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第1章 木こりと騎士は再会する
第5話 各々の言い分
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「お前達! 一体、何をやっている!!」
「「っ!?」」
メストの怒鳴り声に、肩を震わせた木こりとアルジムは揃って剣を降ろすと、そのまま声がした方に向けた。
(どうして、あなたがここに……)
騎士と平民が一触即発しているところを目の当たりにして怒りを露わにするメストに、木こりは一瞬だけ目を丸くしていると、2人の姿を見たアルジムが剣を落とした。
「メッ、メスト様に、シトリン様!?」
王都の見回りを主な任としている第一騎士団の下級騎士であるアルジムにとって、王族の警護を主な任務としている近衛騎士団の上級騎士である2人は、頭の上がらない上司である。
そんな彼らの登場に顔を青ざめさせたアルジムは、落とした剣に気づくこともないままメストとシトリンがいる方に恐る恐る一歩を踏み出した。
「あっ、あの! どうしてこちらに……」
「『どうしてこちらに?』だと?」
「ヒッ!」
(さすが『氷の騎士』の異名を持つお方。睨まれただけで氷漬けされそうだ)
メストの氷のような鋭い眼光を向けられ、小さく悲鳴を上げたアルジムの体は恐怖で硬直した。
そんな彼に小さく溜息をついたシトリンは、目が笑っていない笑顔でこの場に来た理由を告げる。
「それは、巡回中に女性の悲鳴が聞こえたからだよ。それで急いで来たんだけど……これは一体、どういうことなのかな?」
「ヒィィィィ!」
(怖い、シトリン様もメスト様に負けず劣らず怖い!)
シトリンからの尋問に、額から滝のように汗を流し始めたアルジムが、木こりのことを視界に入れると、指差しながら保身に走った言い訳をしはじめた。
「ええっと、こっ、これはですね! 俺と対峙していたそいつが、いきなり親子に剣を向けたので、私が止めに入ったのですよ!」
「えっ、そうなの? それにしては君と対峙している彼は、どこからどう見ても君から親子を守っているようにしか見えないだけど?」
「そっ、それは! ついさっきまで、私とそいつが剣を交えていまして、それで場所が入れ替わってしまったのですよ」
「そうなのか? どうなんだ、そこの君?」
メストから視線を向けられた木こりは、無表情のまま口を開いた。
「『そこの君』とは、私のことでしょうか?」
「あぁ、そこの肥え太った騎士と対峙している君のことだ」
その瞬間、6人のやり取りを静かに見守っていた野次馬達の視線がより冷ややかなものになった。
「……ねぇ、メスト。今、変なこと言った?」
「いや、変なことは口にしていない」
「そうだよね……」
野次馬達からの容赦ない冷たい視線に、メストとシトリンは互いに顔を見合わせると揃って首を傾げた。
そんな2人を見て小さく溜息をついた木こりは、話を戻そうとわざと咳払いをした。
「コホン。それより、今目の前にいる騎士様が言っていることは本当なのかってことですよね」
「あっ、あぁ。そうだ。アルジムが言っていることは本当なのか?」
真剣な表情で問い質すメストに、木こりは小さく口元を引き締めると無表情でアルジムの方を一瞥した。
そして、2人の騎士に視線を戻すと口を開いた。
「まぁ、あなた様方の同胞がそう仰っているのですからそうなのではないでしょうか」
(そうよ。今のこの人達も所詮、無実の親子に冤罪をかけて剣を向けた騎士と同じ国や貴族の飼い犬。平民風情が何言ったって無駄よ)
複雑な気持ちを抑えつつ、他人事のように答えた木こりに、メストとシトリンが再び首を傾げたその時、恐怖に震えていた少年が声を張り上げた。
◇◇◇◇
「違うよ!!」
「なっ!」
少年の声に一瞬だけ目を見開いた木こりと、驚きの声をあげたアルジム。
「それは、どういうことか教えてくれるかな?」
勇気を振り絞って訴えてくれた少年から詳しい話を聞こうと、メストが親子に近づいた瞬間、木こりが突然降ろしていたレイピアをメスト向けてきた。
「何のつもりだ?」
「あなた様が、そちらにいらっしゃる騎士と同じことをこの親子にしない保証がありませんので、無礼を承知で剣を向けました」
「つまり、親子の身の安全を守るために俺に剣を向けたってことか?」
「そういうことです。あなた様も騎士様ですから」
(本当はこんなことしたくない。でも……!!)
