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第3章 木こりは距離を縮め、宮廷魔法師は陥れられる
第171話 処罰と噂
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リアスタ村近くでの魔物討伐から1週間後、宮廷魔法師団での魔物討伐の事後処理が全て完了する。
そのタイミングで、カトレアは『平民に魔法を撃ったことに関して聞きたい』とルベルから団長室に呼び出される。
緊張の面持ちで団長室に入ったカトレアは、神妙な面持ちの聞いてきたルベルに、魔物討伐後に平民に対して魔法を撃った時のことを包み隠さず話す。
『故意に撃っていないと信じて欲しい!』と必死に熱弁するカトレアの話を聞いたルベルは、そこからに更に1週間後、カトレアを再び執務室に呼び出す。
「カトレア、お前には『平民に対して魔法を撃ったこと』に対して処罰を与えることにした」
「…………」
いつになく真剣な表情のルベルから『処罰を与える』と言われ、俯いていたカトレアは小さく肩を震わせると静かに顔を上げて上司を睨む。
そんな彼女に、ルベルは宮廷魔法師団団長として部下に与える処罰を告げる。
「処罰は、約1ヶ月後に帝国へ派遣される研究員の護衛。そして、帝国の宮廷魔法師マーザス・アラウェイ氏が預かっている魔道具を持ち帰ることだ」
「……お言葉ですが、団長」
「何だ、稀代の天才魔法師様? あなた様の言い分なら先週たくさん聞いたが、まだ言い足りないことがあるなら聞くぞ?」
椅子に深く腰掛けて両腕を組んで嫌味を言うルベルの鋭い眼光に、一瞬怯んだカトレアだが険しい表情で睨むと先週と同じ話をもう一度する。
「先週も申し上げましたが、私が平民に対して過剰に蔑むようなことを知ってしまいました。しかしそれは、魔物達が跋扈する場所に、何の力も持たない平民がいては危ないと思い……」
「あぁ、分かっている。お前が、平民のことを考えて言ったことは十二分に理解している。だが……」
カトレアの言い分を遮って話始めたルベルは目を細めて事実を告げる。
「何の力も持たない平民に対して中級魔法を撃つのは、いくらなんでもやりすぎだと思うぞ」
「っ!?」
(あの時、私は彼から話を聞くために引き止めようとした。その時、私の耳元で彼女……ダリアの声が聞えて、その直後、私の意識が遠くなり、気が付いたら彼に対して魔法……火属性の中級魔法を撃っていた)
ルベルから紛れもない事実を言われ、悔しさのあまり下唇を噛んだカトレアは、目の前にある机を思いっ切り叩いて訴える。
「だから違うんです、団長!! あの時、本当に魔法を……それも中級魔法を撃つつもりは無かったんです!!」
魔物討伐では決して見せない、涙に堪えながら顔を歪ませる彼女を見て、ルベルは一瞬目を大きく見開くと小さく溜息をついて、腕を組んだまま目を閉じて背凭れに背中を預ける。
「まぁ、ろくに真偽を確かめないまま、処罰を与えること自体、そもそも無茶苦茶なことだったよな」
「えっ?」
驚きのあまり涙が引っ込んだカトレアに、そっと目を見開いたルベルは再び真剣な表情でカトレアを見やる。
「お前が本当にただ彼と話をしたかっただけだったことも、お前が自分の意思であの魔法を撃っていないことも十二分に理解している」
「ではなぜ私に処罰を?」
(私が魔法を撃っていないことは分かっている。けれど、処罰を与えることになった。どうして?)
上司が処罰を下した真意が分からず、カトレアが思わず首を傾げると、椅子から立ち上がったルベルが、カトレアの隣に立って彼女の華奢な肩にそっと手を置く。
「実は、今回の件がどうやら貴族のお偉いさんの方の間で噂としてかなり広まってしまった」
「噂、ですか?」
「あぁ、『稀代の天才魔法師が、騎士殺しの平民に対して魔法で罰を与えた』という噂が」
「ええっ!?」
(どうして、真実をかけ離れた噂が!? そもそも私、あの平民に対して罰なんて与えていないわよ!?)
貴族の間で広まった噂を聞いて、啞然とするカトレア。
そんな彼女とは対照的に、噂を口にしたルベルが心底うんざりしたような顔をして溜息をつく。
「大方、どっかの口の軽いバカが、団長である俺への腹いせに話したんだと思うが」
「は、はぁ……」
(それがなぜ、私の処罰に繋がるの?)
困惑しつつも益々首を傾げるカトレアに、ルベルは思いも寄らないことを口にする。
「それで、その噂を聞いたどこかの宰相閣下が、『噂の真偽を確かめたいから、宮廷魔法師団団長である俺に事情聴取をしなければ!』とほざいたらしい」
「そんな! どうしてですか!?」
(噂と団長とは全く関係ないのに!?)
