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第1章 木こりと騎士は再会する
第43話 微かな違和感
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王都に向かって幌馬車を走らせた木こりを見届けた後、メスト達は駐屯地に戻ってグレアに報告を済ませると訓練に合流。
そして、魔物退治が日常茶飯事の第二王国騎士団に勤めていた騎士達にとって少々物足りない訓練で、長らく王都に勤めていた騎士達にとっては過酷な訓練を終えると、メストとシトリンは第四部隊専用の執務室に戻って溜まっていた事務仕事を淡々と処理していく。
「まさか、王都の騎士達がここまで堕落していた奴らだったとは」
「うん、基礎訓練程度で疲労困憊になるなんて……さすがの副団長も頭を抱えたでしょ」
「いや、むしろ喜んでいたぞ。訓練が終わった直後にあの人、『さて、これからの訓練が楽しみですね』って笑っていたから」
「うわっ! もう既に嫌な予感しかしないんだけど!」
メストの話を聞いてシトリンが大袈裟に嫌な顔をすると、シトリンが徐にリアスタ村でのことを話題に出した。
「そういえばあの人、リアスタ村から来ていたんだね」
2人しかいない執務室で手早く書類を捌いていくシトリンの何気ない感想を聞いて、向かい側の机でペンを動かしていたメストの手が止まる。
(『あの人』……あぁ、木こりの彼か)
シトリンの言う『あの人』が誰か思い至り、納得したメストは再び手を動かし始める。
「そうだったな。まさか、あの村のからわざわざ王都に来ていたとは思わなかった」
(巡回をしている時に何度か彼の引く幌馬車が王都の検問所を通るところを見たことがあるから、彼が王都以外の場所から来ているのは知っていたが……まさか、辺境近くの小さな村から来ていたとは)
「それに、村であんな扱いをされていたなんて」
理不尽としか思えない村長からの頼み後に、無表情で応えて木こりを思い出し、再び手を止めたメストは握っていたペンに力が入れる。
そんな彼を一瞥したシトリンは、『いつも通りのメストだね』と特に気に留めることもなく、完成した書類に不備がないか確認をすると、不意にラピスと巡回をしていた時に遭遇した出来事を思い出した。
「そういえばこの前、ラピスと一緒に巡回していたらあの人に助けてもらったんだよね」
「あぁ、それなら俺もあの場にいたから知っていたぞ」
「えっ! あの時いたの!?」
(あの時、彼と2人の騎士に目を光らせつつ、周囲の人達を安全な場所に誘導していたから、それなりに周りを見ていたんだけど……まさかあの群衆の中にメストがいたなんて気付かなかった)
驚いて書類から顔を上げたシトリンに、いつの間にかペンを走らせていたメストは、書類を完成させてペンを置くと僅かに眉を顰めて小さく頷いた。
「あぁ、あの時はダリアとデートをしていたから、お前達のもとに駆けつけることが出来なかったが」
「あぁ、そういうことね」
近衛騎士団の中で……いや、王国騎士団の人一倍、騎士として誇り持っているメスト。
そんな彼が、シトリンとラピスのもとに駆けつけられなかった理由を口にすると、納得したシトリンは大きく溜息をついて天井を仰いだ。
(あのダリア嬢のことだ。『そんな野蛮なことに首を突っ込んでいる時間があるなら、私とのデートの時間を大切にしてください!』なんて言って、僕たちのところに駆けつけようとしたメストを強引に止めたんだろうね)
「そういえば、メスト」
「何だ?」
「つい最近知ったんだけど、ダリア嬢って本当はメストの騎士団入りに猛反対していたらしいね?」
「そうだな。何でも、『せっかく綺麗なお顔立ちが傷つくから』という理由で反対していたらしい」
「それはまた……」
向かい側で難しい顔をしながら書類と向かっている親友を見て、心底憐れんだシトリンは再び溜息をついた。
(でも確か、メストが騎士を志すきっかけって、幼い頃に彼女が勇猛果敢に何かに立ち向かう姿に一目惚れしたから……あれっ?)
