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第8章 波乱と因縁の建国祭
第505話 妹を託します
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「メス、ト様?」
(こんなところに、メスト様が……それも、私の本当の名前を呼ぶなんて)
泣きそうな顔でこちらを見るメストに、驚いたフリージアは一瞬だけ目を見開く。
(あぁ、これはきっと夢よ。今まで頑張ってきた私に対しての夢。そうじゃなきゃ、今のメスト様が私の名前を呼ぶわけが無い)
ロスペルの解呪魔法で、メストが記憶を取り戻したこと、当然の事ながら知らないフリージアは、自身の中でそう結論付けると、メストの腕の中で静かに目を閉じた。
「フリージア! フリージア!」
ボロボロのフリージアを抱きとめたメストは、必死の形相で声をかけるが、静かに目を閉じた意フリージアから返事は来ない。
すると、メストに吹っ飛ばされたノルベルトが、よろよろと立ち上がると強化魔法を使って一気にメスト達のところに戻る。
「っ!」
「このクソ駄犬が! 駒の分際で俺の邪魔をしやがって!!」
激昂したノルベルトが、フリージアを抱えているメストに向かって手を翳した。
その時、アリーナ入口から2つの魔法が飛んできた。
「「《ウィンドブラスト》!!」」
「うががっ!」
強烈な2つの竜巻を食らったノルベルトの体は、再びコロッセオの壁まで吹き飛んだ。
「「メスト!」」
「メストさん!」
「メスト様!」
「隊長!」
「お前たち!」
突然の突風に驚いたメストのもとに、カトレアとロスペル、そしてリュシアンやシトリンにラピスが駆け寄る。
「メスト様! フリージアは!」
必死の形相のカトレアが、ラピス達と共にフリージアの顔を覗く。
そこには虫の息で呼吸している親友が眠っていた。
(フリージア!!)
元気で活発なフリージアからは想像できない憔悴しきった姿に、カトレアは驚きのあまり思わず倒れそうになる。
「カトレア!」
「だ、大丈夫よ。ありがとう、ラピス」
メストの腕の中で眠っているフリージアを見たシトリンが険しい顔をしている隣で、ロスペルが静かに妹の容態を確認する。
「魔力切れに複数箇所に打ち身や骨折……これは、想像以上に酷い怪我だね」
「そう、だな」
そう言って、険しい顔をしたリュシアンがそっとフリージアの頬を擦る。
「全く、無茶しやがって」
(お転婆にも程があるだろうが)
『王国の盾』として誇りを持っているフリージアを知っているからこそ、妹の姿に悔しさを堪えるように拳を握ったリュシアンが静かに立ち上がる。
その時、フリージアの容態を見ていたロスペルが何かを閃き、メストに視線を移した。
「メストさん、アイスシェルは使えますか?」
「あぁ、使えるが……それが、どうした?」
眉を顰める首を傾げるメストに、周囲を見回して何かを確認したロスペルは、腰に携えているマジックバックから小さなポーションを取り出して差し出す。
「では、僕たちが離れたらすぐにアイスシェルを使ってください」
「離れたらすぐにか?」
「はい。そして、シェルを展開したら、すぐさまフリージアに刺さった矢を引き抜き、このエクストラポーションを飲ませてください」
「っ!?」
(まさか、完全回復の効果がある希少なポーションを持っていたとは!)
