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第3章 木こりは距離を縮め、宮廷魔法師は陥れられる
第130話 木こりと騎士は変化する
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――フェビルがノルベルトに謁見の間に呼び出されてから3か月が経ち、メストとカミルが出会ってからあっという間に1年が過ぎた。
「カミル。これで良いか?」
「はい。大丈夫ですよ。そのまま持って行ってください」
「おう!」
休日の度にカミルの家へ泊まりに来ているメストは、鍛錬を兼ねた木こりの仕事の手伝いもすっかり慣れ、最近ではカミルがしていた木材の加工した木材を任せてもらえるようになった。
すると、森から帰ってきたカミルが愛用の斧を倉庫の入口近くに置いた。
「あれっ? カミル、今日はこれで終わりなのか?」
「はい。今日行った場所には、切っても良い木がありませんでしたから、今日はこれで終わりです」
「それなら、今日の納品分は?」
「ご心配なく。本日の納品分の木材は、この前あなた様が運んでいただいた分から持っていきますので」
「言われてみれば、この前はいつもより多く運んだな。なるほど、そういうことなら安心だな!」
安堵の笑みを浮かべたメストにフェイスタオルを渡したカミルは、大量の汗を拭っている彼に一瞬見惚れると慌てて目を逸らす。
「では、私は昼食を準備しますので先に戻ります」
「それなら、俺も戻って風呂の準備をする。風呂に入った後のカミルのご飯は最高に美味いんだよな!」
「そう、ですか」
(ううっ、メスト様が泊りで我が家へ来るようになってから随分経つけど……至近距離でのメスト様の笑顔に未だに慣れない!)
嬉しそうに笑うメストを見て、僅かに頬を赤らめたカミルがパッと顔を逸らせると邪念を振り払うように急いで我が家へ戻った。
◇◇◇◇◇
「ごちそうさま。はぁ、今日の昼飯も美味かった!」
「それは良かったです」
カミルの作った昼飯を完食し、満足げに笑うメストを見て、内心嬉しかったカミルは僅かに口角を上げると椅子から立ち上がり空の食器を集めて行こうとした。
すると、それに気づいたメストが瞬く間に空の食器を集めた。
「カミル、俺も手伝う」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」
そう言って、メストと共にキッチンに入ったカミルは、横並びになったメストから食器を受け取るとスポンジを使って食器を洗う。
そして、洗い終わった食器を横で真っ白な布を持っているメストに渡す。
「お願いします」
「あぁ、任された!」
鼻歌を歌いながら食器を拭くメストを見て、微笑ましく思ったカミルの口角が僅かに上がる。
「そう言えば、最近では風呂洗いや皿洗いだけではなく、私の切った木を加工してくれるようになりましたね」
「まぁな、カミルには何かと世話になっているから。少しでも役に立ちたいと思って」
(本当は、一緒に料理を作りたいのだが……料理を作ったことのない俺が、カミルの邪魔をするわけにはいかないしな)
貴族として生まれてから料理を全く作ったことが無いメストは、カミルの手料理を食べる度に『一緒に作りたい』と思ってしまうが、カミルの手際の良さを目の当たりにすると、どうしても言い出せずにいた。
それが実は、幾多の失敗を繰り重ねた果てに得たものであるとも知らずに。
そんな彼の憂いを帯びた笑みに、少しだけ胸が高鳴ったカミルは慌ててシンクに視線を戻すと洗い終わっていない食器を洗い始める。
「そ、それは、べ、別に気にしなくても良いですと前に申し上げたではありませんか」
「それでも、俺は美味しいご飯とフカフカのベッドを用意してくれるカミルの優しさに少しでも恩返ししたいんだ。ダメか?」
「っ!?」
(上目遣いでそんな顔をされたら、ダメなんて言えないわよ!)
