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第8章 波乱と因縁の建国祭
第490話 氷の騎士
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ロスペルのアシストで旧都の街を抜けた馬車は、協力な結界が張ったままコロッセオの前に辿り着く。
そこには、ノルベルトの傀儡に成り下がった第一騎士団が立ちはだかっていた。
「チッ、やっぱり奴の傀儡が待ち構えていたか」
「そうだね」
苦い顔をしたリュシアンが舌打ちをすると、異変に気づいたレクシャが、馬車から降りるとティアーヌと共に御者台に駆け寄ってきた。
「リュシアン、ロスペル。ここは私たちに任せ、目の前にいる騎士達を無力化してきなさい」
「いいのですか?」
「えぇ、強力な結界に加えて、ここには有能な騎士と魔法師、そして王国が誇る剣と盾がいるから王族の守りは大丈夫よ」
「そういうことでしたら……兄さん」
「あぁ、分かった」
両親に背中を押されたリュシアンとロスペルは颯爽と御者台から降りると、それぞれ得物を構えて魔力を纏わせる。
(王族の守りは問題無いとして……正直なところ、僕もリュシアン兄さんもここで魔力や体力をあるていど温存しておきたい。でも……)
「ロスペル。魔力を温存したい気持ちは分かるが、ここで手を抜いたら俺たちが奪われたものが戻らないぞ」
「分かっているよ、兄さん」
リュシアンの言葉で腹を括ったロスペルが第一騎士団を無力化しようと杖を掲げる。
その時、後方から魔法が飛んできた。
「《アイスアロー》!!」
「「っ!!」」
(この声、もしかしなくても……)
臨戦態勢だったリュシアンとロスペルが背後の声に驚いた瞬間、後ろから騎士達に向かって無数の氷の矢が飛んできた。
「「「「「うがががかっ!!」」」」」
傀儡の騎士達の足元が氷漬けになるところを目の当たりにしたリュシアンが、隣にいたロスペルに問い質す。
「なぁ、ロスペル。これって……」
「うん、間違いないよ」
静かに頷いたロスペルがリュシアンと共にゆっくりと後ろを振り返る。
そこには、鬼の形相をしたメストが、周囲を威圧しながら2人のいる方へと歩いていた。
「怖っ! おい、ロスペル! あいつの記憶、もう少し後で良かったじゃねぇか?」
「……うん、それは僕も思った」
仕事では何かがあれば誰かを叱り飛ばすこともあるメストだが、堅物な真面目で比較的温厚な性格なため、仕事以外で心の底から怒ることは滅多にない。
そんな彼が鬼の形相で馬車から降りて、あまつさえ魔法を放って足止めしたのを見て、2人はメストを本気で怒らせてはいけないと心に誓った。
そんな固い決意をした2人の方にきたメストは、氷点下に下がったアイスブルーの瞳をリュシアンに向ける。
「リュシアン、フリージアはコロッセオの闘技場にいるだよな?」
「え、あ、そ、そうだな。な、ロスペル?」
「あ、はい。そうですね」
若干の冷や汗を掻きながらしどろもどろで答えた2人を見て、小さくため息をついたメストが視線を前に戻す。
「それなら、俺が道を切り開く。だから、リュシアンとロスペルは、陛下と一緒に俺の後についてきてくれ。陛下と宰相様からも『それで構わない』と了承をいるから」
「お、おう……分かった」
(この短時間で陛下や父さんから了承を得たとは、さすが若き有能騎士……いや、単にメストの気迫に押されてしばしば了承したのか?)
後ろにいる両親の少しだけ青ざめた表情を一瞥したリュシアンが小さくため息をつく。
そんな彼と顔を引き攣らせたロスペルをそれぞれ見やったメストは、コロッセオの方に向かって歩き始める。
その時、足元だけ氷漬けになったはずの騎士達が突然、無詠唱の火属性中級魔法で氷を溶かすと襲ってきた。
「クソッ! ノルベルトが近くにいると傀儡への影響も大きいみたいだな!」
「そうですね」
険しい顔をしたロスペルが、杖を構えて魔法陣を出そうとした時、殺気を放って歩いていてメストが剣先から水色の魔法陣を展開した。
「貴様ら、永久凍土の監獄に入る覚悟は出来ているんだろうな?」
周囲を凍てつかせるような声色で脅したメスト。
だが、ノルベルトの操り人形になった騎士達の耳には彼の脅しは届かない。
脅しても得物を持って向かってくる騎士達を、小さくため息をついたメストが睨む。
「分かった。ならばしばらくの間、凍える監獄に入って頭を冷やせ。《アイスシェル》!!」
詠唱と共に剣先から放った氷属性の魔法を放った瞬間、襲い掛かってきた騎士達を全員が氷で作られた巨大監獄に収容され、体ごと氷漬けになった。
それを見たリュシアンが、少々引き攣った顔でロスペルを見る。
「なぁ、ロスペル」
「何?」
「今のって、上級魔法だよな?」
