リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜

ゆずき

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196話 魔法の石(3)

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「もしかしてお気に召しませんでしたか? 魔法使いによって実害を被ったあなた方には需要があると思っておりましたのに。うーん、困りましたね。今から別の物を用意するとなると……ちなみにルーイ様へのお詫びは、料理店の招待券です。王子達にもこういった物の方がよろしかったのでしょうか」

 単純に驚いただけなのだけど……コンティレクト様は私達の反応を否定的に捉えてしまったようだ。刃物を突き付けられた時でさえ、眉ひとつ動かさなかったのに。贈り物が不評かもしれないと想像しただけでここまで困惑なさるのか。  

「いっ、いえ。少し驚いてしまって……。気に入らないだなんてとんでもありません」

「そうですか? それなら良いのですが……」

 レオンはすかさず否定をした。大衆の中に紛れた魔法使いを見つけだすには、レオンの魔力感知に頼らざるをえなかった。それが一番正確だからだ。しかし、常に魔法を発動させているわけにもいかない。レオンの体への負担が大き過ぎる。代わりとなる手段を与えて貰えるのは願ったり叶ったりで、不服などありはしない。コンティレクト様が選んだであろう、料理店の招待券は気になるけど……
 石が無駄にならなくて良かったと、コンティレクト様は胸を撫で下ろしている。レオンの言葉を聞いて安心されたようだ。

「石は10個ほど用意致しました。使用するのに特別な力は必要ありません。側近の方々も安心してご利用下さい」

「コンティレクト神の仰る通り、魔力感知に頼ることなく魔法使いの情報が得られるというのは我々にとってとても有益です。このような貴重な石を頂けることを感謝致します」

 1番のメリットは誰でも使えるという所だろう。本来の魔力感知ほどでないとは言え、レオンに任せきりにならなくなる利点はかなりのものだ。
 コンティレクト様が直々に改良したという特別なコンティドロップス……。ローシュの神の来訪に私達は右往左往だったけれど、まさかこのような物が頂けるとはレオンも想像していなかっただろう。石はこれから行う事件の調査にも役立ちそうだ。

「石の使い方は……と言っても難しいことはないのですが、先ほど見て貰いましたように、この石は魔力を吸い込み色を変える性質がある。石の色が変化したら、近くに魔力を持った者がいるということの証明になるのです。この石の変化を参考にし、魔法使いの探索なりに役立てて頂けたらと思います」

 通常のコンティドロップスとの違い、そして使用の際の注意点などもコンティレクト様は丁寧に説明して下さった。レオンに対するお詫びとはいえ、至れり尽せりだ。コンティレクト様はメーアレクト様と仲が良さそうなので、レオンにも好意的なのかもしれない。

「おや、つい話し込んでしまいましたね。伝えるべきことは伝えましたし、そろそろお暇させて頂きましょうか」

 自前の懐中時計で時刻を確認すると、コンティレクト様は帰宅の準備を始めた。来るのも突然だったけど、帰るのも突然なんだな。

「レオン王子、本日はこれで失礼致します。次にお会いするのはリオラドでの会合になるかと思いますが、もし石について尋ねたいことがありましたらメーア殿に託けて下さいませ」

「分かりました」

「それと、こちらをルーイ様に渡して頂けますかな」

 コンティレクト様は懐から白い封筒を取り出し、レオンに手渡した。これがルーイ様へのお詫びだという招待券かな……

「姫君もお元気で。いつかローシュに遊びに来てくださいね。歓迎致しますよ」

「はいっ、ありがとうございます」

「それでは、また……」

 私達への挨拶を済ませた直後、コンティレクト様の姿が煙のように消えてしまった。今更ではあるけど、ルーイ様が行っていた空間を移動する魔法をコンティレクト様も使えるんだな。
 ようやく緊張状態から解放された。ガチガチだった体から一気に力が抜けたのを感じる。レオンはソファの背もたれに全身を預けながら大きく息を吐いていた。部屋のあちこちからも同じように呼吸を整える音が聞こえる。何も心構えが出来ていない状態で、他国の神様と相まみえることになったのだ。みんな神経を擦り減らしていたのだろうな。

「はぁ……緊張した。こんなにドキドキしたの久しぶりだよ」

「ルイスにしては珍しく空気読んでたな。いつお前がローシュの神に失言するんじゃないかと、こっちは気が気じゃなかったよ」

「失礼だな、クライヴ。俺だってそのくらいできるわ。まぁ、レナードが最初にやらかしたからさ。その分こっちは冷静になれたというか……つっても、立ち位置が逆だったら俺も同じことしてただろうけどね」

「殿下、申し訳ありませんでした。ローシュの神にあのような……」

『ローシュの神様が温厚で命拾いしたな』とルイスさんはレナードさんをいじっている。コンティレクト様がお帰りになった途端、みんな一斉に喋り出した。考えることは同じだ。神様のご機嫌を損ねないよう、発言に気を遣っていたのだ。

「レナード、お前の行動は何も間違っていない。いきなり部屋に踏み込んできたのはあちらだ。剣を向けたことに対する謝罪は既に行っているし、今後訪問する際は連絡すると仰って下さったからな」

 レオンはレナードさんに気にするなと声をかける。いくらなんでもコンティレクト様は突然過ぎたからなぁ。レオンの力の気配を頼りに訪問されたのだろうけど、神様の姿なんてみんな知らないから状況によっては大騒ぎになっていただろう。

「神様に会ってみたいとは思ってたけど、こんなシチュエーションで実現するとは想像もしてなかったよ。容姿は人間と変わらないしさ、あんなの言われなきゃ気付けないよ」

「ニュアージュの神は巨大な鳥の姿が本来のものだと聞いています。コンティレクト神も人の姿は仮のものなのですよね。一体どんな……あの方も人間を食糧にしているのだろうか」

 私も含めて、みんなコンティレクト様に会ったことで気持ちが高ぶっていた。そんな私達を嗜めるように、レオンは両手を軽く叩いた。パンという音が部屋に響く。

「はい、お前たち注目。浮ついてしまうのは分かるが一旦落ち着いてくれ」

 レオンは全員の意識が自分に向いたのを確認すると、テーブルに置かれたままだった石の入った布袋を手に取る。

「コンティレクト神の訪問だけでも衝撃的な出来事だったが……この贈り物をどう利用していくか。皆の意見を聞かせて欲しい」

 コンティレクト様の説明を聞いた限り、石はとても便利でレオン達にとっても有用な物だろう。せっかく頂いたのだから有り難く使わせて貰えば良いのにと思ったのだけど……レオンは石を実際に使うことにはかなり慎重に見えた。
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