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第3章 木こりは距離を縮め、宮廷魔法師は陥れられる
第170話 討伐完了
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「団長……」
ルベルから『似た者同士』と言われ、落ち込んだカトレアが涙ぐんだ顔を上げる。
それを見たルベルは、思わず顔を顰めるが『カトレアのためだ』と心を鬼にして念押しをする。
「けれど、俺は『お前とダリア嬢が似た者同士だ』と思っている」
「っ!?」
(私は、あんな平民を嬉々として虐げるような人間じゃない!)
ルベルにきつく言われ、平民を蔑んでいたカトレアは悔しがるように顔を歪めると口を閉じる。
そんな彼女を見て、ルベルが更に顔を顰めていると、遠くから部下がルベルを呼んで王都へ帰る準備が整ったことを知らせる。
「団長! 転移陣の準備完了しました!」
「分かった! 今から行く!」
遠くにいる部下へ返事をしたルベルは、杖を強く握り締めるカトレアの肩に手を置く。
「カトレア、王都に戻るぞ」
「……はい、団長」
カトレアの酷く落ち込んだ表情に、ルベルが小さく溜息をつくと、ふと、ルベルの脳裏にカトレアが平民に対して行った愚行が蘇る。
「なぁ、カトレア。帰る前に1つ聞いていいか?」
「はい。何なりと」
(正直、カトレアを落ち込ませた俺が聞くのもなんだが……宮廷魔法師団団長として、ここはハッキリさせないといけない)
青ざめた表情のカトレアに罪悪感を覚えつつ、ルベルは確認を兼ねて改めてカトレアに問い質す。
「お前は、本当に平民に対して故意に魔法を撃ったんじゃないんだよな?」
その瞬間、落ち込んでいたカトレアの綺麗な薄紫色の瞳に光が灯る。
「本当です!! 先程も申し上げましたが、私はあの平民に対して故意に魔法を撃とうとは一切思っておりません!!」
(そう、私はあの平民を引き止めたかっただけで、魔法を撃とうとは一切思っていないわ!)
顔を上げたカトレアが必死な表情で訴えると、左胸に付けている宮廷魔法師のブローチを強く掴む。
「私は、宮廷魔法師の仕事に誇りを持っています! 故に、私が使う魔法は、決して平民を甚振るものではなく……!」
その時、カトレアの脳裏に幼い頃の記憶が蘇る。
『カトレア嬢。君にとって、魔法は何のために使うものですか?』
『もちろん、大切なものを守るため使うものです!』
『そうですか。魔法は、我欲を満たしたり、大切なものを守ったり使うものです。決して、誰を傷つけるために使うものではありません。僕と同じように魔法師を目指すならば、それをゆめゆめ忘れてはなりません』
『はい、師匠!!』
(師匠……そうよ。幼い頃、私はお茶会で出会った彼から魔法を教わっていた。そして、その師匠は……)
「うっ!!」
「カトレア!」
突如襲った激しい頭痛に、顔を歪めたカトレアがその場で跪き、傍にいたルベルが咄嗟に彼女は体を支える。
(まただわ。思い出そうとした時に頭痛が……!)
「カトレア! 一体、どうしたんだ!!」
「う、ううっ……」
(とりあえず、この痛みをどうにかしないといけないわね)
頭がかち割れるような痛みに、意識が朦朧とする中、ルベルに支えらえたカトレアは懐から回復魔法が付与された指輪を取り出すと、すぐさま自分に治癒魔法をかける。
「《ヒール》」
すると、カトレアを襲っていた激しい頭痛はあっという間に引いていった。
「はぁ、はぁ……」
「カトレア、大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫です。少しだけ、疲れが出たみたいです」
「そ、そうか。それなら、今日は早めに休めよ」
「はい」
顔色が少しだけ戻った部下を見て、ルベルが安堵の溜息をつく。
すると、白いローブを着た男性の宮廷魔法師が2人に駆け寄る。
「団長、転移の準備が整ったのですから、カトレアと一緒にさっさと来てくださいよ」
「あ、あぁ……わざわざ来てくれてありがとう。カトレア、1人で歩けるか?」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
そう言ってルベルから離れたカトレアは綺麗にお辞儀をして礼を言う。
(とりあえず、王都に帰れるまでに回復したみたいだな)
顔を上げたカトレアに一安心したルベルは、深刻そうな表情でカトレアに王都へ戻った時のことを伝える。
「……カトレア。王都に戻ったら、改めて話を聞かせてもらう。そのつもりで」
「分かっています、団長」
(私は、尊敬する団長に平民に対して故意に魔法を撃っていないことを証言しないと)
いつになく真剣な表情のカトレアは、駆けつけた部下に声をかけられて一足先に転移陣へ向かう。
そんな彼女の背中を見送ったルベルは、ゆっくりとした足取りで2人の後を追いつつ、魔物討伐に協力してくれた平民のことを思い出す。
「レイピアを扱う魔力持ちの平民か」
(宮廷魔法師団長に着任してからしばらく経つが、そんな人間がこの国にいるなんて話、一切聞いたことがない)
「俺が知らないとするなら……もしかしたら、あいつなら知っているかもしれない」
(宮廷魔法師団長の俺が知らなくても、王国騎士団長のあいつなら、もしかするとあの平民について何か知っているかも)
1年前、王国騎士団に就任した着任した人物を頭に思い浮かべながら、ルベルは大勢の部下達と共に王都に戻る。
そして約1週間後、ルベルはカトレアを団長室に呼び出して話を聞く。
そこからさらに約1週間後、ルベルは再びカトレアを団長室に呼び出す。
ルベルから『似た者同士』と言われ、落ち込んだカトレアが涙ぐんだ顔を上げる。
それを見たルベルは、思わず顔を顰めるが『カトレアのためだ』と心を鬼にして念押しをする。
「けれど、俺は『お前とダリア嬢が似た者同士だ』と思っている」
「っ!?」
(私は、あんな平民を嬉々として虐げるような人間じゃない!)
