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最終章 木こりと騎士は……
第553話 今のままが良い!!
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「パパ!」
「「「「「っ!!!!」」」」
コロッセオに響き渡る女性の声に、驚いたレクシャ達が声が聞こえた方に目を向ける。
そこには、拘束されながらカトレアの魔法で宙に浮いているダリアと、ロスペルの魔法で拘束されたまま、フリージア達に連行されているリアンとカルミアがいた。
フリージア達に捕まっている家族を見て、ノルベルトが不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「フン、もう少し使えると思ったが……やはり、お前達は私の道具としては使えな……」
「パパ! もうやめて!」
「っ!」
ノルベルトの言葉を遮ったダリアは、必死の形相で訴えかける。
「インベック家が宰相家だった頃は、もう過去のことなのよ! だから、過去を繰り返すような愚かなことをしないで!」
「そうだそ、親父! そんなことしたって、かつてのインベック家当主が、改竄魔法を使ってこの国を危険に晒した事実は消えねぇんだよ!」
「それくらい、あなただって分かっていることでしょ!!」
涙を堪えながら、ノルベルトを止めようと必死の形相で説得するダリア達。
だが、それを聞いたノルベルトが、眉を吊り上げると声を荒げる。
「お前に何が分かる! 改竄魔法のせいで虐げられ、一体どんな思いをしたのかを! 俺が罪深い家の生まれだと知って、どんなに絶望したかを!」
(分かるわけがない! だって、お前は『改竄魔法』なんていう闇魔法を使えないのだから!)
心の底から激高するノルベルトの言葉に、リアンとカルミアは思わずたじろぐ。
しかし、ダリアだけは勇気を振り絞り、声を震わせて言い返す。
「知らないわよ! そんなこと!」
「だったら、お前は黙っていろ!」
「黙っているわけないでしょ!!」
「っ!!」
まさか娘が噛み付いてくるとは思わず、狼狽えてしまうノルベルト。
改竄魔法にかかっていた頃のダリアは、ノルベルトに対してとにかく従順だった。
反論なんてしないし、どんな無茶なお願いでも、彼女が望む快楽を与えれば、いくらでも聞いてくれた。
ノルベルトにとって、非常に使い勝手が良い駒だった。
けれど、今のダリアは一時的にノルベルトの影響下から外れているお陰で、父親に対して反抗的な態度をとれたのだった。
予想外の反論にたじろぐノルベルトに、ダリアは思いのままに言葉を紡ぐ。
「私は改竄魔法なんて使えない! だから、パパの気持ちなんて分からない! けれど、私も魅了魔法が使えるから、パパが周りの人達から変な目で見られるのが嫌だという気持ちは分かるわ!」
(だからこそ、私は……!)
涙に堪えているダリアの脳裏に、幼い頃、初めてフリージアに会った時のことが鮮明に蘇る。
そして、みんなと同じ魔法が使えなくても、美しくて気高い幼い少女の凛々しい姿が、今のダリアに勇気を与える。
「でも、それを理由にして、誤った過去を繰り返すのは間違っている! 改竄魔法が使えるな……誰もが忌み嫌う魔法が使えるなら、それを不幸のために使うんじゃなくて、この国の平和を守るために使って、みんなの改竄魔法に対する悪いイメージを根底から覆しないよ!」
『あなたが魅了魔法を使えるせいで変な目で見られ、それに対して怒る気持ちは分かります。ですが、その怒りを晴らすために魔法でたくさんの人を傷つけるのはするのは間違っています! どうせ晴らすなら……悪い奴を魅了し、自らの罪を白状させるような、この国の平和のために使いなさい!!』
これは幼い頃、魅力魔法が使えることを理由に周囲から好奇な目を向けられ、怒りを覚えたダリアが、憂さ晴らしに気に入った貴族令息に魅了魔法をかけようとし、それを無効化魔法で止めたフリージアがダリアに放った言葉である。
(あの時、あの女に言われたことは、今でも心底腹が立つ。けど……それを言われてから私は、他人に対して魅了魔法を使わなくなったのよね)
フリージアから叱責されたダリアは、その時を境に男性を靡かせる時は絶対に魅了魔法を使わないことを心に誓った。
それが、ダリアなりのけじめだったから。
涙声で必死に訴えるダリアだったが、怒りにのまれたままのノルベルトにその訴えは届かない。
「だが、お前は悔しくないのか! ここにいる悪魔達のせいで誇り高い我がインベック家が宰相家ではなくなったことを!」
(そうだ、俺たちは、この悪魔達のせいで何もかもが奪われて……!)
「そんなの、全く悔しくないに決まっているじゃない!」
「っ!……どう、して?」
(どうして、全く悔しくないんだ? この家は宰相家だったんだぞ?)
