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第2章 木こりと騎士は鍛錬する
第96話 カミルの受難?
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「カミル。魔道ドライヤーってあったりするか? 無ければタオルで乾かすんだが」
「あぁ、もう上がられたのですね。それでした……ら……っ!?」
(な、なによその格好――!?)
盛り付けたサラダをテーブルに置いたタイミングで声をかけられたカミルは、何の気なしに脱衣所の方を見る。
すると、そこには真っ白なタオルを腰に巻いた上半身裸のメストが立っていた。
(何でタオル一枚!? そ、そんな、殿方の裸姿を見るなんてはしたな……って、そうじゃないわよ!)
メストはこの家には男が2人しかいないって思っている。
だから、タオル一枚で風呂場から出ても問題ないと思った。
だがそれは、この家にメストが来ると決まった時に想定されていたことだった。
動じることなんて何もない……はずである。
(そ、それに! 屋敷にいた時も、お風呂から上がった時のお父様やリュシアン兄様はいつもタオル一枚で、それを目ざとく見つけたお母様が鬼の形相で屋敷中に響く怒鳴り声を上げていたもの。だから、男性の鍛え抜かれた上半身を見慣れてしまった私にこの程度こと……)
「どうした? 急に両手で顔を覆ったかと思ったら蹲って……」
「いえ、少し……いや、かなり目に毒と言いますか……」
「目に毒?」
「何でもありません。忘れてください」
(ダ、ダメよ! たかが鍛え抜かれた肉体を眼前にしただけで、不覚にもときめいて狼狽えてしまっては!)
大きく深呼吸していつもの無表情にしたカミルは、そっと顔から両手を外すとゆっくりと顔を上げる。
すると、カミルのことを至近距離で心配そうな顔をしながら覗き込んでいたメストと目が合った。
ガタガタガタッ!!
「カ、カミル!? 今度は尻餅をついたが、本当に大丈夫か!?」
「は、はい……だ、大丈夫、ですから……」
(『水も滴る良い男』が至近距離で心配そうに覗き込んできて大丈夫なわけが無い! 主に心臓が!)
後ろに後ずさったカミルが尻餅をついて、狼狽えたメストが再びカミルを覗き込む。
そんな彼から顔を背けたカミルは、火照った頬と頭を冷まそうと再び大きく深呼吸をする。
そうしたら、カミルの言葉に安心したメストが小さく溜息をつき、カミルに向かってそっと手を差し伸べる。
「ほら、立てるか?」
「す、すみません……ありがとうございます」
(メスト様の手、大きくてゴツゴツしていてなぜかとても安心する……って、今はそういうことを考えてる場合じゃないわよ!)
心配そうに眉を寄せるメストの鍛え抜かれた肉体美から目を逸らしつつ、差し出された手をそっと掴んだカミルは、邪念を振り払いながらゆっくりと立ち上がると脱衣所に目を向る。
「それよりも魔道ドライヤーでしたね。それでしたら、ありますよ」
「本当か!?」
(家を見て回った時、魔道コンロに魔道冷蔵庫、魔道洗濯機に魔道乾燥機があったからもしかしたらと思って聞いてみたが……)
「はい。確か、洗面台の近くに立てかけてあります」
「本当だ。こんなに近くにあったなんて……すまない、気づかなかった」
「いえ」
そう言うと、カミルは脱衣所に入ってすぐの洗面台の近くに立てかけてある赤い魔導ドライヤーと、その近くに置いてある火と風の魔石を手に取る。
「こちらが平民の間で広く普及している魔道ドライヤーです。お貴族様が使うものとは違い、こちらは温風しか出ません」
「あ、ありがとう……確かに、貴族の間で普及しているものとは随分と違うな」
貴族の間で普及されている魔道ドライヤーは全て、使用者自身の魔力が動力になるため、艶やかな髪を維持するための温風冷風調節機能がついている。
対して、平民の間で普及しているものは、魔石に内包されている魔力をそのまま使うため、温風しか出ない作りになっている。
物珍しそうにドライヤーを見つめるメストに、カミルは取っ手の部分にある2つの窪みをメストに見せた。
「この取っ手の部分の窪みに2つの魔石を嵌め込めば温風が出ます」
「分かった、ありがとう」
優しく微笑むメストに、カミルは思わず視線を逸らすと軽く咳払いをしてメストに背を向ける。
「それでは、私はこれで。あと、脱衣所から出てくる時は服を着てから出てください。風邪を引かれても困りますので」
「あぁ、次から気を付ける」
そう言って、脱衣所の扉を閉めたメストを見届けたカミルは、深く溜息をつくとふらふらしながらシンクに両手をついた。
(これから私、この人が泊まる度にこんな思いをしないといけないの?)
