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第3章 木こりは距離を縮め、宮廷魔法師は陥れられる
第151話 少女の面影と魔物の襲来
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「本当は、定時に帰れるはずだったのに~」
(本当、余計な仕事を増やしてくれちゃって!)
踊りに踊った会議を振り返り、机の上で突っ伏していたカトレアは、顔を上げて窓から見える真っ暗な空を見て深く溜息をつく。
「あの子だって、宰相家令嬢なのだから忙しいはずなのだけど」
(それこそ、仕事中の私のところへ遊びに来たり、デートを断るためにわざわざ騎士団本部へ行ったり、他所の会議に乱入して口出しする程もないくらいに)
宰相家令嬢とは思えない、ダリアの目に余る横暴ぶりを思い出し、心底溜息をついたカトレアは再び突っ伏す。
「幼い頃は、あんな子じゃなかったなかったんだけどね」
(そう、幼い頃のあの子は……)
カトレアの脳裏に幼い頃の記憶が蘇る。
『カトレア、そんな言い方しちゃダメでしょ!』
『だって、『たかが魔力を持たない平民なんだから、少しくらい意地悪なことを言ったって良い』って、お父様が……』
(貴族として当たり前のことをしただけなのに、宰相家令嬢だったその子に怒られ、理不尽と思った私はその子に怒り返した。すると、両手を腰に置いたその子は、頬を膨らませると更に怒った)
『それでもダメなものはダメ! 平民だって、私達と同じく魔力を持っているし、同じペトロート王国の民なんだよ!』
(そうして、その子としばらくの間、睨めっこをしていると遠くから男性の朗らかな笑い声が聞えてきた)
『ハハッ、そうだな、フリージア。平民も私たち貴族と同じように魔力を持っているし、このペトロート王国を支えている民だ。だから、平民だからって意地悪しちゃダメだよな』
『あ、お父様! お仕事終わったのですか!?』
カトレアの幼い記憶に出てきたその人は、その子の父親であり、カトレアの父親の上司であり、この国では『切れ者宰相』と呼ばれ、一部の貴族から恐れらえていた人だった。
(そんな人を父に持つその子は、淡い緑色の瞳を目いっぱい開かせると、銀色の長い髪を揺らしながら父親の方に走って行く。そう、幼い頃のあの子は、宰相家令嬢として凛としつつも時々年相応の喜怒哀楽を見せて……って、あれっ?)
「淡い緑色の瞳に銀色の長い髪?」
(違う。ダリアは、赤い切れ長の瞳に艶やかな黒色の長い髪。だとしたら……)
「今、私の脳裏に蘇った彼女は一体……うっ!」
(またよ、また思い出そうとしたら激しい頭痛が……!)
突然襲ってきた激しい頭痛に顔を歪ませたカトレアは、懐から銀色の指輪を取り出すと治癒魔法をかける。
「《ヒール》」
すると、瞬く間に痛みが引いていった。
「はぁはぁ、何とか収まったわね」
(本当、一体何なのかしら?)
謎の頭痛に首を傾げつつ、懐に指輪を懐に戻した時、急に部屋の外が騒がしくなった。
(ん? なんだか外が騒がしい……って、まさか!)
バタバタと廊下を駆けて行く足音に、嫌な胸騒ぎがしたカトレアは突っ伏していた頭を勢いよく上げると執務室のドアが激しく叩かれる。
ドンドンドン!!!
「カトレア様、いらっしゃいますか?」
「いるわ。入ってちょうだい」
「失礼致します」
ドアを開けると同時入ってきたのは、カトレアの専属の小間使いである黒ローブの魔法師テオだった。
「テオ。急に外が騒がしくなったって、まさか……」
「はい。お察しの通り、魔物が現れました」
「やっぱり」
テオの報告を聞いたカトレアは、険しい顔で椅子から立ち上がると壁に立て掛けてあった杖を取り、テオを共に足早に執務室を出る。
「場所は?」
「ペトロート王国北西部。リアスタ村という小さな村があり、王国騎士団の駐屯地がある場所です」
「またあそこ!?」
(去年もあの場所で魔物の大群が現れなかった!?)
「はい、去年魔物が現れた場所です」
「あそこ、瘴気が薄いから魔物が中々出ないんじゃなかったの~?」
聞き覚えのある場所に思わず声を上げたカトレアは、深いため息をつくと立ち止まっていた足を動かす。
「それで、他の宮廷魔法師達には、既に招集をかけているのよね?」
「はい。転移陣の前には、既に大勢の宮廷魔法師が集まっています。また今回、現れた魔物の数は、前回の魔物討伐で現れた魔物の数の倍とのこと」
「倍!?」
(ということは、今回の魔物討伐は近年稀にみる大規模なものってこと!?)
「はい。先程、監視役の魔法師様からそのような報告が。そのため、今回の魔物討伐には団長も出陣されるとのことです」
「……そう、分かったわ」
(団長が出陣される魔物討伐……どうやら、今回の魔物討伐はかなり骨が折れそうね)
滅多に出陣されない団長の出陣に、嫌な胸騒ぎが収まらないカトレアは、既に宮廷魔法師達が集まっている転移陣の前で足を止めると、振り返ってテオに声をかける。
「それじゃあ、テオ。行ってくるわ」
「はい。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
深々と頭を下げたテオに見送られ、カトレアは団長の合図で他の宮廷魔法師達と共に転移陣の中へ飛び込んだ。
――この出来事が、今のカトレアにとって転換点になるとは、この時のカトレアは思いも寄らなかった。
(本当、余計な仕事を増やしてくれちゃって!)