ルベルにきつく言われ、平民を蔑んでいたカトレアは悔しがるように顔を歪めると口を閉じる。
そんな彼女を見て、ルベルが更に顔を顰めていると、遠くから部下がルベルを呼んで王都へ帰る準備が整ったことを知らせる。
「団長! 転移陣の準備完了しました!」
「分かった! 今から行く!」
遠くにいる部下へ返事をしたルベルは、杖を強く握り締めるカトレアの肩に手を置く。
「カトレア、王都に戻るぞ」
「……はい、団長」
カトレアの酷く落ち込んだ表情に、ルベルが小さく溜息をつくと、ふと、ルベルの脳裏にカトレアが平民に対して行った愚行が蘇る。
「なぁ、カトレア。帰る前に1つ聞いていいか?」
「はい。何なりと」
(正直、カトレアを落ち込ませた俺が聞くのもなんだが……宮廷魔法師団団長として、ここはハッキリさせないといけない)
青ざめた表情のカトレアに罪悪感を覚えつつ、ルベルは確認を兼ねて改めてカトレアに問い質す。
「お前は、本当に平民に対して故意に魔法を撃ったんじゃないんだよな?」
その瞬間、落ち込んでいたカトレアの綺麗な薄紫色の瞳に光が灯る。
「本当です!! 先程も申し上げましたが、私はあの平民に対して故意に魔法を撃とうとは一切思っておりません!!」
(そう、私はあの平民を引き止めたかっただけで、魔法を撃とうとは一切思っていないわ!)
顔を上げたカトレアが必死な表情で訴えると、左胸に付けている宮廷魔法師のブローチを強く掴む。
「私は、宮廷魔法師の仕事に誇りを持っています! 故に、私が使う魔法は、決して平民を甚振るものではなく……!」
その時、カトレアの脳裏に幼い頃の記憶が蘇る。
『カトレア嬢。君にとって、魔法は何のために使うものですか?』
『もちろん、大切なものを守るため使うものです!』
『そうですか。魔法は、我欲を満たしたり、大切なものを守ったり使うものです。決して、誰を傷つけるために使うものではありません。僕と同じように魔法師を目指すならば、それをゆめゆめ忘れてはなりません』
『はい、師匠!!』
(師匠……そうよ。幼い頃、私はお茶会で出会った彼から魔法を教わっていた。そして、その師匠は……)
「うっ!!」
「カトレア!」
突如襲った激しい頭痛に、顔を歪めたカトレアがその場で跪き、傍にいたルベルが咄嗟に彼女は体を支える。
(まただわ。思い出そうとした時に頭痛が……!)
「カトレア! 一体、どうしたんだ!!」
「う、ううっ……」
(とりあえず、この痛みをどうにかしないといけないわね)
頭がかち割れるような痛みに、意識が朦朧とする中、ルベルに支えらえたカトレアは懐から回復魔法が付与された指輪を取り出すと、すぐさま自分に治癒魔法をかける。
「《ヒール》」
すると、カトレアを襲っていた激しい頭痛はあっという間に引いていった。
「はぁ、はぁ……」
「カトレア、大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫です。少しだけ、疲れが出たみたいです」
「そ、そうか。それなら、今日は早めに休めよ」
「はい」
顔色が少しだけ戻った部下を見て、ルベルが安堵の溜息をつく。
すると、白いローブを着た男性の宮廷魔法師が2人に駆け寄る。
「団長、転移の準備が整ったのですから、カトレアと一緒にさっさと来てくださいよ」
「あ、あぁ……わざわざ来てくれてありがとう。カトレア、1人で歩けるか?」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
そう言ってルベルから離れたカトレアは綺麗にお辞儀をして礼を言う。
(とりあえず、王都に帰れるまでに回復したみたいだな)
顔を上げたカトレアに一安心したルベルは、深刻そうな表情でカトレアに王都へ戻った時のことを伝える。
「……カトレア。王都に戻ったら、改めて話を聞かせてもらう。そのつもりで」
「分かっています、団長」
(私は、尊敬する団長に平民に対して故意に魔法を撃っていないことを証言しないと)
いつになく真剣な表情のカトレアは、駆けつけた部下に声をかけられて一足先に転移陣へ向かう。
そんな彼女の背中を見送ったルベルは、ゆっくりとした足取りで2人の後を追いつつ、魔物討伐に協力してくれた平民のことを思い出す。
「レイピアを扱う魔力持ちの平民か」
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「俺が知らないとするなら……もしかしたら、あいつなら知っているかもしれない」
(宮廷魔法師団長の俺が知らなくても、王国騎士団長のあいつなら、もしかするとあの平民について何か知っているかも)
1年前、王国騎士団に就任した着任した人物を頭に思い浮かべながら、ルベルは大勢の部下達と共に王都に戻る。
そして約1週間後、ルベルはカトレアを団長室に呼び出して話を聞く。
そこからさらに約1週間後、ルベルは再びカトレアを団長室に呼び出す。
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