反応を見て楽しんでるよね。レオンにいいように翻弄されている自分が悔しいやら恥ずかしいやらで、ますます顔が赤くなる。 

「もう! レオンは私をからかって……」

「ほら、レオン。お茶が入ったからあなたも座りなさい。あんまりクレハちゃんをいじめちゃダメよ」

「いじめてるつもりは毛頭ないのですが……俺はただ思った事をそのまま口に出してるだけですよ」

 王妃様は額に手を添えて大きな溜息をついた。レオンは本当に10歳なんだろうか……。私に対する言動や振る舞いがとても同年代のそれとは思えない。

「クレハ。はい、あーん」

「ふあ?」

 振り向きざまに半開きだった口の中に、何かを入れられた。おそるおそる歯を立ててみると、サクッとした食感と共にチョコレートの良い香りが広がっていく。これはチョコクッキー?

「美味しい?」

「……はい」

 さすがシャルール……。口溶けの良い上品なチョコレートにバターの風味豊かなクッキー生地……文句無しに最高です。紅茶にも合いそう……って。

「じっ、自分で食べられます!!」  

 私の口元に次のクッキーを差し出してきたレオンを慌てて制止した。

「そう? 残念」

 レオンはニヤリと意地の悪い笑みを浮かべている。私は恥ずかしさを誤魔化すように、王妃様の淹れて下さった紅茶を勢いよくあおった。そして咽せた。

「ちょっとクレハちゃん、大丈夫?」
 
「ゴホッ……だ、だいじょぶ……です」

「クレハったらしょうがないなぁ……」

 私の背中をさすりながら、レオンはわざとらしく呆れて見せる。一体誰のせいだと思ってるんだ。私は抗議するように彼を見つめるが、レオンは機嫌良さそうに笑ってるだけで全く効果は無かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【完結】断頭台で処刑された悪役王妃の生き直し

有栖多于佳
恋愛
近代ヨーロッパの、ようなある大陸のある帝国王女の物語。 30才で断頭台にかけられた王妃が、次の瞬間3才の自分に戻った。 1度目の世界では盲目的に母を立派な女帝だと思っていたが、よくよく思い起こせば、兄妹間で格差をつけて、お気に入りの子だけ依怙贔屓する毒親だと気づいた。 だいたい帝国は男子継承と決まっていたのをねじ曲げて強欲にも女帝になり、初恋の父との恋も成就させた結果、継承戦争起こし帝国は二つに割ってしまう。王配になった父は人の良いだけで頼りなく、全く人を見る目のないので軍の幹部に登用した者は役に立たない。 そんな両親と早い段階で決別し今度こそ幸せな人生を過ごすのだと、決意を胸に生き直すマリアンナ。 史実に良く似た出来事もあるかもしれませんが、この物語はフィクションです。 世界史の人物と同名が出てきますが、別人です。 全くのフィクションですので、歴史考察はありません。 *あくまでも異世界ヒューマンドラマであり、恋愛あり、残業ありの娯楽小説です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

《完結》《異世界アイオグリーンライト・ストーリー》でブスですって!女の子は変われますか?変われました!!

皇子(みこ)
恋愛
辺境の地でのんびり?過ごして居たのに、王都の舞踏会に参加なんて!あんな奴等のいる所なんて、ぜーたいに行きません!でブスなんて言われた幼少時の記憶は忘れないー!

処理中です...