踊りに踊った会議を振り返り、机の上で突っ伏していたカトレアは、顔を上げて窓から見える真っ暗な空を見て深く溜息をつく。
「あの子だって、宰相家令嬢なのだから忙しいはずなのだけど」
(それこそ、仕事中の私のところへ遊びに来たり、デートを断るためにわざわざ騎士団本部へ行ったり、他所の会議に乱入して口出しする程もないくらいに)
宰相家令嬢とは思えない、ダリアの目に余る横暴ぶりを思い出し、心底溜息をついたカトレアは再び突っ伏す。
「幼い頃は、あんな子じゃなかったなかったんだけどね」
(そう、幼い頃のあの子は……)
カトレアの脳裏に幼い頃の記憶が蘇る。
『カトレア、そんな言い方しちゃダメでしょ!』
『だって、『たかが魔力を持たない平民なんだから、少しくらい意地悪なことを言ったって良い』って、お父様が……』
(貴族として当たり前のことをしただけなのに、宰相家令嬢だったその子に怒られ、理不尽と思った私はその子に怒り返した。すると、両手を腰に置いたその子は、頬を膨らませると更に怒った)
『それでもダメなものはダメ! 平民だって、私達と同じく魔力を持っているし、同じペトロート王国の民なんだよ!』
(そうして、その子としばらくの間、睨めっこをしていると遠くから男性の朗らかな笑い声が聞えてきた)
『ハハッ、そうだな、フリージア。平民も私たち貴族と同じように魔力を持っているし、このペトロート王国を支えている民だ。だから、平民だからって意地悪しちゃダメだよな』
『あ、お父様! お仕事終わったのですか!?』
カトレアの幼い記憶に出てきたその人は、その子の父親であり、カトレアの父親の上司であり、この国では『切れ者宰相』と呼ばれ、一部の貴族から恐れらえていた人だった。
(そんな人を父に持つその子は、淡い緑色の瞳を目いっぱい開かせると、銀色の長い髪を揺らしながら父親の方に走って行く。そう、幼い頃のあの子は、宰相家令嬢として凛としつつも時々年相応の喜怒哀楽を見せて……って、あれっ?)
「淡い緑色の瞳に銀色の長い髪?」
(違う。ダリアは、赤い切れ長の瞳に艶やかな黒色の長い髪。だとしたら……)
「今、私の脳裏に蘇った彼女は一体……うっ!」
(またよ、また思い出そうとしたら激しい頭痛が……!)
突然襲ってきた激しい頭痛に顔を歪ませたカトレアは、懐から銀色の指輪を取り出すと治癒魔法をかける。
「《ヒール》」
すると、瞬く間に痛みが引いていった。
「はぁはぁ、何とか収まったわね」
(本当、一体何なのかしら?)
謎の頭痛に首を傾げつつ、懐に指輪を懐に戻した時、急に部屋の外が騒がしくなった。
(ん? なんだか外が騒がしい……って、まさか!)
バタバタと廊下を駆けて行く足音に、嫌な胸騒ぎがしたカトレアは突っ伏していた頭を勢いよく上げると執務室のドアが激しく叩かれる。
ドンドンドン!!!
「カトレア様、いらっしゃいますか?」
「いるわ。入ってちょうだい」
「失礼致します」
ドアを開けると同時入ってきたのは、カトレアの専属の小間使いである黒ローブの魔法師テオだった。
「テオ。急に外が騒がしくなったって、まさか……」
「はい。お察しの通り、魔物が現れました」
「やっぱり」
テオの報告を聞いたカトレアは、険しい顔で椅子から立ち上がると壁に立て掛けてあった杖を取り、テオを共に足早に執務室を出る。
「場所は?」
「ペトロート王国北西部。リアスタ村という小さな村があり、王国騎士団の駐屯地がある場所です」
「またあそこ!?」
(去年もあの場所で魔物の大群が現れなかった!?)
「はい、去年魔物が現れた場所です」
「あそこ、瘴気が薄いから魔物が中々出ないんじゃなかったの~?」
聞き覚えのある場所に思わず声を上げたカトレアは、深いため息をつくと立ち止まっていた足を動かす。
「それで、他の宮廷魔法師達には、既に招集をかけているのよね?」
「はい。転移陣の前には、既に大勢の宮廷魔法師が集まっています。また今回、現れた魔物の数は、前回の魔物討伐で現れた魔物の数の倍とのこと」
「倍!?」
(ということは、今回の魔物討伐は近年稀にみる大規模なものってこと!?)
「はい。先程、監視役の魔法師様からそのような報告が。そのため、今回の魔物討伐には団長も出陣されるとのことです」
「……そう、分かったわ」
(団長が出陣される魔物討伐……どうやら、今回の魔物討伐はかなり骨が折れそうね)
滅多に出陣されない団長の出陣に、嫌な胸騒ぎが収まらないカトレアは、既に宮廷魔法師達が集まっている転移陣の前で足を止めると、振り返ってテオに声をかける。
「それじゃあ、テオ。行ってくるわ」
「はい。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
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