随分前に16歳の誕生日を迎え、少しだけ大人になったカミル。
だが、自分より5歳上のメストの一挙手一投足に、カミルはただ振りされるしかなかった。
「あぁ、もう上がられたのですね。それでした……ら……っ!?」
(な、なによその格好――!?)
盛り付けたサラダをテーブルに置いたタイミングで声をかけられたカミルは、何の気なしに脱衣所の方を見る。
すると、そこには真っ白なタオルを腰に巻いた上半身裸のメストが立っていた。
(何でタオル一枚!? そ、そんな、殿方の裸姿を見るなんてはしたな……って、そうじゃないわよ!)
メストはこの家には男が2人しかいないって思っている。
だから、タオル一枚で風呂場から出ても問題ないと思った。
だがそれは、この家にメストが来ると決まった時に想定されていたことだった。
動じることなんて何もない……はずである。
(そ、それに! 屋敷にいた時も、お風呂から上がった時のお父様やリュシアン兄様はいつもタオル一枚で、それを目ざとく見つけたお母様が鬼の形相で屋敷中に響く怒鳴り声を上げていたもの。だから、男性の鍛え抜かれた上半身を見慣れてしまった私にこの程度こと……)
「どうした? 急に両手で顔を覆ったかと思ったら蹲って……」
「いえ、少し……いや、かなり目に毒と言いますか……」
「目に毒?」
「何でもありません。忘れてください」
(ダ、ダメよ! たかが鍛え抜かれた肉体を眼前にしただけで、不覚にもときめいて狼狽えてしまっては!)
大きく深呼吸していつもの無表情にしたカミルは、そっと顔から両手を外すとゆっくりと顔を上げる。
すると、カミルのことを至近距離で心配そうな顔をしながら覗き込んでいたメストと目が合った。
ガタガタガタッ!!
「カ、カミル!? 今度は尻餅をついたが、本当に大丈夫か!?」
「は、はい……だ、大丈夫、ですから……」
(『水も滴る良い男』が至近距離で心配そうに覗き込んできて大丈夫なわけが無い! 主に心臓が!)
後ろに後ずさったカミルが尻餅をついて、狼狽えたメストが再びカミルを覗き込む。
そんな彼から顔を背けたカミルは、火照った頬と頭を冷まそうと再び大きく深呼吸をする。
そうしたら、カミルの言葉に安心したメストが小さく溜息をつき、カミルに向かってそっと手を差し伸べる。
「ほら、立てるか?」
「す、すみません……ありがとうございます」
(メスト様の手、大きくてゴツゴツしていてなぜかとても安心する……って、今はそういうことを考えてる場合じゃないわよ!)
心配そうに眉を寄せるメストの鍛え抜かれた肉体美から目を逸らしつつ、差し出された手をそっと掴んだカミルは、邪念を振り払いながらゆっくりと立ち上がると脱衣所に目を向る。
「それよりも魔道ドライヤーでしたね。それでしたら、ありますよ」
「本当か!?」
(家を見て回った時、魔道コンロに魔道冷蔵庫、魔道洗濯機に魔道乾燥機があったからもしかしたらと思って聞いてみたが……)
「はい。確か、洗面台の近くに立てかけてあります」
「本当だ。こんなに近くにあったなんて……すまない、気づかなかった」
「いえ」
そう言うと、カミルは脱衣所に入ってすぐの洗面台の近くに立てかけてある赤い魔導ドライヤーと、その近くに置いてある火と風の魔石を手に取る。
「こちらが平民の間で広く普及している魔道ドライヤーです。お貴族様が使うものとは違い、こちらは温風しか出ません」
「あ、ありがとう……確かに、貴族の間で普及しているものとは随分と違うな」
貴族の間で普及されている魔道ドライヤーは全て、使用者自身の魔力が動力になるため、艶やかな髪を維持するための温風冷風調節機能がついている。
対して、平民の間で普及しているものは、魔石に内包されている魔力をそのまま使うため、温風しか出ない作りになっている。
物珍しそうにドライヤーを見つめるメストに、カミルは取っ手の部分にある2つの窪みをメストに見せた。
「この取っ手の部分の窪みに2つの魔石を嵌め込めば温風が出ます」
「分かった、ありがとう」
優しく微笑むメストに、カミルは思わず視線を逸らすと軽く咳払いをしてメストに背を向ける。
「それでは、私はこれで。あと、脱衣所から出てくる時は服を着てから出てください。風邪を引かれても困りますので」
「あぁ、次から気を付ける」
そう言って、脱衣所の扉を閉めたメストを見届けたカミルは、深く溜息をつくとふらふらしながらシンクに両手をついた。
(これから私、この人が泊まる度にこんな思いをしないといけないの?)
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