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最終章 木こりと騎士は……
第546話 ノルベルト・インベック④
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※ノルベルト視点です。
「クソッ! どうして俺の完璧な計画がバレた!」
それに、俺に意図的に魔法陣の存在を教えなかった上に、魔法陣の管理を次期当主である俺じゃなくて弟に任せるなんて!
親父のいる執務室を出て、家族のいる別邸にいる戻ってそのまま、妻が寝ている寝室ではなく執務室に入った俺は、怒りに任せにゴミ箱を蹴り飛ばす。
蹴ったゴミ箱が頑丈に作られた物とあって、蹴った直後に少しだけ痛みがきたが、怒りで五感が鈍っている俺にはどうでも良かった。
国王の側近として多忙を極めている親父が、親父の側近の中で末端である俺の行動なんて知っているはずがない!
なのに、どうしてバレた!?
先代国王が即位した時から国王の側近として仕えている親父は、『王国の影』を賜っている家の当主とあって、立場としては宰相の次に偉く、日夜多忙を極めていた。
それはもう、まともに休みが取れないくらいに。
とはいえ、親父は家族の誕生日には必ず休みを取って祝ってくれるし、早く帰れた日は一緒に食事だってするし、家族と話だってそれなりにしてくれる。
仕事にかまけて家族を放置している人ではなかった。
それでも俺は、幼い頃から親父とまともに話したことが無い。
……いや、親父とまともに話したことはあったか。
次期伯爵としての心得と改竄魔法の危険性についてだが。
そんな親父の側近の1人として働いている俺は、主に親父の世話や他の側近達の手伝いをしていた。
謂わば、親父と他の側近達の雑用係だ。
最初は怒りを覚えたが、他の側近達とは違い、定時で帰れるし休みもそれなりにあるので、『これは世界征服のための下準備をするいい機会なのでは』と切り替えてからは淡々と仕事していた。
休みがまともに取れないくらい忙しい親父と、そこそこ仕事を休める俺。
多忙な親父が側近の末端である俺のことなど、把握しているはずがない。
だから俺は、魔道具を使い領地に行って、世界征服のための下準備をしていたのに!
「まさか、親父の使える闇魔法が、他人の記憶に干渉出来る魔法とは! それを知っていれば、もう少し慎重に動けた!」
悔しさが込み上げた俺は、強く拳を握りしめる。
親父は、俺が改竄魔法で何か良からぬことを仕出かすことを予期していたのだろう。
だから、今の今まで自分が使える闇魔法を俺に黙っていたのかもしれたい。
「クソッ!!」
今になったまんまと親父に嵌められたことにきづいた俺は、倒れたゴミ箱を再び蹴り上げる。
そして、怒りが収まらないまま、自分用にあつらえた高級仕様の椅子にドカッと乱暴に座る。
すると、閉じられたドアが静かに開いた。
「父上、どうされたのですか?」
「あぁ、リアンにダリアか」
ノックもなしに入ってきたのは、半年前に7歳の誕生日を迎えた息子のリアンと、つい先日2歳の誕生日を迎えたダリアだった。
2人とも、生まれた時に水晶で魔力鑑定を行っており、リアンは魔物を召喚して操ることが出来る特別な召喚魔法を、ダリアは魅了魔法が使えることが分かった。
どちらも闇魔法である。
それにしても、俺の子たちは本当に可愛い。
特にダリアは、カルミアを小さくしたような美しさがあるから将来が楽しみだ。
不安げな兄と手を繋ぎ、不思議そうに俺を見るダリアに、少しだけ頭が冷えた俺は、優しく笑みを零すと椅子から立ち上がり、そのまま幼い兄妹の前でしゃがみ込む。
「すまない、少し騒がしくしたようだな」
「いえ、父上に何かあったかと思い、ダリアと一緒に様子を見に来ただけですので」
7歳になり、貴族としての自覚が芽生え始めたリアンの優しい気遣いを嬉しく思いつつも、少しだけ寂しさを覚えていた俺に、リアンの手を離れたダリアが抱き着いてきた。
「ダリア?」
「パパ、だいじょうぶ?」
「っ!」
魅了魔法の魔法が使えるのはまだのはずなのに、幼いダリアから上目遣いで心配され、思わず胸が高なった。
こいつ、リアン以上の良い駒になる。
純粋に心配するダリアの将来が益々楽しみになった俺は、ダリアの頭を優しく撫でた後、彼女を抱き上げるとそのまま可愛らしい額に自分の額をくっつける。
「あぁ、ダリアの顔を見ただけで大丈夫になった。ありがとうな、ダリア」
「うん!」
満面の笑みを浮かべるダリアを見て、俺は決心した。
『そうだ。爵位を受け継いだら、タウンハウスにいる奴ら全員を俺の駒にしよう。そしたら、魔法陣も俺のものになる!』と。
今までは、親父にバレることを恐れ、タウンハウスの中では改竄魔法を使うことを止めていた。
だが、親父にバレてしまった今以上、遠慮なんてしていられない。
家族も使用人も全員俺の駒にする。
そうすれば、魔法陣が俺のものになるし、世界征服にまた1歩近づく!
『領民全員を俺の駒にする』という目下の目的はそう遠くないうちに果たせるしな。
「父上?」
不思議そうに小首を傾げるリアンとダリアに優しく微笑む。
「リアン、ダリア、今まで苦労をかけてすまなかった。だが、もう少ししたらお前達を楽させることが出来る」
そう、俺の駒として楽させることが出来るのだ。
「やったぁ! たのしみ!」
無邪気に喜ぶダリアに、俺は仄暗い笑みを浮かべる。
「クソッ! どうして俺の完璧な計画がバレた!」
それに、俺に意図的に魔法陣の存在を教えなかった上に、魔法陣の管理を次期当主である俺じゃなくて弟に任せるなんて!
