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第1章 木こりと騎士は再会する
第9話 王国騎士団本部
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馬車が走り始めてしばらく、親子が事情聴取に連れて来られたのは、王城の広大な敷地内にある騎士団本部。
白で統一された堅牢な建物の中は、外観と同じ白一色で統一されており、廊下を歩いていると訓練に励んでいる騎士達の金属同士がぶつかり合う音や猛々しい声が聞こえた。
「ねぇ、母ちゃん見てみて! カッコイイ騎士様がいっぱいだよ!」
「こら、静かになさい! 騎士様に迷惑でしょ!」
初めてきた騎士団本部に目を輝かせている息子を宥めすかす母親。
そんな親子のやり取りを聞いて、親子を案内しているメストとシトリンは揃って微笑んだ。
「どうやら喜んでくれたみたいだね、隊長」
「そうだな。だが、母親の方はずっと顔が強張っている」
息子を宥めすかしつつも、すれ違う騎士達にペコペコ頭を下げる母親に、メストは心配そうに眉を顰めた。
「そりゃあ、平民が王国騎士団の常駐している場所に来ることなんて滅多に無いから、顔が強張るくらい緊張していても仕方ないでしょ」
「まぁ、それだけならいいが……」
(何故だろう、親子を見て嫌な顔をした御者の顔が頭から離れない)
怯えている母親の表情に不安を覚えつつ、メストが親子から視線を前に戻す。
前から歩いてきた下級騎士がメストとシトリンに気づき、その場に立ち止まると上級騎士に向かって綺麗な敬礼をした。
「お疲れ様です! メスト隊長、シトリン副隊長!」
「あぁ、お疲れ」
「お疲れ様」
はきはきとした声で挨拶した下級騎士の前で立ち止まったメストとシトリンが軽く頭を下げると、2人の後ろを歩いていた少年が突然下級騎士の足元に抱き着いた。
「ねえ、お兄さんの鎧、とてもカッコイイね!」
無邪気な笑顔を浮かべた少年が、下級騎士がつけていた鎧を褒めた瞬間、顔を顰めた下級騎士が少年の腹を思い切り蹴り上げた。
「高貴な王国騎士である私に触るな! この下民が!!」
蹲っている少年を口汚く罵った下級騎士は、持っていたハンカチで少年が触っていたところを乱暴に拭いた。
「あぁ、せっかくの特注鎧が下民のせいで穢れてしまったか!」
「も、申し訳ございません! 息子にはきちんと言い聞かせておきますので、どうかご容赦を!」
涙を我慢する息子を強く抱き締めた母親は、顔を真っ青にしながら下級騎士に何度も頭を下げる。
「フン! 分かればいいのだ、分かれば……」
「おい」
必死に許しを請う母親を見て満足した下級騎士は、親子を鼻で笑うと何事も無かったかのようにその場を後にしようとした。
しかし、彼の横柄な態度に怒りを覚えたメストが呼び止める。
「何でしょうか?」
「なぜ少年を蹴った? 貴様は騎士としてあるまじき行為をしたとは思わないのか?」
(アルジムもそうだったが、王国を守る騎士がどうして国民に対して横暴が働ける? 彼らは俺たちが守るべき人達じゃないのか?)
下級騎士に詰め寄ったメストに、少しだけ肩を震わせた下級騎士が呆れたように溜息をついた。
「メスト隊長もシトリン副隊長も王都に来たばかりですからご存知無いと思いますが、王都では騎士に対して国民が不敬を働いた場合、容赦無く罰しても良いんですよ」
「では、貴様は少年が抱きついてきたことが不敬にあたると判断したのか?」
(そんな理不尽なことがあってたまるか!)
「ねぇ、メスト。アルジムがあの親子に対して横暴を働いた理由って……」
「あぁ、もしかするとこいつが少年を蹴った理由と同じかもしれない」
下級騎士の襟首を掴んだメストに対し、引き攣った表情をした下級騎士がたまらず両手を上げる。
「だっ、だって、ここでは当たり前なんですから!!」
◇◇◇◇◇
「全く、何が『ここでは当たり前』だ!」
親子に不敬を働いた下級騎士を厳重注意したメストは、顰《しか》め面ですれ違う下級騎士達に挨拶を交わした。
そんな彼の隣を歩いていたシトリンも少しだけ苦い顔をしつつ、メストの鬼の形相に怯えて敬礼をしている下級騎士達に軽く頭を下げる。
「まぁ、僕も彼の言動には疑問しかないんだけど……メスト、何か気づかない?」
「何が?」
怒りが収まらないメストに、シトリンは小さく溜息をつくと周囲を見回して小声で囁く。
「ここに戻ってきてから……正確には、僕たちあの親子を連れて来た時から、すれ違う騎士達が揃いも揃って後ろにいる親子を冷たい目を向けているんだよ」
「あぁ、それか」
シトリンの言葉で一気に冷静になったメストは、前から来た下級騎士からの挨拶を受けつつ、下級騎士の表情を盗み見る。
すると、後ろにいる親子に気づいた下級騎士が、容赦なく冷たい視線を向けていた。
(まさか、アルジムだけでなく王都の騎士全員が腐っていたとはな)
「シトリン、このことも団長に報告した方が良いよな?」
「うん、それと副団長にも報告しないとね」
騎士としてのあるまじき行為にメストとシトリンが揃って目を細めていると、2人の会話が聞こえた母親が、申し訳なさそうな顔で話しかけた。
