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第3章 木こりは距離を縮め、宮廷魔法師は陥れられる
第172話 ノルベルトの思惑
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「あのなぁ、噂の真偽でも何でも、部下についてお偉いさん達から何かしら問われたら、上司が部下に代わって答える。それが上司として当然の仕事だ。だから、部下であるお前のことで、上司である俺が呼び出しをくらっても何らおかしいことではない」
少しだけ面倒くさそうな顔をしながら説明をするルベルに、カトレアは益々悔しそうな顔をした。
「ですが!!」
「とは言っても、噂の真偽を問う場にお前を呼ぶことは無いだろな」
「それは、私が部下だからですよね?」
「それもあるが……1番は、お前が宰相閣下の娘の友人だからだ」
「えっ?」
(どうしてそこでダリアが出てくるの?)
顔を顰めながら首を傾げるカトレアに、少しだけ眉を顰めたルベルがカトレアを呼び出さない理由を口にする。
「要は、いくら自称切れ者宰相でも、溺愛しているらしい娘の機嫌を損ねるようなことをわざわざしたくなってことだ」
「……それはつまり、私はダリアの親友だから真偽の場に呼ばれないということでしょうか?」
「そういうことだ」
「っ!」
(そんな……そんな私的な理由で呼ばれないの?)
こみ上げてくる悔しさを押し殺すように、俯いたカトレアは下唇を噛むと拳を強く握る。
そんな彼女を見て、小さくため息をついたルベルは机に寄りかかると両腕を組む。
「とはいえ、俺が噂を肯定しようが否定しようが、俺は平民を危険に巻き込んだ挙句、その平民に危害を加えた罰としてあっという間に宮廷魔法師団団長の座を引きずり降ろされるだろうな」
「えっ!? どうしてルベル団長が立場を追われないといけないのですか!?」
(あの平民を危害を加えたのは紛れもなく私なのに!!)
顔を上げたカトレアが信じられないような目をルベルに向けると、再び彼女の華奢な両肩を掴んだルベルが盛大な溜息をつきながら宮廷魔法師団団長を引きずり下ろしたい理由を話す。
「あのバカ宰相のことだ。宰相である自分に対して一切尻尾を振らない俺を団長の座から引きずり降ろし、自分に忠実な誰かをお飾り団長に据えることで、王国騎士団だけではなく宮廷魔法師団も手中に収めたいのだろう」
「っ!?」
(宰相閣下が、宮廷魔法師団を手中に収める!? そもそも、宰相閣下が王国騎士団を手中に収めている!?)
宰相閣下の思惑を聞いて、カトレアが言葉を失っていると、彼女から離れたルベルが面倒くさそうに頭を掻く。
「って言っても、王国騎士団の方は団長があいつになったお陰で、今までみたいに王国騎士団を自分の意のままに動かすことが出来なくなったみたいだけどな」
「『あいつ』とは、フェビル団長のことでしょうか?」
「あぁ、そうだ。強力な魔物相手でも平気で無茶するあいつのことだ。頭の軽いバカ宰相相手に尻尾を振るわけがない」
(その証拠に、着任早々無茶なことをしたらしい)
小さく溜息をついたルベルは、カトレアに念押ししておく。
「言っておくが、俺が自ら宮廷魔法師団団長の座を降りるつもりは毛頭無いぞ。この地位でやりたいことはそれなりにあるからな」
「団長……」
(やっぱり、ルベル団長は素晴らしい人だわ!)
尊敬の眼差しを向けるカトレアに、ルベルは意地悪そうに笑った。
「だが、お前が自分の意志で『俺に代わって団長をしたい!』っていうなら話は別だが」
「そんな滅相な! 若輩者である今の私が、ルベル団長の後を引き継ぐ資格なんて一切ありません!」
「ハハッ、そうかそうか!!」
(まぁ、俺としては、お飾り副団長よりお前の方が俺の後に相応しいと思う)
「もう、そんなに笑わなくても良いじゃないですか!」
「あぁ、すまんすまん」
珍しく狼狽えるカトレアをルベルが一頻り笑った後、静かに笑みを潜めたルベルが不貞腐れているカトレアを見やる。
「でもまぁ、あのバカ宰相のことだ。宮廷魔法師の噂が出回っているこの機会をチャンスと捉え、何が何でも宮廷魔法師団を自分の手中に収めるつもりだろう」
「と言いますと?」
話を戻したルベルは、首を傾げるカトレアを真剣な表情で見つめる。
「俺は、お前が故意にやっていないと信じている。だが、お前が故意にやっていないという証拠はどこにもない」
「確かに、そうですね」
(言われてみれば、私が自分の意志で魔法を撃ったという証拠はどこにも無い。けれどそもそも、私が自分の意思でやったという証拠なんて見つかるはずがない)
悔しそうに顔を歪めるカトレアに、ルベルは深刻そうな顔をしながらこれからの起こりうる最悪の展開を口にする。
「だとすれば、奴は証拠が無いのを理由に俺を無理矢理にでも宮廷魔法師団団長を降ろすのだろう」
「っ?!」
(そんな無茶苦茶な!)
