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第4章 記憶と思惑のフィアンツ帝国
特別編 感謝と飴と甘い貴方(中編)
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「とても綺麗な色をしていますね」
(無色透明な飴玉なんて、今まで見たことが無いわ)
「そうかい。俺にはそれが、お貴族様が好きそうな宝石より綺麗だなんて思わないが」
「……まぁ、そうかもしれませんね」
(でも、今の私には宝石と同じ……いや、それ以上に綺麗に見えるわ)
初めて見た飴玉に僅かに口角を上げると、目が覚めるような匂いが鼻腔を擽った。
「この匂い……確かに、お子様達が好きそうな匂いではありません」
(何と言うか、嗅いだだけで目が覚めるようなスッキリとした香りがするわ)
一瞬苦笑いを浮かべた私に、店主様は頬杖をつきながらニヤリと笑った。
「だろ? ちなみに、その匂いは魔物が嫌いな匂いらしく、それもあって大半の冒険者はクエストに行く前にこれを舐めるんだ」
「そうなのですね」
そう言って、無色透明の飴玉を包み紙の中に戻した私は、後で食べようとズボンのポケットに入れた。
「今日は、新しいものに出会えた気がするわ」
店主様の店を後にした私は、魔石の入った袋を片手に持つと、ポケットに入れていた飴玉を取り出した。
(無色透明で魔物避けにもなる飴玉……こんなものがあるなんて知らなかったわ)
「一体、どんな味がするのか楽しみだわ」
(魔物が嫌いってことは、もしかすると動物も嫌いな匂いかもしれないわね)
「だとしたら、これを食べるのは家に帰ってからよね」
無造作に包装された飴玉に、小さく笑みを浮かべた私がポケットに飴玉を戻そうしたその時、突然小さな両手が視界に入ってきた。
「木こりのお兄ちゃん! その飴、僕にちょうだい!」
「……えっ?」
飴玉に気を取られていた私は、目の前に現れた、貴族令息らしき男の子が言っている言葉の意味が一瞬理解出来なかった。
すると、何かを思い出した男の子が、ニコニコとした笑みを少しだけ潜めると、姿勢を正して両手を差し出した。
「アテナ様、いつも僕たちを守ってくれてありがとうございます。だから、飴をください」
「あっ……」
(そう言えば、今日はアテナ様に感謝を伝える日だったわね。でも……)
『アテナ様』という言葉で、ようやく理解した私は自分の格好を見て一瞬だけ眉を顰めると、無表情で男の子の前にしゃがんだ。
「あのね。飴を貰うには、真っ白なマントを着た大人の人にアテナ様への感謝を伝えないといけないんだよ?」
「でも、木こりのお兄ちゃん、飴を持っているよね? それって、僕にあげてもいい飴だよね?」
(どうやら、飴が貰えば何でもいいらしい。既に、片手に持っている袋には溢れるばかりの飴を持っているのに)
『目の前にいる男の子の親に、一体どんな教育をしているのか教えて欲しい』と内心呆れかえりつつ、キラキラした目で返事を待っている男の子に視線を向けると、持っていた飴を見せた。
「これ、甘くない飴だけどいいの?」
「うん、いいよ!」
(本当に、良いのかしら? まぁ、この子がいいならいいわよね)
元気よく返事をした男の子に、一瞬だけ苦笑した私は手の中にある飴を男の子にあげようとした。
だが……
パシン!!