「あの、私たちのことを気遣っていただいて何ですが……先程この子に手をあげた騎士様の話、本当ですよ」
「「えっ?」」
それは、取調室を案内した時に告げられた。
白で統一された堅牢な建物の中は、外観と同じ白一色で統一されており、廊下を歩いていると訓練に励んでいる騎士達の金属同士がぶつかり合う音や猛々しい声が聞こえた。
「ねぇ、母ちゃん見てみて! カッコイイ騎士様がいっぱいだよ!」
「こら、静かになさい! 騎士様に迷惑でしょ!」
初めてきた騎士団本部に目を輝かせている息子を宥めすかす母親。
そんな親子のやり取りを聞いて、親子を案内しているメストとシトリンは揃って微笑んだ。
「どうやら喜んでくれたみたいだね、隊長」
「そうだな。だが、母親の方はずっと顔が強張っている」
息子を宥めすかしつつも、すれ違う騎士達にペコペコ頭を下げる母親に、メストは心配そうに眉を顰めた。
「そりゃあ、平民が王国騎士団の常駐している場所に来ることなんて滅多に無いから、顔が強張るくらい緊張していても仕方ないでしょ」
「まぁ、それだけならいいが……」
(何故だろう、親子を見て嫌な顔をした御者の顔が頭から離れない)
怯えている母親の表情に不安を覚えつつ、メストが親子から視線を前に戻す。
前から歩いてきた下級騎士がメストとシトリンに気づき、その場に立ち止まると上級騎士に向かって綺麗な敬礼をした。
「お疲れ様です! メスト隊長、シトリン副隊長!」
「あぁ、お疲れ」
「お疲れ様」
はきはきとした声で挨拶した下級騎士の前で立ち止まったメストとシトリンが軽く頭を下げると、2人の後ろを歩いていた少年が突然下級騎士の足元に抱き着いた。
「ねえ、お兄さんの鎧、とてもカッコイイね!」
無邪気な笑顔を浮かべた少年が、下級騎士がつけていた鎧を褒めた瞬間、顔を顰めた下級騎士が少年の腹を思い切り蹴り上げた。
「高貴な王国騎士である私に触るな! この下民が!!」
蹲っている少年を口汚く罵った下級騎士は、持っていたハンカチで少年が触っていたところを乱暴に拭いた。
「あぁ、せっかくの特注鎧が下民のせいで穢れてしまったか!」
「も、申し訳ございません! 息子にはきちんと言い聞かせておきますので、どうかご容赦を!」
涙を我慢する息子を強く抱き締めた母親は、顔を真っ青にしながら下級騎士に何度も頭を下げる。
「フン! 分かればいいのだ、分かれば……」
「おい」
必死に許しを請う母親を見て満足した下級騎士は、親子を鼻で笑うと何事も無かったかのようにその場を後にしようとした。
しかし、彼の横柄な態度に怒りを覚えたメストが呼び止める。
「何でしょうか?」
「なぜ少年を蹴った? 貴様は騎士としてあるまじき行為をしたとは思わないのか?」
(アルジムもそうだったが、王国を守る騎士がどうして国民に対して横暴が働ける? 彼らは俺たちが守るべき人達じゃないのか?)
下級騎士に詰め寄ったメストに、少しだけ肩を震わせた下級騎士が呆れたように溜息をついた。
「メスト隊長もシトリン副隊長も王都に来たばかりですからご存知無いと思いますが、王都では騎士に対して国民が不敬を働いた場合、容赦無く罰しても良いんですよ」
「では、貴様は少年が抱きついてきたことが不敬にあたると判断したのか?」
(そんな理不尽なことがあってたまるか!)
「ねぇ、メスト。アルジムがあの親子に対して横暴を働いた理由って……」
「あぁ、もしかするとこいつが少年を蹴った理由と同じかもしれない」
下級騎士の襟首を掴んだメストに対し、引き攣った表情をした下級騎士がたまらず両手を上げる。
「だっ、だって、ここでは当たり前なんですから!!」
◇◇◇◇◇
「全く、何が『ここでは当たり前』だ!」
親子に不敬を働いた下級騎士を厳重注意したメストは、顰《しか》め面ですれ違う下級騎士達に挨拶を交わした。
そんな彼の隣を歩いていたシトリンも少しだけ苦い顔をしつつ、メストの鬼の形相に怯えて敬礼をしている下級騎士達に軽く頭を下げる。
「まぁ、僕も彼の言動には疑問しかないんだけど……メスト、何か気づかない?」
「何が?」
怒りが収まらないメストに、シトリンは小さく溜息をつくと周囲を見回して小声で囁く。
「ここに戻ってきてから……正確には、僕たちあの親子を連れて来た時から、すれ違う騎士達が揃いも揃って後ろにいる親子を冷たい目を向けているんだよ」
「あぁ、それか」
シトリンの言葉で一気に冷静になったメストは、前から来た下級騎士からの挨拶を受けつつ、下級騎士の表情を盗み見る。
すると、後ろにいる親子に気づいた下級騎士が、容赦なく冷たい視線を向けていた。
(まさか、アルジムだけでなく王都の騎士全員が腐っていたとはな)
「シトリン、このことも団長に報告した方が良いよな?」
「うん、それと副団長にも報告しないとね」
騎士としてのあるまじき行為にメストとシトリンが揃って目を細めていると、2人の会話が聞こえた母親が、申し訳なさそうな顔で話しかけた。
「あの、私たちのことを気遣っていただいて何ですが……先程この子に手をあげた騎士様の話、本当ですよ」
「「えっ?」」
それは、取調室を案内した時に告げられた。
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