「そして、お前が魔法を放った人物を『平民ではなく実は高位貴族の隠し子だった』として、お前に冤罪をかけるつもりなのだろう」
少しだけ面倒くさそうな顔をしながら説明をするルベルに、カトレアは益々悔しそうな顔をした。
「ですが!!」
「とは言っても、噂の真偽を問う場にお前を呼ぶことは無いだろな」
「それは、私が部下だからですよね?」
「それもあるが……1番は、お前が宰相閣下の娘の友人だからだ」
「えっ?」
(どうしてそこでダリアが出てくるの?)
顔を顰めながら首を傾げるカトレアに、少しだけ眉を顰めたルベルがカトレアを呼び出さない理由を口にする。
「要は、いくら自称切れ者宰相でも、溺愛しているらしい娘の機嫌を損ねるようなことをわざわざしたくなってことだ」
「……それはつまり、私はダリアの親友だから真偽の場に呼ばれないということでしょうか?」
「そういうことだ」
「っ!」
(そんな……そんな私的な理由で呼ばれないの?)
こみ上げてくる悔しさを押し殺すように、俯いたカトレアは下唇を噛むと拳を強く握る。
そんな彼女を見て、小さくため息をついたルベルは机に寄りかかると両腕を組む。
「とはいえ、俺が噂を肯定しようが否定しようが、俺は平民を危険に巻き込んだ挙句、その平民に危害を加えた罰としてあっという間に宮廷魔法師団団長の座を引きずり降ろされるだろうな」
「えっ!? どうしてルベル団長が立場を追われないといけないのですか!?」
(あの平民を危害を加えたのは紛れもなく私なのに!!)
顔を上げたカトレアが信じられないような目をルベルに向けると、再び彼女の華奢な両肩を掴んだルベルが盛大な溜息をつきながら宮廷魔法師団団長を引きずり下ろしたい理由を話す。
「あのバカ宰相のことだ。宰相である自分に対して一切尻尾を振らない俺を団長の座から引きずり降ろし、自分に忠実な誰かをお飾り団長に据えることで、王国騎士団だけではなく宮廷魔法師団も手中に収めたいのだろう」
「っ!?」
(宰相閣下が、宮廷魔法師団を手中に収める!? そもそも、宰相閣下が王国騎士団を手中に収めている!?)
宰相閣下の思惑を聞いて、カトレアが言葉を失っていると、彼女から離れたルベルが面倒くさそうに頭を掻く。
「って言っても、王国騎士団の方は団長があいつになったお陰で、今までみたいに王国騎士団を自分の意のままに動かすことが出来なくなったみたいだけどな」
「『あいつ』とは、フェビル団長のことでしょうか?」
「あぁ、そうだ。強力な魔物相手でも平気で無茶するあいつのことだ。頭の軽いバカ宰相相手に尻尾を振るわけがない」
(その証拠に、着任早々無茶なことをしたらしい)
小さく溜息をついたルベルは、カトレアに念押ししておく。
「言っておくが、俺が自ら宮廷魔法師団団長の座を降りるつもりは毛頭無いぞ。この地位でやりたいことはそれなりにあるからな」
「団長……」
(やっぱり、ルベル団長は素晴らしい人だわ!)
尊敬の眼差しを向けるカトレアに、ルベルは意地悪そうに笑った。
「だが、お前が自分の意志で『俺に代わって団長をしたい!』っていうなら話は別だが」
「そんな滅相な! 若輩者である今の私が、ルベル団長の後を引き継ぐ資格なんて一切ありません!」
「ハハッ、そうかそうか!!」
(まぁ、俺としては、お飾り副団長よりお前の方が俺の後に相応しいと思う)
「もう、そんなに笑わなくても良いじゃないですか!」
「あぁ、すまんすまん」
珍しく狼狽えるカトレアをルベルが一頻り笑った後、静かに笑みを潜めたルベルが不貞腐れているカトレアを見やる。
「でもまぁ、あのバカ宰相のことだ。宮廷魔法師の噂が出回っているこの機会をチャンスと捉え、何が何でも宮廷魔法師団を自分の手中に収めるつもりだろう」
「と言いますと?」
話を戻したルベルは、首を傾げるカトレアを真剣な表情で見つめる。
「俺は、お前が故意にやっていないと信じている。だが、お前が故意にやっていないという証拠はどこにもない」
「確かに、そうですね」
(言われてみれば、私が自分の意志で魔法を撃ったという証拠はどこにも無い。けれどそもそも、私が自分の意思でやったという証拠なんて見つかるはずがない)
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「だとすれば、奴は証拠が無いのを理由に俺を無理矢理にでも宮廷魔法師団団長を降ろすのだろう」
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