驚くメストの手に、ロスペルは黙ってポーションを握らせる。
「……妹のこと、頼みましたよ」
妹の無事を祈るようにポーションを渡したロスペルを見て、メストは真剣な表情で頷く。
「分かった。任せておけ」
メストの返事を聞いたロスペルは、静かに立ち上がると拳を握って黙っているリュシアンの肩を叩く。
「兄さん、フリージアのことはメストさんに任せたから、僕達はノルベルトの傀儡達の一掃をしよう」
「あぁ、そうだな」
地を這うような声で返事をしたリュシアンに、一瞬目を伏せたロスペルは、心配そうな顔でフリージアを見ているカトレア達に声をかける。
「カトレア嬢、そしてラピス君にシトリンさん、行きますよ。もうじき、ノルベルトが動くと思いますので」
その瞬間、目の前から火球が飛んできて、咄嗟に杖を構えたロスペルが無詠唱で水球を放ち、火球と相殺させた。
「カトレア」
「分かっているわ」
ラピスに名前を呼ばれ、静かに立ち上がったカトレアは、フリージアの顔を見るとメストに視線を移す。
「メスト様、フリージアをよろしくお願いします」
「あぁ、分かっている」
いつになく真剣なメストに安堵を覚えたカトレアは、視線を前を向くと杖を強く握り締める。
それを背中越しで確認したロスペルが、この短時間で立てた作戦をリュシアン達に伝える。
「兄さんとシトリンさんとラピス君は騎士達の無力化を。僕とカトレア嬢は宮廷魔法師達の無力化を」
「分かりました、師匠!」
すると、こちらを凝視しているノルベルトに気づいたリュシアンが口を挟んできた。
「それなら、俺がノルベルトの注意を引きつける。その間にお前達で傀儡を倒せ」
「よろしいのですか?」
不安げな目を向けるロスペルに、リュシアンは得意げな笑みを浮かべる。
「あぁ、この中で無効化魔法を使えるのは俺だけだ。なら、無効化魔法に相当な恨みを持っている奴を引きつけるにはうってつけだろ」
「……分かりました。では、兄さんはノルベルトの注意を引き付けてください。その間に、僕達で傀儡達を無力十分に気を付けてください」
「おうよ! 大暴れして引き付けてやる!」
「……くれぐれも、僕達に被害が及ばない程度にしてくださいね」
「分かってるって!」
(妹が体張って頑張ったんだ! ここで、俺がノルベルトの首を取るつもりで大暴れして体を張らないとな!)
自信満々のリュシアンに僅かな不安を抱きつつ、小さくため息をついたロスペルは、シトリンとラピスに視線を移す。
「そういうことですので、兄さんがノルベルトの注意を引きつけている間、シトリンさんとラピス君は騎士の無力化をお願いします」
「「分かりました」」
小さく頷いた2人を見て、ロスペルが作戦開始を告げる。
「では、行きましょう!」
そうして、5人はフリージアとメストのもとを離れた。
(こんなところに、メスト様が……それも、私の本当の名前を呼ぶなんて)
泣きそうな顔でこちらを見るメストに、驚いたフリージアは一瞬だけ目を見開く。
(あぁ、これはきっと夢よ。今まで頑張ってきた私に対しての夢。そうじゃなきゃ、今のメスト様が私の名前を呼ぶわけが無い)
ロスペルの解呪魔法で、メストが記憶を取り戻したこと、当然の事ながら知らないフリージアは、自身の中でそう結論付けると、メストの腕の中で静かに目を閉じた。
「フリージア! フリージア!」
ボロボロのフリージアを抱きとめたメストは、必死の形相で声をかけるが、静かに目を閉じた意フリージアから返事は来ない。
すると、メストに吹っ飛ばされたノルベルトが、よろよろと立ち上がると強化魔法を使って一気にメスト達のところに戻る。
「っ!」
「このクソ駄犬が! 駒の分際で俺の邪魔をしやがって!!」
激昂したノルベルトが、フリージアを抱えているメストに向かって手を翳した。
その時、アリーナ入口から2つの魔法が飛んできた。
「「《ウィンドブラスト》!!」」
「うががっ!」
強烈な2つの竜巻を食らったノルベルトの体は、再びコロッセオの壁まで吹き飛んだ。
「「メスト!」」
「メストさん!」
「メスト様!」
「隊長!」
「お前たち!」
突然の突風に驚いたメストのもとに、カトレアとロスペル、そしてリュシアンやシトリンにラピスが駆け寄る。
「メスト様! フリージアは!」
必死の形相のカトレアが、ラピス達と共にフリージアの顔を覗く。
そこには虫の息で呼吸している親友が眠っていた。
(フリージア!!)
