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第4章 記憶と思惑のフィアンツ帝国
第204話 マクシェルからの依頼
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「何ですか、これ?」
心底不機嫌なカトレアは、マクシェルから差し出された封筒を一瞥し、更に眉を顰めた。
「マーザス殿に届けてもらう手紙とこちらの研究所内の地図です」
「手紙と地図ですか?」
(そう言えば、王都を出立する前にルベル団長から研究所の地図をもらっていなかったわね)
四つ折りにされた紙が地図だと理解したカトレアは、その隣にいる手紙に目を向けた。
「地図の方は理解出来ましたが、こちらの手紙は?」
「はい。こちらの手紙ですが……実は、ただの手紙ではありません」
「はっ?」
不審がるカトレアに、マクシェルは封筒をそっと裏返した。
「こちらは、帝国からあなた方宮廷魔法師団宛に来た依頼を完遂させるために、特別にご用意したものでございます」
「っ!?」
(これって、王家の方々しか使えない朱印!?)
マクシェルが裏返した封筒には、王族にしか使うことが許されていない朱印が押されていた。
「本来でしたら、宮廷魔法師団長の名前を出すだけで良いのかもしれませんが……『念の為に』と陛下からの勅命を受けて渡されたものです」
「…………」
『帝国への派遣には、監視役として陛下から勅命を受けた下級文官が同行する』
「あなた様が陛下から受けた勅命は、私たちの監視役だけではなかったのですか?」
「はい。実は、こちらの手紙を使い向かわれる宮廷魔法師……特に、天才魔法師様であるあなた方に渡すのもまた、陛下からの勅命なのです」
「私に?」
「はい。陛下から『出来れば、天才魔法師様に渡して欲しい』とお願いされましたので」
(つまり、陛下としては、天才魔法師である私に預かり物を受け取る任務をして欲しかったのね)
人の良さそうな笑みを浮かべるマクシェルに、カトレアは渋々納得するとマクシェルから手紙が入った封筒を受け取り、そのまま懐に入れた。
「ちなみに、このことを団長はご存知なのですか? 出立前に手紙のことは一切言われていないのですが……」
「恐らく、ご存知なのではないでしょうか。陛下からこちらの手紙を受け取った際、『ルベル団長には伝えてある』とおっしゃられていましたから」
「そう、ですか……」
(それじゃあ、単にルベル団長が伝え忘れたってことなのかしら? あのいい加減だけどしっかり者の団長にしては、やけに珍しいミスだけど)
宮廷魔法師達を纏める長らしからぬミスに、カトレアはモヤモヤを感じながらマクシェルに背を向けた。
「行くわよ、ラピス。あの方なら、帝国騎士に任せておけばいいんでしょ?」
「あっ、あぁ……そうだな。それでは、マクシェル殿」
「はい。今日中には宿に戻りますので」
にこやかな笑みで手を振るマクシェルに、困惑するラピスとは反対に彼に一切目を向けなかったカトレアは小さく拳を握った。
「……ということですので、帝国の魔法研究所に入ったら、俺とカトレアはマーザス・アラウェイ様から目的の杖を受け取ってきます」
帝国騎士と共に城に行ったマクシェルからカトレアに手紙を渡された後、ラピスは他の騎士や宮廷魔法師、研究者達に事情を話した。
「分かった。こっちは、俺たち王国騎士と宮廷魔法師達で研究者達を護衛するから、お前はカトレア様と共に杖を受け取ってこい!」
「ハッ!」
頼りになる先輩騎士から背中を押されたラピスは、帝国の魔法研究所に入るとカトレアと共に一行から離れた。
そして、渡された地図を頼りに、研究者達が行ったルートとは反対のルートを歩いた。
「全く、どうして私じゃなくて、あのワケアリ下級文官が城に呼ばれたのよ! あの場合、普通は私が呼ばれるんじゃないの!?」
(だって私、王国では天才魔法師って呼ばれているんだから!)
白一色に統一された研究所内をずかずかと歩くカトレアの後ろを、ラピスは再び呆れたような溜息をつきながら歩いていた。
「仕方ないだろ。お前には、王国から派遣された宮廷魔法師として『マーザス・アラウェイ氏から、預かり物である杖を受け取る』という任務があるのだから」
「でも!!」
(よく考えたら、杖を受け取るのって私じゃなくても良かったじゃない! 陛下も『出来れば』っておっしゃっていたみたいだし!)