「そう、だね。まさか、騎士の中にも使える人がいるなんてとは思わなかった」
(それも妹の婚約者だったなんて)
メストが放った氷属性の上級魔法。
実は昔、フリージアを驚かせようとメストがこっそり会得していたとは、この時の2人には知るはずがなかった。
そこには、ノルベルトの傀儡に成り下がった第一騎士団が立ちはだかっていた。
「チッ、やっぱり奴の傀儡が待ち構えていたか」
「そうだね」
苦い顔をしたリュシアンが舌打ちをすると、異変に気づいたレクシャが、馬車から降りるとティアーヌと共に御者台に駆け寄ってきた。
「リュシアン、ロスペル。ここは私たちに任せ、目の前にいる騎士達を無力化してきなさい」
「いいのですか?」
「えぇ、強力な結界に加えて、ここには有能な騎士と魔法師、そして王国が誇る剣と盾がいるから王族の守りは大丈夫よ」
「そういうことでしたら……兄さん」
「あぁ、分かった」
両親に背中を押されたリュシアンとロスペルは颯爽と御者台から降りると、それぞれ得物を構えて魔力を纏わせる。
(王族の守りは問題無いとして……正直なところ、僕もリュシアン兄さんもここで魔力や体力をあるていど温存しておきたい。でも……)
「ロスペル。魔力を温存したい気持ちは分かるが、ここで手を抜いたら俺たちが奪われたものが戻らないぞ」
「分かっているよ、兄さん」
リュシアンの言葉で腹を括ったロスペルが第一騎士団を無力化しようと杖を掲げる。
その時、後方から魔法が飛んできた。
「《アイスアロー》!!」
「「っ!!」」
(この声、もしかしなくても……)
臨戦態勢だったリュシアンとロスペルが背後の声に驚いた瞬間、後ろから騎士達に向かって無数の氷の矢が飛んできた。
「「「「「うがががかっ!!」」」」」
傀儡の騎士達の足元が氷漬けになるところを目の当たりにしたリュシアンが、隣にいたロスペルに問い質す。
「なぁ、ロスペル。これって……」
「うん、間違いないよ」
静かに頷いたロスペルがリュシアンと共にゆっくりと後ろを振り返る。
そこには、鬼の形相をしたメストが、周囲を威圧しながら2人のいる方へと歩いていた。
「怖っ! おい、ロスペル! あいつの記憶、もう少し後で良かったじゃねぇか?」
「……うん、それは僕も思った」
仕事では何かがあれば誰かを叱り飛ばすこともあるメストだが、堅物な真面目で比較的温厚な性格なため、仕事以外で心の底から怒ることは滅多にない。
そんな彼が鬼の形相で馬車から降りて、あまつさえ魔法を放って足止めしたのを見て、2人はメストを本気で怒らせてはいけないと心に誓った。
そんな固い決意をした2人の方にきたメストは、氷点下に下がったアイスブルーの瞳をリュシアンに向ける。
「リュシアン、フリージアはコロッセオの闘技場にいるだよな?」
「え、あ、そ、そうだな。な、ロスペル?」
「あ、はい。そうですね」
若干の冷や汗を掻きながらしどろもどろで答えた2人を見て、小さくため息をついたメストが視線を前に戻す。
「それなら、俺が道を切り開く。だから、リュシアンとロスペルは、陛下と一緒に俺の後についてきてくれ。陛下と宰相様からも『それで構わない』と了承をいるから」
「お、おう……分かった」
(この短時間で陛下や父さんから了承を得たとは、さすが若き有能騎士……いや、単にメストの気迫に押されてしばしば了承したのか?)
後ろにいる両親の少しだけ青ざめた表情を一瞥したリュシアンが小さくため息をつく。
そんな彼と顔を引き攣らせたロスペルをそれぞれ見やったメストは、コロッセオの方に向かって歩き始める。
その時、足元だけ氷漬けになったはずの騎士達が突然、無詠唱の火属性中級魔法で氷を溶かすと襲ってきた。
「クソッ! ノルベルトが近くにいると傀儡への影響も大きいみたいだな!」
「そうですね」
険しい顔をしたロスペルが、杖を構えて魔法陣を出そうとした時、殺気を放って歩いていてメストが剣先から水色の魔法陣を展開した。
「貴様ら、永久凍土の監獄に入る覚悟は出来ているんだろうな?」
周囲を凍てつかせるような声色で脅したメスト。
だが、ノルベルトの操り人形になった騎士達の耳には彼の脅しは届かない。
脅しても得物を持って向かってくる騎士達を、小さくため息をついたメストが睨む。
「分かった。ならばしばらくの間、凍える監獄に入って頭を冷やせ。《アイスシェル》!!」
詠唱と共に剣先から放った氷属性の魔法を放った瞬間、襲い掛かってきた騎士達を全員が氷で作られた巨大監獄に収容され、体ごと氷漬けになった。
それを見たリュシアンが、少々引き攣った顔でロスペルを見る。
「なぁ、ロスペル」
「何?」
「今のって、上級魔法だよな?」
「そう、だね。まさか、騎士の中にも使える人がいるなんてとは思わなかった」
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