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第2章 木こりと騎士は鍛錬する
第98話 騎士の矜持
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「確かに、騎士の中には騎士の中には『貴族出身の者にこの仕打ちは何だ』って反発する奴もいる」
(まぁ、そうでしょうね。『騎士だから』って理由で豪勢な料理からいきなり質素な料理に変えられたら、プライドの高い貴族ならこぞって反発するでしょうし。特に、ノルベルトの改竄魔法がかけられている今なら)
騎士としての務めを果たすために必要なことだと分かっていても、貴族として育ってきた人達が突然、豪勢な料理から質素な料理に変えられて怒らないはずがない。
特に、ノルベルトの改竄魔法によって貴族達が堂々と権力を振りかざしている今なら尚更。
王都で対峙してきた悪徳騎士達を思い出し、僅かに眉を顰めるカミルに、メストは静かに笑みを潜める。
「だが俺は、騎士の勤めが果たせるなら質素な食事になっても構わないと思っている」
(それで、騎士として俺の守りたい人達が守れるなら)
メストの凛とした姿勢は、カミルは思わず目を見開く。
「それに、『優雅に食事をしていたせいで、有事に駆けつけるのが遅れました』なんて冗談でも笑えないからな」
柔らかに笑ったメストの騎士としての覚悟に、一瞬見惚れたカミルは、慌てて視線を逸らすと軽く咳払いをする。
「それにしても騎士様は、食事に対してこだわりが無いとお見受けします」
(なにせ、平民が出した料理を何の抵抗もなく召し上がっているのだから)
気まずそうに視線を逸らすカミルに、メストは声を出して笑った。
「ハハッ、そうかもしれない。なにせ、第二騎士団にいた頃、魔物討伐後の空腹を満たすために、仲間達と一緒に討伐した魔物の肉で焼肉パーティーをしたから」
「そこまでいくと、平民の私でもさすがに……」
「そうだな。レイピアを持って魔物を討伐することが出来るカミルでも、さすがにそう思うよな」
(俺も、実家で初めて魔物の肉を食べることになった時、今のカミルと同じ苦い顔をしていたから)
苦笑するメストを見て、カミルは少しだけ頬を染める。
すると、メストが笑みを浮かべたまま視線をシチューに落とす。
「だからなんだろう、カミルが作ってくれたシチューがこんなにも美味しいと感じるのは」
「……騎士団でも、シチューは召し上がりますよね?」
「そうだな。でも……」
笑みを深めたメストは、そっとカミルに視線を戻す。
「カミルが作ったシチューの方が断然美味しい。『これなら、毎日食べても良い』と心の底から思えるくらいに」
「っ!?」
唐突にメストから甘さを含んだ笑みを向けられ、カミルは一瞬だけ息をすることを忘れる。
「カミル? どうした?」
「いえ、何でもありません」
(危ない。メスト様の笑顔にまた見惚れてしまったわ)
心臓の鼓動がうるさいなと思いつつ、カミルは動揺を隠すよう強引に無表情を作ると、何事も無かったかのように目の前のシチューにスプーンを浸す。
すると、何かをチラ見したメストは、この家に来てからずっと気になっていたことを口にする。
「なぁ、カミル」
「何でしょう?」
「屋内なのに、どうしてベレー帽とアイマスクを外さないんだ?」
「っ!?」
その瞬間、カミルは顔を強張らせ、持っていたスプーンは音を鳴らしながら離した。
(まぁ、そうでしょうね。『騎士だから』って理由で豪勢な料理からいきなり質素な料理に変えられたら、プライドの高い貴族ならこぞって反発するでしょうし。特に、ノルベルトの改竄魔法がかけられている今なら)
騎士としての務めを果たすために必要なことだと分かっていても、貴族として育ってきた人達が突然、豪勢な料理から質素な料理に変えられて怒らないはずがない。
特に、ノルベルトの改竄魔法によって貴族達が堂々と権力を振りかざしている今なら尚更。
王都で対峙してきた悪徳騎士達を思い出し、僅かに眉を顰めるカミルに、メストは静かに笑みを潜める。
「だが俺は、騎士の勤めが果たせるなら質素な食事になっても構わないと思っている」
(それで、騎士として俺の守りたい人達が守れるなら)
メストの凛とした姿勢は、カミルは思わず目を見開く。
「それに、『優雅に食事をしていたせいで、有事に駆けつけるのが遅れました』なんて冗談でも笑えないからな」
柔らかに笑ったメストの騎士としての覚悟に、一瞬見惚れたカミルは、慌てて視線を逸らすと軽く咳払いをする。
「それにしても騎士様は、食事に対してこだわりが無いとお見受けします」
(なにせ、平民が出した料理を何の抵抗もなく召し上がっているのだから)
気まずそうに視線を逸らすカミルに、メストは声を出して笑った。
「ハハッ、そうかもしれない。なにせ、第二騎士団にいた頃、魔物討伐後の空腹を満たすために、仲間達と一緒に討伐した魔物の肉で焼肉パーティーをしたから」
「そこまでいくと、平民の私でもさすがに……」
「そうだな。レイピアを持って魔物を討伐することが出来るカミルでも、さすがにそう思うよな」
(俺も、実家で初めて魔物の肉を食べることになった時、今のカミルと同じ苦い顔をしていたから)
苦笑するメストを見て、カミルは少しだけ頬を染める。
すると、メストが笑みを浮かべたまま視線をシチューに落とす。
「だからなんだろう、カミルが作ってくれたシチューがこんなにも美味しいと感じるのは」
「……騎士団でも、シチューは召し上がりますよね?」
「そうだな。でも……」
笑みを深めたメストは、そっとカミルに視線を戻す。
「カミルが作ったシチューの方が断然美味しい。『これなら、毎日食べても良い』と心の底から思えるくらいに」
「っ!?」
唐突にメストから甘さを含んだ笑みを向けられ、カミルは一瞬だけ息をすることを忘れる。
「カミル? どうした?」
「いえ、何でもありません」
(危ない。メスト様の笑顔にまた見惚れてしまったわ)
心臓の鼓動がうるさいなと思いつつ、カミルは動揺を隠すよう強引に無表情を作ると、何事も無かったかのように目の前のシチューにスプーンを浸す。
すると、何かをチラ見したメストは、この家に来てからずっと気になっていたことを口にする。
「なぁ、カミル」
「何でしょう?」
「屋内なのに、どうしてベレー帽とアイマスクを外さないんだ?」
「っ!?」
その瞬間、カミルは顔を強張らせ、持っていたスプーンは音を鳴らしながら離した。
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