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最終章 木こりと騎士は……
第520話 剣と盾
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「よろしいのですね、父上?」
(この国に現存する最古であり最大、そして唯一の魔法陣を)
「あぁ、アレはもう今の王国には必要ない。だから、ルベル団長を無力化した後、とびっきりの魔法で破壊をしてくれ」
(結界魔法用の魔法陣が動かない今、奴が改竄魔法を使えるのは、間違いなく古の魔法陣を利用しているからに違いない。ならば、破壊するしかない)
「遅かれ早かれ、アレは破壊するべきものだったのだから」
(国の存亡に影響した時点で)
先代から爵位を受け継ぐ際、レクシャは先代から『古の魔法陣』についてを教えらえた。
そこで、レクシャは『もし誰かがこの魔法陣の存在を知った場合、悪用されるのではないか』と危惧していた。
そして全てを奪われた後、下級文官として国のあちこちを回りつつ、ノルベルトが使っている結界用魔法陣を探していたレクシャは偶然、ノルベルトが古の魔法陣を使っていたことを知ってしまった。
そう、図らずも、爵位を引き継いだ時にレクシャが危惧していたことが現実になってしまったのだ。
よりにもよって、約300年前まで宰相家だった家から生まれた改竄魔法の使い手によって。
「……分かりました」
(当主である父上が決断されたのなら)
実の父から『古の魔法陣』の破壊を命じられたロスペルは、静かに頷くと視線を前に戻した。
その時、レクシャに向かって遠距離から不意打ちを狙った攻撃が飛んできた。
「父さん!」
「父上!」
レクシャを守ろうとリュシアンとロスペルが慌てて得物を構えたが、透明な魔力を纏わせた片手剣の手によってあっさりと無効化された。
「さすが、サザランス公爵家現当主」
「そう、ですね」
眉一つ動かさず攻撃を無効化した父の気迫ある姿に、2人の息子は揃って感嘆の息を漏らす。
それに対し、苦々しい顔をしたノルベルトは思わず舌打ちをする。
「チッ、やはりだめだったか。でもまぁ、こいつらは誰一人として逃がさねぇけどなぁ!」
「ノルベルト……」
(貴様、そこまで横暴になってしまったか)
改竄魔法を使い過ぎた反動で、言葉や態度が粗暴になったノルベルトに、レクシャが悲しい目を向けた時、アリーナ出入口から得物を持った男が飛び出し、そのままレクシャに駆け寄ってきた。
「公爵様、遅くなりました」
「ディロイス、お前……!」
鬼気迫る表情でレクシャに駆け寄ってのは、メストの父であり、ヴィルマン侯爵家の当主ディロイス・ヴィルマンである。
レクシャと同じように片手剣を持ったディロイスは、呼吸を整えるとレクシャの前に立ち、ノルベルトに向かって得物を構える。
「陛下から許可をいただいています」
「だが、お前は……!」
「それに、あなた様の計画のためとはいえ、私もあの男に大事な息子の記憶を奪われましたから」
「っ!……そう、だったな」
(こいつもまた、ノルベルトと私の被害者だったな)
遡ること7年前。レクシャは万が一に備え、ノルベルトが行動を起こす前に、ディロイスに作戦に加わってもらうよう頼み込んでいた。
『そういうことだからディロイス、悪いがお前の家族にはノルベルトの傀儡になってもらう』
『……分かりました。それで、私の家族があの男から守られるのならば』
レクシャの話を聞いて、悔しい顔をしながら小さく頷いたディロイスは、レクシャの作戦に乗るしかない家族を守ることが出来ない自分への不甲斐なさと、我欲のために国を乗っ取ろうとするノルベルトに怒りを募らせていた。
そして、その怒りの炎は今日まで消えることはなかった。
だからこそ、ディロイスはノルベルトと対峙できるこの日を人知れずずっと待っていた。
背中から伝わるディロイスの並々ならぬ覚悟に、僅かに目を伏せたレクシャは小さく息を吐くと、ディロイスの隣に立って得物を構える。
「すまない、待たせた。ここからは我々が相手をしよう」
「はっ?」
不快そうに眉を顰めるノルベルトに、片手剣を握り締めたレクシャは威厳ある態度で声を張り上げる。
「聞こえなかったのか! ここからは『王国の盾』レクシャ・サザランスと!」
「『王国の剣』ディロイス・ヴィルマンが相手をしてやると言っているんだ!」