不安げな表情でカミルを見るメストに、僅かに頬を赤らめたカミルが、作業の手を止めると軽く咳払いをしていつもの無表情に戻す。
「別にダメとは言っていません。むしろ、あなた様が積極的に手伝っていただいて感謝したいくらいです」
「そう、なのか?」
「はい。なにせ、あなた様が来る日だけ自由時間があるのですから」
そう言うと、カミルは木こりとしての1日のスケジュールを話し始める。
「いつもはあなた様との鍛錬が終わったら、朝食を済ませてすぐに木こりの仕事。そして、昼食を食べたらすぐに王都に行って納品と買い物。それが済んで王都と出て、村に立ち寄って自宅に帰ってきたら、夕食を食べてお風呂に入ったらそのまま就寝です」
「話を聞いて改めて思うが、木こりの仕事って騎士の仕事と同じくらい大変な仕事なのだな」
「いえ、国を守ることに比べたらたいしたことはありませんよ」
「それは、そうかもしれないが……」
(そもそも、平民の生活自体が貴族のような余裕のある生活ではないんだよな)
カミルの話を聞いて、メストが眉を顰めると、再び手を止めたカミルがメストの方を見る。
「カミル。これで良いか?」
「はい。大丈夫ですよ。そのまま持って行ってください」
「おう!」
休日の度にカミルの家へ泊まりに来ているメストは、鍛錬を兼ねた木こりの仕事の手伝いもすっかり慣れ、最近ではカミルがしていた木材の加工した木材を任せてもらえるようになった。
すると、森から帰ってきたカミルが愛用の斧を倉庫の入口近くに置いた。
「あれっ? カミル、今日はこれで終わりなのか?」
「はい。今日行った場所には、切っても良い木がありませんでしたから、今日はこれで終わりです」
「それなら、今日の納品分は?」
「ご心配なく。本日の納品分の木材は、この前あなた様が運んでいただいた分から持っていきますので」
「言われてみれば、この前はいつもより多く運んだな。なるほど、そういうことなら安心だな!」
安堵の笑みを浮かべたメストにフェイスタオルを渡したカミルは、大量の汗を拭っている彼に一瞬見惚れると慌てて目を逸らす。
「では、私は昼食を準備しますので先に戻ります」
「それなら、俺も戻って風呂の準備をする。風呂に入った後のカミルのご飯は最高に美味いんだよな!」
「そう、ですか」
(ううっ、メスト様が泊りで我が家へ来るようになってから随分経つけど……至近距離でのメスト様の笑顔に未だに慣れない!)
嬉しそうに笑うメストを見て、僅かに頬を赤らめたカミルがパッと顔を逸らせると邪念を振り払うように急いで我が家へ戻った。
◇◇◇◇◇
「ごちそうさま。はぁ、今日の昼飯も美味かった!」
「それは良かったです」
カミルの作った昼飯を完食し、満足げに笑うメストを見て、内心嬉しかったカミルは僅かに口角を上げると椅子から立ち上がり空の食器を集めて行こうとした。
すると、それに気づいたメストが瞬く間に空の食器を集めた。
「カミル、俺も手伝う」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」
そう言って、メストと共にキッチンに入ったカミルは、横並びになったメストから食器を受け取るとスポンジを使って食器を洗う。
そして、洗い終わった食器を横で真っ白な布を持っているメストに渡す。
「お願いします」
「あぁ、任された!」
鼻歌を歌いながら食器を拭くメストを見て、微笑ましく思ったカミルの口角が僅かに上がる。
「そう言えば、最近では風呂洗いや皿洗いだけではなく、私の切った木を加工してくれるようになりましたね」
「まぁな、カミルには何かと世話になっているから。少しでも役に立ちたいと思って」
(本当は、一緒に料理を作りたいのだが……料理を作ったことのない俺が、カミルの邪魔をするわけにはいかないしな)
貴族として生まれてから料理を全く作ったことが無いメストは、カミルの手料理を食べる度に『一緒に作りたい』と思ってしまうが、カミルの手際の良さを目の当たりにすると、どうしても言い出せずにいた。
それが実は、幾多の失敗を繰り重ねた果てに得たものであるとも知らずに。
そんな彼の憂いを帯びた笑みに、少しだけ胸が高鳴ったカミルは慌ててシンクに視線を戻すと洗い終わっていない食器を洗い始める。
「そ、それは、べ、別に気にしなくても良いですと前に申し上げたではありませんか」
「それでも、俺は美味しいご飯とフカフカのベッドを用意してくれるカミルの優しさに少しでも恩返ししたいんだ。ダメか?」
「っ!?」
(上目遣いでそんな顔をされたら、ダメなんて言えないわよ!)
不安げな表情でカミルを見るメストに、僅かに頬を赤らめたカミルが、作業の手を止めると軽く咳払いをしていつもの無表情に戻す。
「別にダメとは言っていません。むしろ、あなた様が積極的に手伝っていただいて感謝したいくらいです」
「そう、なのか?」
「はい。なにせ、あなた様が来る日だけ自由時間があるのですから」
そう言うと、カミルは木こりとしての1日のスケジュールを話し始める。
「いつもはあなた様との鍛錬が終わったら、朝食を済ませてすぐに木こりの仕事。そして、昼食を食べたらすぐに王都に行って納品と買い物。それが済んで王都と出て、村に立ち寄って自宅に帰ってきたら、夕食を食べてお風呂に入ったらそのまま就寝です」
「話を聞いて改めて思うが、木こりの仕事って騎士の仕事と同じくらい大変な仕事なのだな」
「いえ、国を守ることに比べたらたいしたことはありませんよ」
「それは、そうかもしれないが……」
(そもそも、平民の生活自体が貴族のような余裕のある生活ではないんだよな)
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