元気で活発なフリージアからは想像できない憔悴しきった姿に、カトレアは驚きのあまり思わず倒れそうになる。
「カトレア!」
「だ、大丈夫よ。ありがとう、ラピス」
メストの腕の中で眠っているフリージアを見たシトリンが険しい顔をしている隣で、ロスペルが静かに妹の容態を確認する。
「魔力切れに複数箇所に打ち身や骨折……これは、想像以上に酷い怪我だね」
「そう、だな」
そう言って、険しい顔をしたリュシアンがそっとフリージアの頬を擦る。
「全く、無茶しやがって」
(お転婆にも程があるだろうが)
『王国の盾』として誇りを持っているフリージアを知っているからこそ、妹の姿に悔しさを堪えるように拳を握ったリュシアンが静かに立ち上がる。
その時、フリージアの容態を見ていたロスペルが何かを閃き、メストに視線を移した。
「メストさん、アイスシェルは使えますか?」
「あぁ、使えるが……それが、どうした?」
眉を顰める首を傾げるメストに、周囲を見回して何かを確認したロスペルは、腰に携えているマジックバックから小さなポーションを取り出して差し出す。
「では、僕たちが離れたらすぐにアイスシェルを使ってください」
「離れたらすぐにか?」
「はい。そして、シェルを展開したら、すぐさまフリージアに刺さった矢を引き抜き、このエクストラポーションを飲ませてください」
「っ!?」
(まさか、完全回復の効果がある希少なポーションを持っていたとは!)
驚くメストの手に、ロスペルは黙ってポーションを握らせる。
「……妹のこと、頼みましたよ」
妹の無事を祈るようにポーションを渡したロスペルを見て、メストは真剣な表情で頷く。
「分かった。任せておけ」
メストの返事を聞いたロスペルは、静かに立ち上がると拳を握って黙っているリュシアンの肩を叩く。
「兄さん、フリージアのことはメストさんに任せたから、僕達はノルベルトの傀儡達の一掃をしよう」
「あぁ、そうだな」
地を這うような声で返事をしたリュシアンに、一瞬目を伏せたロスペルは、心配そうな顔でフリージアを見ているカトレア達に声をかける。
「カトレア嬢、そしてラピス君にシトリンさん、行きますよ。もうじき、ノルベルトが動くと思いますので」
その瞬間、目の前から火球が飛んできて、咄嗟に杖を構えたロスペルが無詠唱で水球を放ち、火球と相殺させた。
「カトレア」
「分かっているわ」
ラピスに名前を呼ばれ、静かに立ち上がったカトレアは、フリージアの顔を見るとメストに視線を移す。
「メスト様、フリージアをよろしくお願いします」
「あぁ、分かっている」
いつになく真剣なメストに安堵を覚えたカトレアは、視線を前を向くと杖を強く握り締める。
それを背中越しで確認したロスペルが、この短時間で立てた作戦をリュシアン達に伝える。
「兄さんとシトリンさんとラピス君は騎士達の無力化を。僕とカトレア嬢は宮廷魔法師達の無力化を」
「分かりました、師匠!」
すると、こちらを凝視しているノルベルトに気づいたリュシアンが口を挟んできた。
「それなら、俺がノルベルトの注意を引きつける。その間にお前達で傀儡を倒せ」
「よろしいのですか?」
不安げな目を向けるロスペルに、リュシアンは得意げな笑みを浮かべる。
「あぁ、この中で無効化魔法を使えるのは俺だけだ。なら、無効化魔法に相当な恨みを持っている奴を引きつけるにはうってつけだろ」
「……分かりました。では、兄さんはノルベルトの注意を引き付けてください。その間に、僕達で傀儡達を無力十分に気を付けてください」
「おうよ! 大暴れして引き付けてやる!」
「……くれぐれも、僕達に被害が及ばない程度にしてくださいね」
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