コロッセオに不穏な静けさが漂う中、殺気を纏った王国の盾と剣が今、改竄魔法で国を陥れようとする者と国の存亡をかけて相対する。
(この国に現存する最古であり最大、そして唯一の魔法陣を)
「あぁ、アレはもう今の王国には必要ない。だから、ルベル団長を無力化した後、とびっきりの魔法で破壊をしてくれ」
(結界魔法用の魔法陣が動かない今、奴が改竄魔法を使えるのは、間違いなく古の魔法陣を利用しているからに違いない。ならば、破壊するしかない)
「遅かれ早かれ、アレは破壊するべきものだったのだから」
(国の存亡に影響した時点で)
先代から爵位を受け継ぐ際、レクシャは先代から『古の魔法陣』についてを教えらえた。
そこで、レクシャは『もし誰かがこの魔法陣の存在を知った場合、悪用されるのではないか』と危惧していた。
そして全てを奪われた後、下級文官として国のあちこちを回りつつ、ノルベルトが使っている結界用魔法陣を探していたレクシャは偶然、ノルベルトが古の魔法陣を使っていたことを知ってしまった。
そう、図らずも、爵位を引き継いだ時にレクシャが危惧していたことが現実になってしまったのだ。
よりにもよって、約300年前まで宰相家だった家から生まれた改竄魔法の使い手によって。
「……分かりました」
(当主である父上が決断されたのなら)
実の父から『古の魔法陣』の破壊を命じられたロスペルは、静かに頷くと視線を前に戻した。
その時、レクシャに向かって遠距離から不意打ちを狙った攻撃が飛んできた。
「父さん!」
「父上!」
レクシャを守ろうとリュシアンとロスペルが慌てて得物を構えたが、透明な魔力を纏わせた片手剣の手によってあっさりと無効化された。
「さすが、サザランス公爵家現当主」
「そう、ですね」
眉一つ動かさず攻撃を無効化した父の気迫ある姿に、2人の息子は揃って感嘆の息を漏らす。
それに対し、苦々しい顔をしたノルベルトは思わず舌打ちをする。
「チッ、やはりだめだったか。でもまぁ、こいつらは誰一人として逃がさねぇけどなぁ!」
「ノルベルト……」
(貴様、そこまで横暴になってしまったか)
改竄魔法を使い過ぎた反動で、言葉や態度が粗暴になったノルベルトに、レクシャが悲しい目を向けた時、アリーナ出入口から得物を持った男が飛び出し、そのままレクシャに駆け寄ってきた。
「公爵様、遅くなりました」
「ディロイス、お前……!」
鬼気迫る表情でレクシャに駆け寄ってのは、メストの父であり、ヴィルマン侯爵家の当主ディロイス・ヴィルマンである。
レクシャと同じように片手剣を持ったディロイスは、呼吸を整えるとレクシャの前に立ち、ノルベルトに向かって得物を構える。
「陛下から許可をいただいています」
「だが、お前は……!」
「それに、あなた様の計画のためとはいえ、私もあの男に大事な息子の記憶を奪われましたから」
「っ!……そう、だったな」
(こいつもまた、ノルベルトと私の被害者だったな)
遡ること7年前。レクシャは万が一に備え、ノルベルトが行動を起こす前に、ディロイスに作戦に加わってもらうよう頼み込んでいた。
『そういうことだからディロイス、悪いがお前の家族にはノルベルトの傀儡になってもらう』
『……分かりました。それで、私の家族があの男から守られるのならば』
レクシャの話を聞いて、悔しい顔をしながら小さく頷いたディロイスは、レクシャの作戦に乗るしかない家族を守ることが出来ない自分への不甲斐なさと、我欲のために国を乗っ取ろうとするノルベルトに怒りを募らせていた。
そして、その怒りの炎は今日まで消えることはなかった。
だからこそ、ディロイスはノルベルトと対峙できるこの日を人知れずずっと待っていた。
背中から伝わるディロイスの並々ならぬ覚悟に、僅かに目を伏せたレクシャは小さく息を吐くと、ディロイスの隣に立って得物を構える。
「すまない、待たせた。ここからは我々が相手をしよう」
「はっ?」
不快そうに眉を顰めるノルベルトに、片手剣を握り締めたレクシャは威厳ある態度で声を張り上げる。
「聞こえなかったのか! ここからは『王国の盾』レクシャ・サザランスと!」
「『王国の剣』ディロイス・ヴィルマンが相手をしてやると言っているんだ!」
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