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第4章 記憶と思惑のフィアンツ帝国
第202話 帝国の歴史
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「まぁ、戦好きの愚帝がいても国が成り立ったのは、全て民のお陰なのですけどね」
(民がいたから、帝国は自滅することもなくあり続けることが出来た。だが……)
「ですが、民を省みない国は、どんな強国もいずれ滅びます。そのことを、皇帝陛下の息子である皇太子殿下は分かっていました」
「そうでしたか。当時の皇太子殿下は、何と言いますか……とても理性的な方だったのですね」
(てっきり、父君と同じ性格の方だと思いましたので)
「実は、殿下は学園を卒業した後、父君である皇帝陛下に代わって政を取り仕切っていたのです」
「はぁっ!?」
(父親に代わって政を取り仕切っていたのか!?)
開いた口が塞がらないラピスに、いつの間にか笑みを潜めたマクシェルは話を続けた。
「幼い頃から殿下は、国の政に一切関わらない父親を不審に思っていました。そうして、成長いくにつれて父親の愚かさに気づいた殿下は、学園在学中に宰相の補佐として、父親に内緒で国の政に積極的に関わっていったのです」
(幼い頃から聡明な方だったのか……まるで、マクシェル殿みたいな方だ)
「だからこそ、疲弊していく自国を一切省みず、他国との戦いに身をやつす皇帝に、殿下は危機感を覚えました。そして、殿下は皇帝に争いを止めるよう進言したのです。しかし……」
「皇帝陛下は、息子の意見に一切耳を傾けなかったのですね」
「はい。国をただいたずらに疲弊させる皇帝に、怒りを覚えた殿下は父親を打倒しようと、侵略した国の元首達と秘密裏に交渉をして力を借りたのです」
「えっ!?」
(侵略した国の元首達と話をしたのか!?)
驚いて目を見開くラピスに、マクシェルは小さく頷いた。
「元首達も最初は拒んだようですが、殿下がこれまでの歴代皇帝と違って政に関わっていたことを知り、更には殿下が心の底から国民を憂いていることに感化され、彼らは殿下に力を貸したのです」
「そうだったのですか」
「そして、元首達の力を借りた殿下は、自ら父君である皇帝陛下を討ったのです」
「自ら、父親を……」
(それが、国民を長い間、苦しめ続けた皇族としてのけじめなのだろうけれど……)
自らの手で父親を討ったと知り、ラピスは少しだけ気持ちが沈んだ。
そんな彼に、マクシェルは同情するように溜息をつくと口を開いた。
「殿下が皇帝として即位した後、手を貸してくれた元首達に対し、領土と国民を返そうとしました。ですが、元首達はこれを拒んだのです」
「えっ、どうしてですか?」
(ようやく、自国の領土と民が戻ってくるのに……)
「それは、皇帝に即位した殿下が、他の誰よりも国民を大事にしていることを知っていたからです」
「国民を大事に……」
「はい。実は、殿下に貸していた元首達もまた、歴代皇帝と同じように政にあまり関わっていなかったのです」
「っ!?」
(元首達もまた、帝国の歴代皇帝陛下と同じだったのか!)
啞然とするラピスを見て、マクシェルは思わず笑みを零した。
「だから、彼らは学生時代から政に関わり、国民のことを第一に思う殿下に全てを任せようと決断したみたいです」
「それって、国の面倒なことは全て皇帝に押し付けただけなのでは?」
不快そうにラピスが僅かに眉を顰めると、マクシェルは再び苦笑した。
「まぁ、有体に言えばそうなりますね。ですが、元首達が自国だった領土を帝国の領土として明け渡す際、自ら表立って国民達を説得しました。そして、帝国に明け渡した後、彼らは領主貴族として皇帝に忠誠を誓ったのです」
「そう、でしたか」
「はい。そのお陰で、領土拡大した後、帝国内で大きな混乱が起きませんでした」
(『全ては、国民第一の皇帝が理想とする帝国を実現して欲しいから』……血の歴史が書かれている本には、そんな元首達の皇帝に対する期待が記載されていた)
「皇帝もまた、元首達が大切にしていた国民を帝国民として受け入れ、平等に大切にしました。その皇帝の考えは今日まで引き継がれ、国民に目を向けた政を行った結果、帝国は目まぐるしい発展を遂げたのです」
「……では、王国と違って当たり前のように街に魔道具が溢れているのは、皇帝が今も帝国民を大切にしているからでしょうか?」
2人の会話を静かに聞いていたカトレアが不意に問いかけると、マクシェルは視線を帝都の街に向けたまま答えた。
「そう、ですね」
(正直、今の王国にも見習って欲しいが)
護衛の2人から美しい帝都の景色に視線を移したマクシェルの目は、どこか寂しそうな目をしていた。
(民がいたから、帝国は自滅することもなくあり続けることが出来た。だが……)
「ですが、民を省みない国は、どんな強国もいずれ滅びます。そのことを、皇帝陛下の息子である皇太子殿下は分かっていました」
「そうでしたか。当時の皇太子殿下は、何と言いますか……とても理性的な方だったのですね」
(てっきり、父君と同じ性格の方だと思いましたので)
「実は、殿下は学園を卒業した後、父君である皇帝陛下に代わって政を取り仕切っていたのです」
「はぁっ!?」
(父親に代わって政を取り仕切っていたのか!?)