「っ!?」
「こらっ! そんな卑しい身分の者から飴なんて貰っちゃダメでしょう! そんな物を貰ってしまっては、あなたまで卑しい身分に落とされるじゃない!」
そう言って、男の子から飴ごと私の手を扇子で振り払ったのは、男の子の母親とされる厚化粧に豪華なドレスを着た女性だった。
「あ~あ、折角お気に入りの扇子が……まぁ、良いわ」
飴を貰えなくてしょんぼりしている子どもより扇子を心配した母親は、傍にいた侍女らしきメイドに扇子を渡した。
「これ、卑しい身分の下人にあげてちょうだい。こんな穢わらしい物、持ちたくないもの」
「かしこまりました」
深々と頭を下げたメイドは、母親から扇子を預かった。
すると、蔑んだ目で私を見た母親が下卑た笑みを浮かべた。
(無色透明な飴玉なんて、今まで見たことが無いわ)
「そうかい。俺にはそれが、お貴族様が好きそうな宝石より綺麗だなんて思わないが」
「……まぁ、そうかもしれませんね」
(でも、今の私には宝石と同じ……いや、それ以上に綺麗に見えるわ)
初めて見た飴玉に僅かに口角を上げると、目が覚めるような匂いが鼻腔を擽った。
「この匂い……確かに、お子様達が好きそうな匂いではありません」
(何と言うか、嗅いだだけで目が覚めるようなスッキリとした香りがするわ)
一瞬苦笑いを浮かべた私に、店主様は頬杖をつきながらニヤリと笑った。
「だろ? ちなみに、その匂いは魔物が嫌いな匂いらしく、それもあって大半の冒険者はクエストに行く前にこれを舐めるんだ」
「そうなのですね」
そう言って、無色透明の飴玉を包み紙の中に戻した私は、後で食べようとズボンのポケットに入れた。
「今日は、新しいものに出会えた気がするわ」
店主様の店を後にした私は、魔石の入った袋を片手に持つと、ポケットに入れていた飴玉を取り出した。
(無色透明で魔物避けにもなる飴玉……こんなものがあるなんて知らなかったわ)
「一体、どんな味がするのか楽しみだわ」
(魔物が嫌いってことは、もしかすると動物も嫌いな匂いかもしれないわね)
「だとしたら、これを食べるのは家に帰ってからよね」
無造作に包装された飴玉に、小さく笑みを浮かべた私がポケットに飴玉を戻そうしたその時、突然小さな両手が視界に入ってきた。
「木こりのお兄ちゃん! その飴、僕にちょうだい!」
「……えっ?」
飴玉に気を取られていた私は、目の前に現れた、貴族令息らしき男の子が言っている言葉の意味が一瞬理解出来なかった。
すると、何かを思い出した男の子が、ニコニコとした笑みを少しだけ潜めると、姿勢を正して両手を差し出した。
「アテナ様、いつも僕たちを守ってくれてありがとうございます。だから、飴をください」
「あっ……」
(そう言えば、今日はアテナ様に感謝を伝える日だったわね。でも……)
『アテナ様』という言葉で、ようやく理解した私は自分の格好を見て一瞬だけ眉を顰めると、無表情で男の子の前にしゃがんだ。
「あのね。飴を貰うには、真っ白なマントを着た大人の人にアテナ様への感謝を伝えないといけないんだよ?」
「でも、木こりのお兄ちゃん、飴を持っているよね? それって、僕にあげてもいい飴だよね?」
(どうやら、飴が貰えば何でもいいらしい。既に、片手に持っている袋には溢れるばかりの飴を持っているのに)
『目の前にいる男の子の親に、一体どんな教育をしているのか教えて欲しい』と内心呆れかえりつつ、キラキラした目で返事を待っている男の子に視線を向けると、持っていた飴を見せた。
「これ、甘くない飴だけどいいの?」
「うん、いいよ!」
(本当に、良いのかしら? まぁ、この子がいいならいいわよね)
元気よく返事をした男の子に、一瞬だけ苦笑した私は手の中にある飴を男の子にあげようとした。
だが……
パシン!!
「っ!?」
「こらっ! そんな卑しい身分の者から飴なんて貰っちゃダメでしょう! そんな物を貰ってしまっては、あなたまで卑しい身分に落とされるじゃない!」
そう言って、男の子から飴ごと私の手を扇子で振り払ったのは、男の子の母親とされる厚化粧に豪華なドレスを着た女性だった。
「あ~あ、折角お気に入りの扇子が……まぁ、良いわ」
飴を貰えなくてしょんぼりしている子どもより扇子を心配した母親は、傍にいた侍女らしきメイドに扇子を渡した。
「これ、卑しい身分の下人にあげてちょうだい。こんな穢わらしい物、持ちたくないもの」
「かしこまりました」
深々と頭を下げたメイドは、母親から扇子を預かった。
すると、蔑んだ目で私を見た母親が下卑た笑みを浮かべた。
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