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第2章 木こりと騎士は鍛錬する
第84話 メストとダリアの関係
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「メスト?」
「はっ!」
(俺は一体、何を思い出していた?)
小首を傾げるシトリンに声をかけられ、現実に帰ってきたメストは、わざとらしく咳払いをすると仏頂面でこちらを見ている2人に視線を向ける。
「とはいえ、今回はわざわざ出迎えに来てくれたし、その時に俺がダリアの気持ちを逆撫でするようなことを言って怒らせてしまったから、今度の休日にそのお礼とお詫びを兼ねて久しぶりにデートしようと思っている」
(でもまぁ、俺から急に誘ってきたからダリアがまた怒るかもしれないが)
眉間の皺を深くするメストに対し、シトリンはいつもの柔和な笑みを浮かべる。
「まぁ、今までの話を聞く限り、断られる可能性があるかもしれないけど……色々あって1ヶ月以上ダリア嬢のことをほったらかしにしているんだから、少しは甲斐性を見せた方がいいね」
「そうですよ! カミル君との鍛錬も大事かと思いますが、隊長には愛しい婚約者がいらっしゃるんですから、そちらを優先させるべきです! 騎士団は休日が少ないのですから!」
「そう、だな……」
(そうだよな。近い将来、俺とダリアは結婚するのだから、数少ない休日を使ってダリアとの仲を深めないと。だって、俺が彼女に惚れて、俺から彼女にプロポーズしたのだから)
不規則な仕事をしているからこそ、婚約者との逢瀬は大事にしないといけない。
そう分かっていても、メストの胸の中にあるモヤモヤとした気持ちが消えることはなかった。
「お~い、メスト~? あ~あ、また黙っちゃったよ」
再び黙ったメストの顔の前で大きく手を振るシトリンは、全く気づかないメストに大きく溜息をつく。
すると、いつの間にか自席で戻って2人のやり取りを見ていたラピスが小首を傾げる。
「隊長、一体どうされたのでしょう?」
「さぁ、ダリア嬢のことで色々と思うことがあるんじゃない?」
小さく溜息をついたシトリンは、大人しく自席に戻ると背もたれに体を預ける。
そんな彼を一瞥したラピスは、沈黙したまま動かないメストに視線を向けると、不意にメストとダリアの仲が気になった。
「そう言えば、王都に来てから隊長、ダリア嬢のことをよく怒らせていません? 先程も諫めたせいで怒らせていましたし」
「そうだね。第二騎士団にいた頃のメストは、ダリア嬢に対してとにかくデレデレで、ダリアの言うことは全て喜んで受け入れていたから怒らすようなことをしなかったし、抱きついてくるダリアを心底嬉しそうな顔で人目を憚らず抱き返していたね」
「そうでしたね」
(それが、王都に来てから……いや、木こりの彼に出会ってから、メストは事あるごとに抱きついてくるダリア嬢のことを苦笑いで受け止めるだけになった。それに、会う度に何かと彼女を諫めて彼女を怒らせるようになった)
「それに、ダリア嬢が怒ってもメストは狼狽えることも無く苦い顔をするだけになったしね」
「言われてみればそうですね。第二騎士団時代の隊長なら絶対に狼狽えると思います」
「確かに。ちなみに、ラピスも婚約者が怒ったら狼狽える?」
「もちろんです。なにせ、あいつが怒ったら本気で怖いですから」
(幼い頃は怒った勢いで中級魔法をぶっ放してきたし、今でもたまに怒らせると笑顔で上級魔法を放とうとするから)
カトレアが怒った時のことを思い出して身震いしたラピスを見て、苦笑したシトリンは視線をメストに向ける。
「でもまぁ、ダリア嬢からすれば、ようやく愛しい婚約者がいつでも会える距離になったから、嬉しさのあまりメストに対して強く当たっているだけかも」
「その可能性もありますね。その場合、隊長がとても不憫ですが」
「まぁ、そうだね」
互いに顔を見合わせたシトリンとラピスが揃って小さく溜息をつくと、黙って熟考していたメストの口が開いた。
「一先ず、今日中にダリアへ手紙を出して、明日の鍛錬が終わったらカミルに『家に泊まっていいか?』と相談しないと」
「それはそうだね。いきなり『今度から、休日はお前の家に泊まる』って言われたら、誰でも惑うだろうし」
「そうだな」
(むしろ、戸惑うしかないというか……カミル君(さん)、本当にごめん(なさい))
常に無表情のカミルに向かって、シトリンとラピスは心の中で深く謝罪した。
その後、メストは溜まっていた書類をある程度片付けると、久しぶりにダリア宛にデートの誘いの手紙を出した。
「はっ!」
(俺は一体、何を思い出していた?)