開いた口が塞がらないラピスに、いつの間にか笑みを潜めたマクシェルは話を続けた。
「幼い頃から殿下は、国の政に一切関わらない父親を不審に思っていました。そうして、成長いくにつれて父親の愚かさに気づいた殿下は、学園在学中に宰相の補佐として、父親に内緒で国の政に積極的に関わっていったのです」
(幼い頃から聡明な方だったのか……まるで、マクシェル殿みたいな方だ)
「だからこそ、疲弊していく自国を一切省みず、他国との戦いに身をやつす皇帝に、殿下は危機感を覚えました。そして、殿下は皇帝に争いを止めるよう進言したのです。しかし……」
「皇帝陛下は、息子の意見に一切耳を傾けなかったのですね」
「はい。国をただいたずらに疲弊させる皇帝に、怒りを覚えた殿下は父親を打倒しようと、侵略した国の元首達と秘密裏に交渉をして力を借りたのです」
「えっ!?」
(侵略した国の元首達と話をしたのか!?)
驚いて目を見開くラピスに、マクシェルは小さく頷いた。
「元首達も最初は拒んだようですが、殿下がこれまでの歴代皇帝と違って政に関わっていたことを知り、更には殿下が心の底から国民を憂いていることに感化され、彼らは殿下に力を貸したのです」
「そうだったのですか」
「そして、元首達の力を借りた殿下は、自ら父君である皇帝陛下を討ったのです」
「自ら、父親を……」
(それが、国民を長い間、苦しめ続けた皇族としてのけじめなのだろうけれど……)
自らの手で父親を討ったと知り、ラピスは少しだけ気持ちが沈んだ。
そんな彼に、マクシェルは同情するように溜息をつくと口を開いた。
「殿下が皇帝として即位した後、手を貸してくれた元首達に対し、領土と国民を返そうとしました。ですが、元首達はこれを拒んだのです」
「えっ、どうしてですか?」
(ようやく、自国の領土と民が戻ってくるのに……)
「それは、皇帝に即位した殿下が、他の誰よりも国民を大事にしていることを知っていたからです」
「国民を大事に……」
「はい。実は、殿下に貸していた元首達もまた、歴代皇帝と同じように政にあまり関わっていなかったのです」
「っ!?」
(元首達もまた、帝国の歴代皇帝陛下と同じだったのか!)
啞然とするラピスを見て、マクシェルは思わず笑みを零した。
「だから、彼らは学生時代から政に関わり、国民のことを第一に思う殿下に全てを任せようと決断したみたいです」
「それって、国の面倒なことは全て皇帝に押し付けただけなのでは?」
不快そうにラピスが僅かに眉を顰めると、マクシェルは再び苦笑した。
「まぁ、有体に言えばそうなりますね。ですが、元首達が自国だった領土を帝国の領土として明け渡す際、自ら表立って国民達を説得しました。そして、帝国に明け渡した後、彼らは領主貴族として皇帝に忠誠を誓ったのです」
「そう、でしたか」
「はい。そのお陰で、領土拡大した後、帝国内で大きな混乱が起きませんでした」
(『全ては、国民第一の皇帝が理想とする帝国を実現して欲しいから』……血の歴史が書かれている本には、そんな元首達の皇帝に対する期待が記載されていた)
「皇帝もまた、元首達が大切にしていた国民を帝国民として受け入れ、平等に大切にしました。その皇帝の考えは今日まで引き継がれ、国民に目を向けた政を行った結果、帝国は目まぐるしい発展を遂げたのです」
「……では、王国と違って当たり前のように街に魔道具が溢れているのは、皇帝が今も帝国民を大切にしているからでしょうか?」
2人の会話を静かに聞いていたカトレアが不意に問いかけると、マクシェルは視線を帝都の街に向けたまま答えた。
「そう、ですね」
(正直、今の王国にも見習って欲しいが)
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