貴族令嬢らしい傲慢な態度で威張り散らかす今の彼女からは想像出来ない、幼い頃の凛々しい彼女の姿を思い出そうとシトリンが首を捻った瞬間、夜の帳が落ちた駐屯地に魔物の襲来を知らせる鐘がけたたましく鳴り響く。
そして、魔物退治が日常茶飯事の第二王国騎士団に勤めていた騎士達にとって少々物足りない訓練で、長らく王都に勤めていた騎士達にとっては過酷な訓練を終えると、メストとシトリンは第四部隊専用の執務室に戻って溜まっていた事務仕事を淡々と処理していく。
「まさか、王都の騎士達がここまで堕落していた奴らだったとは」
「うん、基礎訓練程度で疲労困憊になるなんて……さすがの副団長も頭を抱えたでしょ」
「いや、むしろ喜んでいたぞ。訓練が終わった直後にあの人、『さて、これからの訓練が楽しみですね』って笑っていたから」
「うわっ! もう既に嫌な予感しかしないんだけど!」
メストの話を聞いてシトリンが大袈裟に嫌な顔をすると、シトリンが徐にリアスタ村でのことを話題に出した。
「そういえばあの人、リアスタ村から来ていたんだね」
2人しかいない執務室で手早く書類を捌いていくシトリンの何気ない感想を聞いて、向かい側の机でペンを動かしていたメストの手が止まる。
(『あの人』……あぁ、木こりの彼か)
シトリンの言う『あの人』が誰か思い至り、納得したメストは再び手を動かし始める。
「そうだったな。まさか、あの村のからわざわざ王都に来ていたとは思わなかった」
(巡回をしている時に何度か彼の引く幌馬車が王都の検問所を通るところを見たことがあるから、彼が王都以外の場所から来ているのは知っていたが……まさか、辺境近くの小さな村から来ていたとは)
「それに、村であんな扱いをされていたなんて」
理不尽としか思えない村長からの頼み後に、無表情で応えて木こりを思い出し、再び手を止めたメストは握っていたペンに力が入れる。
そんな彼を一瞥したシトリンは、『いつも通りのメストだね』と特に気に留めることもなく、完成した書類に不備がないか確認をすると、不意にラピスと巡回をしていた時に遭遇した出来事を思い出した。
「そういえばこの前、ラピスと一緒に巡回していたらあの人に助けてもらったんだよね」
「あぁ、それなら俺もあの場にいたから知っていたぞ」
「えっ! あの時いたの!?」
(あの時、彼と2人の騎士に目を光らせつつ、周囲の人達を安全な場所に誘導していたから、それなりに周りを見ていたんだけど……まさかあの群衆の中にメストがいたなんて気付かなかった)
驚いて書類から顔を上げたシトリンに、いつの間にかペンを走らせていたメストは、書類を完成させてペンを置くと僅かに眉を顰めて小さく頷いた。
「あぁ、あの時はダリアとデートをしていたから、お前達のもとに駆けつけることが出来なかったが」
「あぁ、そういうことね」
近衛騎士団の中で……いや、王国騎士団の人一倍、騎士として誇り持っているメスト。
そんな彼が、シトリンとラピスのもとに駆けつけられなかった理由を口にすると、納得したシトリンは大きく溜息をついて天井を仰いだ。
(あのダリア嬢のことだ。『そんな野蛮なことに首を突っ込んでいる時間があるなら、私とのデートの時間を大切にしてください!』なんて言って、僕たちのところに駆けつけようとしたメストを強引に止めたんだろうね)
「そういえば、メスト」
「何だ?」
「つい最近知ったんだけど、ダリア嬢って本当はメストの騎士団入りに猛反対していたらしいね?」
「そうだな。何でも、『せっかく綺麗なお顔立ちが傷つくから』という理由で反対していたらしい」
「それはまた……」
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