小首を傾げるシトリンに声をかけられ、現実に帰ってきたメストは、わざとらしく咳払いをすると仏頂面でこちらを見ている2人に視線を向ける。
「とはいえ、今回はわざわざ出迎えに来てくれたし、その時に俺がダリアの気持ちを逆撫でするようなことを言って怒らせてしまったから、今度の休日にそのお礼とお詫びを兼ねて久しぶりにデートしようと思っている」
(でもまぁ、俺から急に誘ってきたからダリアがまた怒るかもしれないが)
眉間の皺を深くするメストに対し、シトリンはいつもの柔和な笑みを浮かべる。
「まぁ、今までの話を聞く限り、断られる可能性があるかもしれないけど……色々あって1ヶ月以上ダリア嬢のことをほったらかしにしているんだから、少しは甲斐性を見せた方がいいね」
「そうですよ! カミル君との鍛錬も大事かと思いますが、隊長には愛しい婚約者がいらっしゃるんですから、そちらを優先させるべきです! 騎士団は休日が少ないのですから!」
「そう、だな……」
(そうだよな。近い将来、俺とダリアは結婚するのだから、数少ない休日を使ってダリアとの仲を深めないと。だって、俺が彼女に惚れて、俺から彼女にプロポーズしたのだから)
不規則な仕事をしているからこそ、婚約者との逢瀬は大事にしないといけない。
そう分かっていても、メストの胸の中にあるモヤモヤとした気持ちが消えることはなかった。
「お~い、メスト~? あ~あ、また黙っちゃったよ」
再び黙ったメストの顔の前で大きく手を振るシトリンは、全く気づかないメストに大きく溜息をつく。
すると、いつの間にか自席で戻って2人のやり取りを見ていたラピスが小首を傾げる。
「隊長、一体どうされたのでしょう?」
「さぁ、ダリア嬢のことで色々と思うことがあるんじゃない?」
小さく溜息をついたシトリンは、大人しく自席に戻ると背もたれに体を預ける。
そんな彼を一瞥したラピスは、沈黙したまま動かないメストに視線を向けると、不意にメストとダリアの仲が気になった。
「そう言えば、王都に来てから隊長、ダリア嬢のことをよく怒らせていません? 先程も諫めたせいで怒らせていましたし」
「そうだね。第二騎士団にいた頃のメストは、ダリア嬢に対してとにかくデレデレで、ダリアの言うことは全て喜んで受け入れていたから怒らすようなことをしなかったし、抱きついてくるダリアを心底嬉しそうな顔で人目を憚らず抱き返していたね」
「そうでしたね」
(それが、王都に来てから……いや、木こりの彼に出会ってから、メストは事あるごとに抱きついてくるダリア嬢のことを苦笑いで受け止めるだけになった。それに、会う度に何かと彼女を諫めて彼女を怒らせるようになった)
「それに、ダリア嬢が怒ってもメストは狼狽えることも無く苦い顔をするだけになったしね」
「言われてみればそうですね。第二騎士団時代の隊長なら絶対に狼狽えると思います」
「確かに。ちなみに、ラピスも婚約者が怒ったら狼狽える?」
「もちろんです。なにせ、あいつが怒ったら本気で怖いですから」
(幼い頃は怒った勢いで中級魔法をぶっ放してきたし、今でもたまに怒らせると笑顔で上級魔法を放とうとするから)
カトレアが怒った時のことを思い出して身震いしたラピスを見て、苦笑したシトリンは視線をメストに向ける。
「でもまぁ、ダリア嬢からすれば、ようやく愛しい婚約者がいつでも会える距離になったから、嬉しさのあまりメストに対して強く当たっているだけかも」
「その可能性もありますね。その場合、隊長がとても不憫ですが」
「まぁ、そうだね」
互いに顔を見合わせたシトリンとラピスが揃って小さく溜息をつくと、黙って熟考していたメストの口が開いた。
「一先ず、今日中にダリアへ手紙を出して、明日の鍛錬が終わったらカミルに『家に泊まっていいか?』と相談しないと」
「それはそうだね。いきなり『今度から、休日はお前の家に泊まる』って言われたら、誰でも惑うだろうし」
「そうだな」
(むしろ、戸惑うしかないというか……カミル君(さん)、本当にごめん(なさい))
常に無表情のカミルに向かって、シトリンとラピスは心の中で深く謝罪した。
その後、メストは溜まっていた書類をある程度片付けると、久しぶりにダリア宛にデートの誘いの手紙を出した。
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