親父のいる執務室を出て、家族のいる別邸にいる戻ってそのまま、妻が寝ている寝室ではなく執務室に入った俺は、怒りに任せにゴミ箱を蹴り飛ばす。
蹴ったゴミ箱が頑丈に作られた物とあって、蹴った直後に少しだけ痛みがきたが、怒りで五感が鈍っている俺にはどうでも良かった。
国王の側近として多忙を極めている親父が、親父の側近の中で末端である俺の行動なんて知っているはずがない!
なのに、どうしてバレた!?
先代国王が即位した時から国王の側近として仕えている親父は、『王国の影』を賜っている家の当主とあって、立場としては宰相の次に偉く、日夜多忙を極めていた。
それはもう、まともに休みが取れないくらいに。
とはいえ、親父は家族の誕生日には必ず休みを取って祝ってくれるし、早く帰れた日は一緒に食事だってするし、家族と話だってそれなりにしてくれる。
仕事にかまけて家族を放置している人ではなかった。
それでも俺は、幼い頃から親父とまともに話したことが無い。
……いや、親父とまともに話したことはあったか。
次期伯爵としての心得と改竄魔法の危険性についてだが。
そんな親父の側近の1人として働いている俺は、主に親父の世話や他の側近達の手伝いをしていた。
謂わば、親父と他の側近達の雑用係だ。
最初は怒りを覚えたが、他の側近達とは違い、定時で帰れるし休みもそれなりにあるので、『これは世界征服のための下準備をするいい機会なのでは』と切り替えてからは淡々と仕事していた。
休みがまともに取れないくらい忙しい親父と、そこそこ仕事を休める俺。
多忙な親父が側近の末端である俺のことなど、把握しているはずがない。
だから俺は、魔道具を使い領地に行って、世界征服のための下準備をしていたのに!
「まさか、親父の使える闇魔法が、他人の記憶に干渉出来る魔法とは! それを知っていれば、もう少し慎重に動けた!」
悔しさが込み上げた俺は、強く拳を握りしめる。
親父は、俺が改竄魔法で何か良からぬことを仕出かすことを予期していたのだろう。
だから、今の今まで自分が使える闇魔法を俺に黙っていたのかもしれたい。
「クソッ!!」
今になったまんまと親父に嵌められたことにきづいた俺は、倒れたゴミ箱を再び蹴り上げる。
そして、怒りが収まらないまま、自分用にあつらえた高級仕様の椅子にドカッと乱暴に座る。
すると、閉じられたドアが静かに開いた。
「父上、どうされたのですか?」
「あぁ、リアンにダリアか」
ノックもなしに入ってきたのは、半年前に7歳の誕生日を迎えた息子のリアンと、つい先日2歳の誕生日を迎えたダリアだった。
2人とも、生まれた時に水晶で魔力鑑定を行っており、リアンは魔物を召喚して操ることが出来る特別な召喚魔法を、ダリアは魅了魔法が使えることが分かった。
どちらも闇魔法である。
それにしても、俺の子たちは本当に可愛い。
特にダリアは、カルミアを小さくしたような美しさがあるから将来が楽しみだ。
不安げな兄と手を繋ぎ、不思議そうに俺を見るダリアに、少しだけ頭が冷えた俺は、優しく笑みを零すと椅子から立ち上がり、そのまま幼い兄妹の前でしゃがみ込む。
「すまない、少し騒がしくしたようだな」
「いえ、父上に何かあったかと思い、ダリアと一緒に様子を見に来ただけですので」
7歳になり、貴族としての自覚が芽生え始めたリアンの優しい気遣いを嬉しく思いつつも、少しだけ寂しさを覚えていた俺に、リアンの手を離れたダリアが抱き着いてきた。
「ダリア?」
「パパ、だいじょうぶ?」
「っ!」
魅了魔法の魔法が使えるのはまだのはずなのに、幼いダリアから上目遣いで心配され、思わず胸が高なった。
こいつ、リアン以上の良い駒になる。
純粋に心配するダリアの将来が益々楽しみになった俺は、ダリアの頭を優しく撫でた後、彼女を抱き上げるとそのまま可愛らしい額に自分の額をくっつける。
「あぁ、ダリアの顔を見ただけで大丈夫になった。ありがとうな、ダリア」
「うん!」
満面の笑みを浮かべるダリアを見て、俺は決心した。
『そうだ。爵位を受け継いだら、タウンハウスにいる奴ら全員を俺の駒にしよう。そしたら、魔法陣も俺のものになる!』と。
今までは、親父にバレることを恐れ、タウンハウスの中では改竄魔法を使うことを止めていた。
だが、親父にバレてしまった今以上、遠慮なんてしていられない。
家族も使用人も全員俺の駒にする。
そうすれば、魔法陣が俺のものになるし、世界征服にまた1歩近づく!
『領民全員を俺の駒にする』という目下の目的はそう遠くないうちに果たせるしな。
「父上?」
不思議そうに小首を傾げるリアンとダリアに優しく微笑む。
「リアン、ダリア、今まで苦労をかけてすまなかった。だが、もう少ししたらお前達を楽させることが出来る」
そう、俺の駒として楽させることが出来るのだ。
「やったぁ! たのしみ!」
無邪気に喜ぶダリアに、俺は仄暗い笑みを浮かべる。
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