無表情でレイピアを突きつける木こりに、僅かに表情を歪ませたメストは、少年を鬼の形相で見ているアルジムを一瞥するとそっと息を吐く。
「分かった。それで、俺のことを少しでも信用してくれるなら構わない」
「メスト!?」
「メスト様!?」
「シトリン。彼が俺を警戒するのは致し方ない。むしろ、剣を向けられただけで少年と話せるなら今はそれで良い」
「メスト、君ねぇ……」
呆れたように溜息をつくとシトリンを一瞥したメストは、木こりの後ろに隠れている少年と視線を合わせた。
「それで、何が違うんだ? 少年」
「「っ!?」」
メストの怒鳴り声に、肩を震わせた木こりとアルジムは揃って剣を降ろすと、そのまま声がした方に向けた。
(どうして、あなたがここに……)
騎士と平民が一触即発しているところを目の当たりにして怒りを露わにするメストに、木こりは一瞬だけ目を丸くしていると、2人の姿を見たアルジムが剣を落とした。
「メッ、メスト様に、シトリン様!?」
王都の見回りを主な任としている第一騎士団の下級騎士であるアルジムにとって、王族の警護を主な任務としている近衛騎士団の上級騎士である2人は、頭の上がらない上司である。
そんな彼らの登場に顔を青ざめさせたアルジムは、落とした剣に気づくこともないままメストとシトリンがいる方に恐る恐る一歩を踏み出した。
「あっ、あの! どうしてこちらに……」
「『どうしてこちらに?』だと?」
「ヒッ!」
(さすが『氷の騎士』の異名を持つお方。睨まれただけで氷漬けされそうだ)
メストの氷のような鋭い眼光を向けられ、小さく悲鳴を上げたアルジムの体は恐怖で硬直した。
そんな彼に小さく溜息をついたシトリンは、目が笑っていない笑顔でこの場に来た理由を告げる。
「それは、巡回中に女性の悲鳴が聞こえたからだよ。それで急いで来たんだけど……これは一体、どういうことなのかな?」
「ヒィィィィ!」
(怖い、シトリン様もメスト様に負けず劣らず怖い!)
シトリンからの尋問に、額から滝のように汗を流し始めたアルジムが、木こりのことを視界に入れると、指差しながら保身に走った言い訳をしはじめた。
「ええっと、こっ、これはですね! 俺と対峙していたそいつが、いきなり親子に剣を向けたので、私が止めに入ったのですよ!」
「えっ、そうなの? それにしては君と対峙している彼は、どこからどう見ても君から親子を守っているようにしか見えないだけど?」
「そっ、それは! ついさっきまで、私とそいつが剣を交えていまして、それで場所が入れ替わってしまったのですよ」
「そうなのか? どうなんだ、そこの君?」
メストから視線を向けられた木こりは、無表情のまま口を開いた。
「『そこの君』とは、私のことでしょうか?」
「あぁ、そこの肥え太った騎士と対峙している君のことだ」
その瞬間、6人のやり取りを静かに見守っていた野次馬達の視線がより冷ややかなものになった。
「……ねぇ、メスト。今、変なこと言った?」
「いや、変なことは口にしていない」
「そうだよね……」
野次馬達からの容赦ない冷たい視線に、メストとシトリンは互いに顔を見合わせると揃って首を傾げた。
そんな2人を見て小さく溜息をついた木こりは、話を戻そうとわざと咳払いをした。
「コホン。それより、今目の前にいる騎士様が言っていることは本当なのかってことですよね」
「あっ、あぁ。そうだ。アルジムが言っていることは本当なのか?」
真剣な表情で問い質すメストに、木こりは小さく口元を引き締めると無表情でアルジムの方を一瞥した。
そして、2人の騎士に視線を戻すと口を開いた。
「まぁ、あなた様方の同胞がそう仰っているのですからそうなのではないでしょうか」
(そうよ。今のこの人達も所詮、無実の親子に冤罪をかけて剣を向けた騎士と同じ国や貴族の飼い犬。平民風情が何言ったって無駄よ)
複雑な気持ちを抑えつつ、他人事のように答えた木こりに、メストとシトリンが再び首を傾げたその時、恐怖に震えていた少年が声を張り上げた。
◇◇◇◇
「違うよ!!」
「なっ!」
少年の声に一瞬だけ目を見開いた木こりと、驚きの声をあげたアルジム。
「それは、どういうことか教えてくれるかな?」
勇気を振り絞って訴えてくれた少年から詳しい話を聞こうと、メストが親子に近づいた瞬間、木こりが突然降ろしていたレイピアをメスト向けてきた。
「何のつもりだ?」
「あなた様が、そちらにいらっしゃる騎士と同じことをこの親子にしない保証がありませんので、無礼を承知で剣を向けました」
「つまり、親子の身の安全を守るために俺に剣を向けたってことか?」
「そういうことです。あなた様も騎士様ですから」
(本当はこんなことしたくない。でも……!!)
無表情でレイピアを突きつける木こりに、僅かに表情を歪ませたメストは、少年を鬼の形相で見ているアルジムを一瞥するとそっと息を吐く。
「分かった。それで、俺のことを少しでも信用してくれるなら構わない」
「メスト!?」
「メスト様!?」
「シトリン。彼が俺を警戒するのは致し方ない。むしろ、剣を向けられただけで少年と話せるなら今はそれで良い」
「メスト、君ねぇ……」
呆れたように溜息をつくとシトリンを一瞥したメストは、木こりの後ろに隠れている少年と視線を合わせた。
「それで、何が違うんだ? 少年」
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