肩にかかった上司の手をたまらず振りほどいたカトレアが、訴えかけるように上司の両肩を掴むと、ルベルはそっと自分の両肩に乗った華奢な手を降ろす。
「一応、カトレアは俺の部下だからな。噂の真相が本当なのか、上司である俺から話を聞きたいんだと。全く、こっちも暇じゃないんだけどな」
「……それなら、当事者である私を直接呼び出せば良いじゃないですか」
(それなのに、どうして団長が呼び出されないといけないの?)
自分のせいで呼び出しを食らったルベルに対し、申し訳なさを感じたカトレアが再び俯く。
すると、呆れたように溜息をついたルベルが両手を腰に添えた。
そのタイミングで、カトレアは『平民に魔法を撃ったことに関して聞きたい』とルベルから団長室に呼び出される。
緊張の面持ちで団長室に入ったカトレアは、神妙な面持ちの聞いてきたルベルに、魔物討伐後に平民に対して魔法を撃った時のことを包み隠さず話す。
『故意に撃っていないと信じて欲しい!』と必死に熱弁するカトレアの話を聞いたルベルは、そこからに更に1週間後、カトレアを再び執務室に呼び出す。
「カトレア、お前には『平民に対して魔法を撃ったこと』に対して処罰を与えることにした」
「…………」
いつになく真剣な表情のルベルから『処罰を与える』と言われ、俯いていたカトレアは小さく肩を震わせると静かに顔を上げて上司を睨む。
そんな彼女に、ルベルは宮廷魔法師団団長として部下に与える処罰を告げる。
「処罰は、約1ヶ月後に帝国へ派遣される研究員の護衛。そして、帝国の宮廷魔法師マーザス・アラウェイ氏が預かっている魔道具を持ち帰ることだ」
「……お言葉ですが、団長」
「何だ、稀代の天才魔法師様? あなた様の言い分なら先週たくさん聞いたが、まだ言い足りないことがあるなら聞くぞ?」
椅子に深く腰掛けて両腕を組んで嫌味を言うルベルの鋭い眼光に、一瞬怯んだカトレアだが険しい表情で睨むと先週と同じ話をもう一度する。
「先週も申し上げましたが、私が平民に対して過剰に蔑むようなことを知ってしまいました。しかしそれは、魔物達が跋扈する場所に、何の力も持たない平民がいては危ないと思い……」
「あぁ、分かっている。お前が、平民のことを考えて言ったことは十二分に理解している。だが……」
カトレアの言い分を遮って話始めたルベルは目を細めて事実を告げる。
「何の力も持たない平民に対して中級魔法を撃つのは、いくらなんでもやりすぎだと思うぞ」
「っ!?」
(あの時、私は彼から話を聞くために引き止めようとした。その時、私の耳元で彼女……ダリアの声が聞えて、その直後、私の意識が遠くなり、気が付いたら彼に対して魔法……火属性の中級魔法を撃っていた)
ルベルから紛れもない事実を言われ、悔しさのあまり下唇を噛んだカトレアは、目の前にある机を思いっ切り叩いて訴える。
「だから違うんです、団長!! あの時、本当に魔法を……それも中級魔法を撃つつもりは無かったんです!!」
魔物討伐では決して見せない、涙に堪えながら顔を歪ませる彼女を見て、ルベルは一瞬目を大きく見開くと小さく溜息をついて、腕を組んだまま目を閉じて背凭れに背中を預ける。
「まぁ、ろくに真偽を確かめないまま、処罰を与えること自体、そもそも無茶苦茶なことだったよな」
「えっ?」
驚きのあまり涙が引っ込んだカトレアに、そっと目を見開いたルベルは再び真剣な表情でカトレアを見やる。
「お前が本当にただ彼と話をしたかっただけだったことも、お前が自分の意思であの魔法を撃っていないことも十二分に理解している」
「ではなぜ私に処罰を?」
(私が魔法を撃っていないことは分かっている。けれど、処罰を与えることになった。どうして?)
上司が処罰を下した真意が分からず、カトレアが思わず首を傾げると、椅子から立ち上がったルベルが、カトレアの隣に立って彼女の華奢な肩にそっと手を置く。
「実は、今回の件がどうやら貴族のお偉いさんの方の間で噂としてかなり広まってしまった」
「噂、ですか?」
「あぁ、『稀代の天才魔法師が、騎士殺しの平民に対して魔法で罰を与えた』という噂が」
「ええっ!?」
(どうして、真実をかけ離れた噂が!? そもそも私、あの平民に対して罰なんて与えていないわよ!?)
貴族の間で広まった噂を聞いて、啞然とするカトレア。
そんな彼女とは対照的に、噂を口にしたルベルが心底うんざりしたような顔をして溜息をつく。
「大方、どっかの口の軽いバカが、団長である俺への腹いせに話したんだと思うが」
「は、はぁ……」
(それがなぜ、私の処罰に繋がるの?)
困惑しつつも益々首を傾げるカトレアに、ルベルは思いも寄らないことを口にする。
「それで、その噂を聞いたどこかの宰相閣下が、『噂の真偽を確かめたいから、宮廷魔法師団団長である俺に事情聴取をしなければ!』とほざいたらしい」
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