木こりと騎士〜不条理に全てを奪われた元宰相家令嬢は、大切なものを守るために剣をとる〜

温故知新

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最終章 木こりと騎士は……

第563話 執事と後方支援部隊

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「「「「「「うぉぉぉ―――――――――!!」」」」」」


 レクシャの『作戦成功』という言葉で、魔道具とその場にいた騎士から歓声が沸き上がる。

 (ようやく、ようやく、取り戻せた)

 ノルベルトから何もかも奪われてから約7年、ただひたすら『奪われたものを取り戻す』という信念を胸に、『家族に会いたい……特に、王都で平民達を守っていたフリージアに会いたい』という願望を殺し、水面下で動いていたレクシャは、協力者達の歓声を聞いてようやく奪われたものを取り戻したのだと実感した。

 そんな彼の青い瞳を僅かながら潤ませている姿を見て、傍にいたインホルトが笑みを浮かべて声をかける。


「旦那様、良かったですね」
「あぁ、インホルトもよく頑張ってくれた」


 (大事な義父を亡くなったと聞いた時、真っ先に駆けつけたかったはずなのに……今日まで私の傍で頑張ってくれた)


「いえ、私は旦那様の執事ですから」
「あぁ、そうだったな」


 優しく微笑んだレクシャに、同じく優しく微笑んだインホルトが窓越しに見える澄み渡る青空に目を向ける。


「お義父、見ていますか? この国が元に戻りましたよ」


 (あなたと私の大切な人達が、自らの手で全てを取り戻しましたよ)

 嬉しそうに笑ったインホルトの頬には、綺麗な涙が流れた。


 ◇◇◇◇◇
『皆の活躍のお陰で、ノルベルトからこの国を取り返した! 本当にありがとう!!』
「「「「「「うぉぉぉ―――――――――!!」」」」」」


 通信用の魔道具から『作戦成功』の報告が出た瞬間、奪還作戦の後方支援全般を担っていたエピナント家の本拠地である屋敷が歓声に包まれる。


「お父様!」


 全ての魔法陣が奪還された後、拠点の指揮を第二騎士団に任せ、母や兄と共に本拠地に戻ってきたマヤは、喜びのあまり父親のユークに抱き着く。


「あぁ、無事にこの国を取り戻せたぞ」


 (ようやく、この国が忌まわしい魔法から解き放たれたのだな)

 ノルベルトが王国に改竄魔法をかける前、レクシャからの手紙でノルベルトの動きを知っていたユークは、家を守るためにも、先代から付き合いのあるレクシャのためにも、ノルベルトから目をつけられない程度に帝国から平民が使える魔道具を仕入れて売りさばきつつ、来る日に備えて準備をしていた。

 結果的に、それが家族にバレて、観念したユークはレクシャから許可をもらい、家族にも作戦に必要な物資の準備の手伝いや各拠点の指揮を任せた。


「マヤ、お前には辛いことをさせてしまったな」


 (近衛騎士のシトリン君に黙って、私の手伝いをしてくれたことに)

 申し訳なさそうに謝るユークに、顔を上げたマヤが大きく首を横に振る。


「いいえ、私はただ、エピナント家の人間として当然のことをしただけです」


 (今なら分かる。ダリア様に追い詰められた、フリージア様の頼もしい背中を見たからこそ、熱い言葉をいただいたからこそ、私は己が役目を果たそうと思ったの)


『あなたには、貴族としての役目があるでしょ!』


 王都でフリージアに助けられたあの日から、フリージアの言葉を支えに、エピナント家の人間として母や兄と共に父の手伝いを進んでしていたマヤ。

 そんな彼女は、父から離れると窓越しに見える青空に目を向ける。

 (後は、シトリン様が無事であることを待つだけ)


「シトリン様、いつものようにお茶の用意をしてお待ちしておりますからね」


 (だから早く、屋敷に来てくださいね)

 拠点で指揮を執っていた少女は、大事な婚約者の無事を祈った。



 ※最終回まで、あと8話!
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