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第2章 木こりと騎士は鍛錬する
第125話 突然の来訪
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フェビルがノルベルトのからの呼び出しをくらってから1週間後。
その時は、突如として訪れた。
コンコンコン
「入れ」
「失礼します」
いつものように団長専用の執務室でフェビルとグレアが今後の近衛騎士団の方針について話し合っていた時、扉を叩く音が部屋に響き、ゆっくりと書類から顔を上げたフェビルとグレアが視線を向ける。
すると、ここ最近何かと噂の平民と仲良くしているメストが扉を開けて入ってきた。
「お話し中失礼致します。団長、シュタール辺境伯様とその奥様のリリアナ様がいらっしゃっています」
「来たか」
(思っていた以上に早かったな。それに、わざわざこちらに来るとは。いつもなら直接王宮に行くはずだが)
身内の来訪を聞いて、小さく溜息をつくフェビルに、グレアは恐る恐る問い質す。
「団長、お2人がこちらにいらしたということは……」
「あぁ、此度のシュタール辺境伯家の処罰について詳しく話が聞きたいのだろう」
(それか、近衛騎士団長である俺に手を貸して欲しいことがあるか、黙認して欲しいことがあるかだな)
「だ、団長。だ、大丈夫、何ですよね?」
「さぁ、それはあちらさん次第だ」
「ヒッ!」
フェビルの言葉を聞いて、普段は涼しい顔をしているグレアが思わず声を上げる。
というのも第二騎士団時代、グレアはフェビルの腹心ということもあり、シュタール辺境伯夫妻にこき使われていたからだ。
(そう言えばあの2人、事あるごとに魔物討伐を依頼していたな。全く、『売られた喧嘩は喜んで買う』という容赦無い無茶ぶりは身内にもお抱え騎士団だけにして欲しいものだ)
招かざる客の来訪に顔を引き攣らせるグレアに申し訳ないと思いつつ、小さく溜息をついたフェビルはゆっくりとソファーから立ち上がる。
「メスト、2人を応接室に通してあるな?」
「あ、はい。もちろんです」
「そうか、案内ご苦労だった」
「い、いえ」
(とりあえず、話だけでも聞くか)
グレアの怯え顔に戸惑いつつ、凛々しい表情で答えたメストを見て、覚悟を決めたフェビルは騎士団長らしい毅然とした顔で指示を飛ばす。
「後は近衛騎士団長である俺が対処する。お前は仕事に戻っていいぞ」
「ハッ!」
綺麗な敬礼をしたメストが足早に執務室を後にすると、フェビルは後ろで座ったままのグレアに顔を向けた。
「というわけで、話の続きは帰ってきた後でする。その間、お前は自分の部屋に戻って休んでいろ。働き過ぎだ」
「か、かしこまりました」
(全く、俺の腹心にトラウマを植え付けやがって)
怯えた顔で深々と頭を下げるグレアを見て、身内に対して内心愚痴を零したフェビルは、再び小さく溜息をつくと険しい顔で部下の名前を呼ぶ。
「グレア」
「な、何でしょう?」
ゆっくりと頭を上げたグレアに、フェビルは先程の話し合いで出た結論を『命令』という形で告げる。
「さっきの話だが、第一から第三部隊は引き続き監視だけに留めておけ」
その瞬間、怯えていた顔をしていたグレアの顔が一気に険しくなる。
「ですが団長。それではまた……」
「いいか、これは団長命令だ。これ以上、余計なことをするな」
「っ!?……かしこまりました」
いつになく真剣な表情で命令を下したフェビルに、息を呑んだグレアは悔しさを滲ませつつも静かに頭を下げた。
(悪いな、グレア。こればかりは団長権限を使ってでも止めたいんだ)
悔しさで静かに肩を震わせるグレアを見て、少しだけ顔を歪ませたフェビルは、彼から背を向けると足早に部屋を後にした。
◇◇◇◇◇
フェビルを見るとすぐさま立ち止まり、強張った表情で素早く敬礼をする部下達。
そんな部下達に小さく頭を下げて通り過ぎていくフェビルは、頭の中でメストが呼びに来るまでに話し合っていたことを思い出していた。
『団長。やはり近衛騎士団として、宰相閣下に全体の4分の3を掌握され、王族護衛を一任されている現状はよくありません。ですからここは、宰相閣下に対立するのも承知の上で、王族護衛を担っている騎士達の指揮を団長に戻すべきだと……』
『それはこの前も言ったはずだ。止めておけ』
『ですが!』
(大方、特別訓練で俺が呼び出された時に、改めて近衛騎士団の指揮系統が2つになっている現状が良くないと痛感したのだろう。その気持ちは痛いほど分かる。だが……)
「俺は、大切な部下を奪われてまでそんなことはしたくない」
