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第2章 木こりと騎士は鍛錬する
第117話 あと少しだけ
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「カミル、これで買い物は全部か?」
「はい、後は村に寄って我が家に戻るだけです」
「了解!」
魔石屋を出た後、一通り買い物を終えたカミルとメストは、幌馬車を引きながら王都を出るとリアスタ村に向かって走らせていた。
「改めて見ると物凄い量だな。毎日この量を村人達から頼まれて買っているのか?」
(納品作業が終わった時は空っぽだった荷台が、あっという間にいっぱいになっている)
村人達から頼まれた物が詰め込まれている荷台に、メストが驚いていると、隣で手綱を握っていたカミルが小さく頷く。
「えぇ、毎日この量を買っていますよ」
(でも、今日は比較的に少ない方かしら?)
「そうか……騎士である俺が何か手助け出来れば良いが」
「お気持ちはありがたく受け取っておきますが、貴族と平民の間に確執が更に深くなりそうなのでやめてください」
「あぁ……そう、だよな」
(確かに、騎士が平民の買い物の手伝いをしていては何を言われるか分からない。特に、平民嫌いのダリアの耳にでも届きでもしたら……)
悔しそうに顔を歪めながら俯いているメストを横目で見て、小さく溜息をついたカミルは話題を変えようと口を開いた。
「それにしても良かったですね、魔石屋の店主様と仲良くなれて」
心底興味なさそうに話したカミルの言葉に、一瞬目を見開いたメストは顔を上げると満面の笑みで頷く。
「そうだな! 初めて行った時は、店主に大変迷惑をかけてしまった」
『メスト様! 王都にこんなかび臭い店なんて似合いませんよね!』
(あの時は会計が終わった直後、ダリアが失礼なことを言ってしまい本当に申し訳ないことした)
「だから、最初はどうなるかと思ったが……なぜか、俺のことを気に入ってくれて本当に良かった」
「そうですね。こちらとしては、嘘をつく手間が省けたので良かったのです」
「アハハッ……」
(良かった、いつものメスト様に戻った)
苦笑するメストを見て、内心安堵したカミルは早速今後について話す。
「あの」
「なんだ?」
「我が家に戻ったら、メ、メストさんは荷物を持って王都に戻られますか?」
すると、メストが微妙な顔をしながら明後日の方向に視線を向けると頬を掻く。
「いや、その……」
「ん?」
(どうしたのかしら? 急に微妙な顔をして……あっ、もしかして!)
「もしかして、本当は私が王都で仕事を終えたタイミングで帰るつもりでしたか? だとしたら、早くおっしゃっていただけたら、買い物をする前にお帰しました……」
「ち、違う! 『仕事の手伝いをする』と言った手前、そんな不誠実なことをするわけが無い!」
「ですが、納品が済めば仕事は終わり……」
「それに、俺の荷物はカミルの家に置きっぱなしじゃないか!」
「そ、そうでした」
(私としたことが、とんだ早とちりをしてしまったわ!)
「だとしたら、我が家に戻ったら帰られますか?」
「そ、それは……」
(もう、珍しく煮え切らないわね! 一体、何がしたいのよ!)
再び気まずそうに視線を逸らすメストに、カミルが内心苛立っていた時、何かを決心したメストが真剣な表情でカミルを見つめる。
「カミル」
「何ですか?」
「もし良かったら、明日の鍛錬までお世話になっても良いだろうか?」
「それってつまり、今日も我が家に泊るということでしょうか?」
「そういうことだ」
(かなり厚かましいお願いをしているのは重々承知だ。だが、出来ることならカミルの家であと1日だけ泊って騎士団に戻りたい)
魔物討伐以上に真剣な表情で懇願するメストを見て、一瞬目を見開いたカミルは僅かに眉を顰める。
「それは、別に構いませんが……よろしいのですか?」
「何が?」
「『何が?』ってもちろん、騎士団の帰りが遅くなることです」
(厳しい規律を重んじる騎士団だから、帰りが遅くなったら騎士として不真面目だと捉えかねないかもしれない)
無表情の中に心配を覗かせるカミルに、メストは優しく微笑んだ。
「それなら大丈夫だ。一応、上司には明日の朝には戻ることを伝えている。それに、出勤に間に合えば問題ない」
「そ、そうですか」
(さすがメスト様。事前の根回しは済んでいたってことね。それなら、最初からそう言いなさいよ! てっきり、家に戻ったらそのまま帰るのかと思ったわ!)