膨れっ面のカトレアに、ラピスは呆れたように溜息をついた。
「それに、それを言うなら、あの帝国騎士にマクシェル殿を城まで連れてくるよう命令した人に言ってくれ」
「っ!? そんなの……」
(分かっているわよ、それくらい)
心底不機嫌なカトレアは、マクシェルから差し出された封筒を一瞥し、更に眉を顰めた。
「マーザス殿に届けてもらう手紙とこちらの研究所内の地図です」
「手紙と地図ですか?」
(そう言えば、王都を出立する前にルベル団長から研究所の地図をもらっていなかったわね)
四つ折りにされた紙が地図だと理解したカトレアは、その隣にいる手紙に目を向けた。
「地図の方は理解出来ましたが、こちらの手紙は?」
「はい。こちらの手紙ですが……実は、ただの手紙ではありません」
「はっ?」
不審がるカトレアに、マクシェルは封筒をそっと裏返した。
「こちらは、帝国からあなた方宮廷魔法師団宛に来た依頼を完遂させるために、特別にご用意したものでございます」
「っ!?」
(これって、王家の方々しか使えない朱印!?)
マクシェルが裏返した封筒には、王族にしか使うことが許されていない朱印が押されていた。
「本来でしたら、宮廷魔法師団長の名前を出すだけで良いのかもしれませんが……『念の為に』と陛下からの勅命を受けて渡されたものです」
「…………」
『帝国への派遣には、監視役として陛下から勅命を受けた下級文官が同行する』
「あなた様が陛下から受けた勅命は、私たちの監視役だけではなかったのですか?」
「はい。実は、こちらの手紙を使い向かわれる宮廷魔法師……特に、天才魔法師様であるあなた方に渡すのもまた、陛下からの勅命なのです」
「私に?」
「はい。陛下から『出来れば、天才魔法師様に渡して欲しい』とお願いされましたので」
(つまり、陛下としては、天才魔法師である私に預かり物を受け取る任務をして欲しかったのね)
人の良さそうな笑みを浮かべるマクシェルに、カトレアは渋々納得するとマクシェルから手紙が入った封筒を受け取り、そのまま懐に入れた。
「ちなみに、このことを団長はご存知なのですか? 出立前に手紙のことは一切言われていないのですが……」
「恐らく、ご存知なのではないでしょうか。陛下からこちらの手紙を受け取った際、『ルベル団長には伝えてある』とおっしゃられていましたから」
「そう、ですか……」
(それじゃあ、単にルベル団長が伝え忘れたってことなのかしら? あのいい加減だけどしっかり者の団長にしては、やけに珍しいミスだけど)
宮廷魔法師達を纏める長らしからぬミスに、カトレアはモヤモヤを感じながらマクシェルに背を向けた。
「行くわよ、ラピス。あの方なら、帝国騎士に任せておけばいいんでしょ?」
「あっ、あぁ……そうだな。それでは、マクシェル殿」
「はい。今日中には宿に戻りますので」
にこやかな笑みで手を振るマクシェルに、困惑するラピスとは反対に彼に一切目を向けなかったカトレアは小さく拳を握った。
「……ということですので、帝国の魔法研究所に入ったら、俺とカトレアはマーザス・アラウェイ様から目的の杖を受け取ってきます」
帝国騎士と共に城に行ったマクシェルからカトレアに手紙を渡された後、ラピスは他の騎士や宮廷魔法師、研究者達に事情を話した。
「分かった。こっちは、俺たち王国騎士と宮廷魔法師達で研究者達を護衛するから、お前はカトレア様と共に杖を受け取ってこい!」
「ハッ!」
頼りになる先輩騎士から背中を押されたラピスは、帝国の魔法研究所に入るとカトレアと共に一行から離れた。
そして、渡された地図を頼りに、研究者達が行ったルートとは反対のルートを歩いた。
「全く、どうして私じゃなくて、あのワケアリ下級文官が城に呼ばれたのよ! あの場合、普通は私が呼ばれるんじゃないの!?」
(だって私、王国では天才魔法師って呼ばれているんだから!)
白一色に統一された研究所内をずかずかと歩くカトレアの後ろを、ラピスは再び呆れたような溜息をつきながら歩いていた。
「仕方ないだろ。お前には、王国から派遣された宮廷魔法師として『マーザス・アラウェイ氏から、預かり物である杖を受け取る』という任務があるのだから」
「でも!!」
(よく考えたら、杖を受け取るのって私じゃなくても良かったじゃない! 陛下も『出来れば』っておっしゃっていたみたいだし!)
膨れっ面のカトレアに、ラピスは呆れたように溜息をついた。
「それに、それを言うなら、あの帝国騎士にマクシェル殿を城まで連れてくるよう命令した人に言ってくれ」
「っ!? そんなの……」
(分かっているわよ、それくらい)
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