苦虫を噛んだ顔でフェビルが足早に廊下を歩いていると、フェビルの足が応接室の前で止まった。
その時は、突如として訪れた。
コンコンコン
「入れ」
「失礼します」
いつものように団長専用の執務室でフェビルとグレアが今後の近衛騎士団の方針について話し合っていた時、扉を叩く音が部屋に響き、ゆっくりと書類から顔を上げたフェビルとグレアが視線を向ける。
すると、ここ最近何かと噂の平民と仲良くしているメストが扉を開けて入ってきた。
「お話し中失礼致します。団長、シュタール辺境伯様とその奥様のリリアナ様がいらっしゃっています」
「来たか」
(思っていた以上に早かったな。それに、わざわざこちらに来るとは。いつもなら直接王宮に行くはずだが)
身内の来訪を聞いて、小さく溜息をつくフェビルに、グレアは恐る恐る問い質す。
「団長、お2人がこちらにいらしたということは……」
「あぁ、此度のシュタール辺境伯家の処罰について詳しく話が聞きたいのだろう」
(それか、近衛騎士団長である俺に手を貸して欲しいことがあるか、黙認して欲しいことがあるかだな)
「だ、団長。だ、大丈夫、何ですよね?」
「さぁ、それはあちらさん次第だ」
「ヒッ!」
フェビルの言葉を聞いて、普段は涼しい顔をしているグレアが思わず声を上げる。
というのも第二騎士団時代、グレアはフェビルの腹心ということもあり、シュタール辺境伯夫妻にこき使われていたからだ。
(そう言えばあの2人、事あるごとに魔物討伐を依頼していたな。全く、『売られた喧嘩は喜んで買う』という容赦無い無茶ぶりは身内にもお抱え騎士団だけにして欲しいものだ)
招かざる客の来訪に顔を引き攣らせるグレアに申し訳ないと思いつつ、小さく溜息をついたフェビルはゆっくりとソファーから立ち上がる。
「メスト、2人を応接室に通してあるな?」
「あ、はい。もちろんです」
「そうか、案内ご苦労だった」
「い、いえ」
(とりあえず、話だけでも聞くか)
グレアの怯え顔に戸惑いつつ、凛々しい表情で答えたメストを見て、覚悟を決めたフェビルは騎士団長らしい毅然とした顔で指示を飛ばす。
「後は近衛騎士団長である俺が対処する。お前は仕事に戻っていいぞ」
「ハッ!」
綺麗な敬礼をしたメストが足早に執務室を後にすると、フェビルは後ろで座ったままのグレアに顔を向けた。
「というわけで、話の続きは帰ってきた後でする。その間、お前は自分の部屋に戻って休んでいろ。働き過ぎだ」
「か、かしこまりました」
(全く、俺の腹心にトラウマを植え付けやがって)
怯えた顔で深々と頭を下げるグレアを見て、身内に対して内心愚痴を零したフェビルは、再び小さく溜息をつくと険しい顔で部下の名前を呼ぶ。
「グレア」
「な、何でしょう?」
ゆっくりと頭を上げたグレアに、フェビルは先程の話し合いで出た結論を『命令』という形で告げる。
「さっきの話だが、第一から第三部隊は引き続き監視だけに留めておけ」
その瞬間、怯えていた顔をしていたグレアの顔が一気に険しくなる。
「ですが団長。それではまた……」
「いいか、これは団長命令だ。これ以上、余計なことをするな」
「っ!?……かしこまりました」
いつになく真剣な表情で命令を下したフェビルに、息を呑んだグレアは悔しさを滲ませつつも静かに頭を下げた。
(悪いな、グレア。こればかりは団長権限を使ってでも止めたいんだ)
悔しさで静かに肩を震わせるグレアを見て、少しだけ顔を歪ませたフェビルは、彼から背を向けると足早に部屋を後にした。
◇◇◇◇◇
フェビルを見るとすぐさま立ち止まり、強張った表情で素早く敬礼をする部下達。
そんな部下達に小さく頭を下げて通り過ぎていくフェビルは、頭の中でメストが呼びに来るまでに話し合っていたことを思い出していた。
『団長。やはり近衛騎士団として、宰相閣下に全体の4分の3を掌握され、王族護衛を一任されている現状はよくありません。ですからここは、宰相閣下に対立するのも承知の上で、王族護衛を担っている騎士達の指揮を団長に戻すべきだと……』
『それはこの前も言ったはずだ。止めておけ』
『ですが!』
(大方、特別訓練で俺が呼び出された時に、改めて近衛騎士団の指揮系統が2つになっている現状が良くないと痛感したのだろう。その気持ちは痛いほど分かる。だが……)
「俺は、大切な部下を奪われてまでそんなことはしたくない」
苦虫を噛んだ顔でフェビルが足早に廊下を歩いていると、フェビルの足が応接室の前で止まった。
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