メストに対して内心で愚痴を言いつつも、少しだけ安堵したカミルは視線を前に戻す。
「それでしたら、家に帰った後、少しゆっくりしてからお風呂の準備をしてくれますか? 私は少し自主練をした後に夕飯の準備をしますので」
「自主練! それなら俺も一緒に自主練してもいいか?」
『自主練』と聞いて満面の笑みのメストに、カミルは再び眉を顰める。
「よろしいのですか? 慣れないことをして疲れていません?」
(荷物運びしかさせていないけど……明日からの仕事に支障が出るのなら、自主練よりも体を休めて欲しい)
内心心配で堪らないカミルに、メストは安心させるように優しく微笑む。
「確かに、慣れないことをして少し疲れた。だが、自主練をこなせるほどの体力は残っているから大丈夫だ」
「ですが……」
「それに、今朝の鍛錬でカミルに指摘されたところを少しでも早く体に覚えさせたいんだ!」
(それと、カミルの自主練しているところも見てみたい! 悪徳騎士を対等に渡り合っているカミルが、普段どんな鍛錬をしているのか、国を守る騎士として是非とも参考にしたい!)
騎士として人一倍向上心のあるメストが、アイスブルーの目を輝かせる姿に、カミルは一瞬笑みを浮かべると小さく頷く。
その後、村人達に頼まれた物を渡したカミルは、メストと共に自宅に戻ると自主練をし、メストが風呂を準備している間に夕食の準備をした。
そして、お風呂と夕食を済ませて眠りについた翌日、朝の鍛錬を終えたメストをカミルはいつものように見送ったのだった。
それからというもの、メストは休みの度にカミルの家に泊まるようになった。
「はい、後は村に寄って我が家に戻るだけです」
「了解!」
魔石屋を出た後、一通り買い物を終えたカミルとメストは、幌馬車を引きながら王都を出るとリアスタ村に向かって走らせていた。
「改めて見ると物凄い量だな。毎日この量を村人達から頼まれて買っているのか?」
(納品作業が終わった時は空っぽだった荷台が、あっという間にいっぱいになっている)
村人達から頼まれた物が詰め込まれている荷台に、メストが驚いていると、隣で手綱を握っていたカミルが小さく頷く。
「えぇ、毎日この量を買っていますよ」
(でも、今日は比較的に少ない方かしら?)
「そうか……騎士である俺が何か手助け出来れば良いが」
「お気持ちはありがたく受け取っておきますが、貴族と平民の間に確執が更に深くなりそうなのでやめてください」
「あぁ……そう、だよな」
(確かに、騎士が平民の買い物の手伝いをしていては何を言われるか分からない。特に、平民嫌いのダリアの耳にでも届きでもしたら……)
悔しそうに顔を歪めながら俯いているメストを横目で見て、小さく溜息をついたカミルは話題を変えようと口を開いた。
「それにしても良かったですね、魔石屋の店主様と仲良くなれて」
心底興味なさそうに話したカミルの言葉に、一瞬目を見開いたメストは顔を上げると満面の笑みで頷く。
「そうだな! 初めて行った時は、店主に大変迷惑をかけてしまった」
『メスト様! 王都にこんなかび臭い店なんて似合いませんよね!』
(あの時は会計が終わった直後、ダリアが失礼なことを言ってしまい本当に申し訳ないことした)
「だから、最初はどうなるかと思ったが……なぜか、俺のことを気に入ってくれて本当に良かった」
「そうですね。こちらとしては、嘘をつく手間が省けたので良かったのです」
「アハハッ……」
(良かった、いつものメスト様に戻った)
苦笑するメストを見て、内心安堵したカミルは早速今後について話す。
「あの」
「なんだ?」
「我が家に戻ったら、メ、メストさんは荷物を持って王都に戻られますか?」
すると、メストが微妙な顔をしながら明後日の方向に視線を向けると頬を掻く。
「いや、その……」
「ん?」
(どうしたのかしら? 急に微妙な顔をして……あっ、もしかして!)