思わぬ返答に言葉を失うノルベルトに、ダリアは唖然としつつも悔しくない理由を伝える。
「どうしてって……先代がやったこととはいえ、インベック家はこの国に迷惑をかけた。だから、それ相応の報いを受けて当然じゃない! それに……」
1呼吸置いたダリアは、コロッセオに響き渡る声で切実な願いを口にする。
「私は、今のままでいい! 闇魔法を使える私たち達が、『王国の影』としてこの国を支えている今のままでいい! むしろ、パパとママとリアンお兄様と使用人のみんなと慎ましくも穏やかに暮らせる今がいいの!!」
「「「「「っ!!!!」」」」
コロッセオに響き渡る女性の声に、驚いたレクシャ達が声が聞こえた方に目を向ける。
そこには、拘束されながらカトレアの魔法で宙に浮いているダリアと、ロスペルの魔法で拘束されたまま、フリージア達に連行されているリアンとカルミアがいた。
フリージア達に捕まっている家族を見て、ノルベルトが不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「フン、もう少し使えると思ったが……やはり、お前達は私の道具としては使えな……」
「パパ! もうやめて!」
「っ!」
ノルベルトの言葉を遮ったダリアは、必死の形相で訴えかける。
「インベック家が宰相家だった頃は、もう過去のことなのよ! だから、過去を繰り返すような愚かなことをしないで!」
「そうだそ、親父! そんなことしたって、かつてのインベック家当主が、改竄魔法を使ってこの国を危険に晒した事実は消えねぇんだよ!」
「それくらい、あなただって分かっていることでしょ!!」
涙を堪えながら、ノルベルトを止めようと必死の形相で説得するダリア達。
だが、それを聞いたノルベルトが、眉を吊り上げると声を荒げる。
「お前に何が分かる! 改竄魔法のせいで虐げられ、一体どんな思いをしたのかを! 俺が罪深い家の生まれだと知って、どんなに絶望したかを!」
(分かるわけがない! だって、お前は『改竄魔法』なんていう闇魔法を使えないのだから!)
心の底から激高するノルベルトの言葉に、リアンとカルミアは思わずたじろぐ。
しかし、ダリアだけは勇気を振り絞り、声を震わせて言い返す。
「知らないわよ! そんなこと!」
「だったら、お前は黙っていろ!」
「黙っているわけないでしょ!!」
「っ!!」
まさか娘が噛み付いてくるとは思わず、狼狽えてしまうノルベルト。
改竄魔法にかかっていた頃のダリアは、ノルベルトに対してとにかく従順だった。
反論なんてしないし、どんな無茶なお願いでも、彼女が望む快楽を与えれば、いくらでも聞いてくれた。
ノルベルトにとって、非常に使い勝手が良い駒だった。
けれど、今のダリアは一時的にノルベルトの影響下から外れているお陰で、父親に対して反抗的な態度をとれたのだった。
予想外の反論にたじろぐノルベルトに、ダリアは思いのままに言葉を紡ぐ。
「私は改竄魔法なんて使えない! だから、パパの気持ちなんて分からない! けれど、私も魅了魔法が使えるから、パパが周りの人達から変な目で見られるのが嫌だという気持ちは分かるわ!」
(だからこそ、私は……!)
涙に堪えているダリアの脳裏に、幼い頃、初めてフリージアに会った時のことが鮮明に蘇る。
そして、みんなと同じ魔法が使えなくても、美しくて気高い幼い少女の凛々しい姿が、今のダリアに勇気を与える。
「でも、それを理由にして、誤った過去を繰り返すのは間違っている! 改竄魔法が使えるな……誰もが忌み嫌う魔法が使えるなら、それを不幸のために使うんじゃなくて、この国の平和を守るために使って、みんなの改竄魔法に対する悪いイメージを根底から覆しないよ!」
『あなたが魅了魔法を使えるせいで変な目で見られ、それに対して怒る気持ちは分かります。ですが、その怒りを晴らすために魔法でたくさんの人を傷つけるのはするのは間違っています! どうせ晴らすなら……悪い奴を魅了し、自らの罪を白状させるような、この国の平和のために使いなさい!!』
これは幼い頃、魅力魔法が使えることを理由に周囲から好奇な目を向けられ、怒りを覚えたダリアが、憂さ晴らしに気に入った貴族令息に魅了魔法をかけようとし、それを無効化魔法で止めたフリージアがダリアに放った言葉である。
(あの時、あの女に言われたことは、今でも心底腹が立つ。けど……それを言われてから私は、他人に対して魅了魔法を使わなくなったのよね)
フリージアから叱責されたダリアは、その時を境に男性を靡かせる時は絶対に魅了魔法を使わないことを心に誓った。
それが、ダリアなりのけじめだったから。
涙声で必死に訴えるダリアだったが、怒りにのまれたままのノルベルトにその訴えは届かない。
「だが、お前は悔しくないのか! ここにいる悪魔達のせいで誇り高い我がインベック家が宰相家ではなくなったことを!」
(そうだ、俺たちは、この悪魔達のせいで何もかもが奪われて……!)
「そんなの、全く悔しくないに決まっているじゃない!」
「っ!……どう、して?」
(どうして、全く悔しくないんだ? この家は宰相家だったんだぞ?)
思わぬ返答に言葉を失うノルベルトに、ダリアは唖然としつつも悔しくない理由を伝える。
「どうしてって……先代がやったこととはいえ、インベック家はこの国に迷惑をかけた。だから、それ相応の報いを受けて当然じゃない! それに……」
1呼吸置いたダリアは、コロッセオに響き渡る声で切実な願いを口にする。
「私は、今のままでいい! 闇魔法を使える私たち達が、『王国の影』としてこの国を支えている今のままでいい! むしろ、パパとママとリアンお兄様と使用人のみんなと慎ましくも穏やかに暮らせる今がいいの!!」
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