「もしかして、本当は私が王都で仕事を終えたタイミングで帰るつもりでしたか? だとしたら、早くおっしゃっていただけたら、買い物をする前にお帰しました……」
「ち、違う! 『仕事の手伝いをする』と言った手前、そんな不誠実なことをするわけが無い!」
「ですが、納品が済めば仕事は終わり……」
「それに、俺の荷物はカミルの家に置きっぱなしじゃないか!」
「そ、そうでした」
(私としたことが、とんだ早とちりをしてしまったわ!)
「だとしたら、我が家に戻ったら帰られますか?」
「そ、それは……」
(もう、珍しく煮え切らないわね! 一体、何がしたいのよ!)
再び気まずそうに視線を逸らすメストに、カミルが内心苛立っていた時、何かを決心したメストが真剣な表情でカミルを見つめる。
「カミル」
「何ですか?」
「もし良かったら、明日の鍛錬までお世話になっても良いだろうか?」
「それってつまり、今日も我が家に泊るということでしょうか?」
「そういうことだ」
(かなり厚かましいお願いをしているのは重々承知だ。だが、出来ることならカミルの家であと1日だけ泊って騎士団に戻りたい)
魔物討伐以上に真剣な表情で懇願するメストを見て、一瞬目を見開いたカミルは僅かに眉を顰める。
「それは、別に構いませんが……よろしいのですか?」
「何が?」
「『何が?』ってもちろん、騎士団の帰りが遅くなることです」
(厳しい規律を重んじる騎士団だから、帰りが遅くなったら騎士として不真面目だと捉えかねないかもしれない)
無表情の中に心配を覗かせるカミルに、メストは優しく微笑んだ。
「それなら大丈夫だ。一応、上司には明日の朝には戻ることを伝えている。それに、出勤に間に合えば問題ない」
「そ、そうですか」
(さすがメスト様。事前の根回しは済んでいたってことね。それなら、最初からそう言いなさいよ! てっきり、家に戻ったらそのまま帰るのかと思ったわ!)
メストに対して内心で愚痴を言いつつも、少しだけ安堵したカミルは視線を前に戻す。
「それでしたら、家に帰った後、少しゆっくりしてからお風呂の準備をしてくれますか? 私は少し自主練をした後に夕飯の準備をしますので」
「自主練! それなら俺も一緒に自主練してもいいか?」
『自主練』と聞いて満面の笑みのメストに、カミルは再び眉を顰める。
「よろしいのですか? 慣れないことをして疲れていません?」
(荷物運びしかさせていないけど……明日からの仕事に支障が出るのなら、自主練よりも体を休めて欲しい)
内心心配で堪らないカミルに、メストは安心させるように優しく微笑む。
「確かに、慣れないことをして少し疲れた。だが、自主練をこなせるほどの体力は残っているから大丈夫だ」
「ですが……」
「それに、今朝の鍛錬でカミルに指摘されたところを少しでも早く体に覚えさせたいんだ!」
(それと、カミルの自主練しているところも見てみたい! 悪徳騎士を対等に渡り合っているカミルが、普段どんな鍛錬をしているのか、国を守る騎士として是非とも参考にしたい!)
騎士として人一倍向上心のあるメストが、アイスブルーの目を輝かせる姿に、カミルは一瞬笑みを浮かべると小さく頷く。
その後、村人達に頼まれた物を渡したカミルは、メストと共に自宅に戻ると自主練をし、メストが風呂を準備している間に夕食の準備をした。
そして、お風呂と夕食を済ませて眠りについた翌日、朝の鍛錬を終えたメストをカミルはいつものように見送ったのだった。
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