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第4章 記憶と思惑のフィアンツ帝国
特別編 感謝と飴と甘い貴方(後編)
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「あ~あ、可愛い息子を誑かしたこの卑しい身分の人間なんて、魔法で消し炭にしてもいいわよね?」
そう言うと、母親は私に向かって手を翳した。
「っ!?」
(バカじゃないの!? ここには、私だけじゃなくてあなたの息子もいるわよ!)
「アハハッ! それじゃあ、息子を誑かした罪、死んで償いなさい!」
恐怖で震えている息子が一切見えていない母親に、小さく唇を噛んだ私は携えていたレイピアの柄を持った。
その時、母親の後ろから聞き覚えのある声が聞えた。
「ご婦人、国王陛下のお膝元であるこの王都では、騎士や宮廷魔法師以外の者は、魔法の使用が禁じられていますよ」
「「「っ!?」」」
(メスト様!)
私を含めてその場にいた3人が驚いて、声が聞えた方を見ると、そこには銀色の鎧に身を包んだメスト様が立っていた。
「カミル、大丈夫だったか?」
駆けつけたメスト様に私が事情を話すと、魔法を使用する前ということもあり、母親はメスト様から厳重注意を受けた。
すると、不機嫌そうな顔をした母親は、私を睨みつけると、そそくさと息子の手を取って貴族街のある王都の中心地へと帰っていった。
「えっ、えぇ……あなた様が来たお陰で」
無表情で答えた私に、メスト様は安堵の溜息をつくと親子が帰って行った方角に目をやった。
「全く、今日はアリアに感謝を伝える日だから、貴族街には多くの菓子店が豪華な露店を開いていて、ここ商業街の店は軒並み閉店しているというのに、どうしてここに来たのか……こうなるなら、フェビルの団長のおっしゃった通り、今日だけ貴族街に繋がる門を閉じれば良かった」
「…………」
(そんな過激なことを考えていたのね。本当、相変わらずで何よりだわ)
フェビル団長の無茶に内心苦笑していると、メスト様の視線がポケットに向かった。
「それで、そのポケットに入っているのが、魔石屋の親父から貰った飴なのか?」
「あっ、はい。そうです」
メスト様に言われてポケットから飴玉を2つ取り出した。
すると、メスト様が飴玉を1つとって中身を空けた。
「見た目からして普通の飴玉だが……匂ってくるものは俺が知っている甘い飴ではないな」
「はい。何でも『ハッカ』と呼ばれる葉で作られた飴らしく、魔除けの効果もあるみたいで、大半の冒険者の皆様がクエストに行く前に舐めるそうです」
「へぇ~、そんな物があるなんて知らなかった」
感心深く飴玉を見ていたメスト様に、私は考え無しに言った。
「それ、差し上げますよ」
「えっ?」
メスト様の意外そうな顔を見た瞬間、私は自分の言ったことを酷く後悔した。
(何を言っているのよ! ただの平民の食べ物を、メスト様のお口に合うわけがないじゃない!)
「あっ、あの、今の言葉は忘れて……」
「いや」
嬉しそうな笑みを浮かべたメスト様は、大事そうに飴玉を包み紙の中に戻すと大きな手の中に入れた。
「俺も『ハッカ』という葉で作られた飴がどんな味がするのか、気になるから食べてみたい。それに……」
懐に入れたメスト様が、優しく微笑みかけた。
「カミルから初めて貰った物だ。これを返すなんて、出来るはずがないだろ?」
「っ!?」
(本当、あなたって方は……)
人通りがほとんどない道の真ん中で、私は彼の甘い飴よりも遥かに甘い言葉と笑顔で胸焼けしそうになった。
そう言うと、母親は私に向かって手を翳した。
「っ!?」
(バカじゃないの!? ここには、私だけじゃなくてあなたの息子もいるわよ!)
「アハハッ! それじゃあ、息子を誑かした罪、死んで償いなさい!」
恐怖で震えている息子が一切見えていない母親に、小さく唇を噛んだ私は携えていたレイピアの柄を持った。
その時、母親の後ろから聞き覚えのある声が聞えた。
「ご婦人、国王陛下のお膝元であるこの王都では、騎士や宮廷魔法師以外の者は、魔法の使用が禁じられていますよ」
「「「っ!?」」」
(メスト様!)
私を含めてその場にいた3人が驚いて、声が聞えた方を見ると、そこには銀色の鎧に身を包んだメスト様が立っていた。
「カミル、大丈夫だったか?」
駆けつけたメスト様に私が事情を話すと、魔法を使用する前ということもあり、母親はメスト様から厳重注意を受けた。
すると、不機嫌そうな顔をした母親は、私を睨みつけると、そそくさと息子の手を取って貴族街のある王都の中心地へと帰っていった。
「えっ、えぇ……あなた様が来たお陰で」
無表情で答えた私に、メスト様は安堵の溜息をつくと親子が帰って行った方角に目をやった。
「全く、今日はアリアに感謝を伝える日だから、貴族街には多くの菓子店が豪華な露店を開いていて、ここ商業街の店は軒並み閉店しているというのに、どうしてここに来たのか……こうなるなら、フェビルの団長のおっしゃった通り、今日だけ貴族街に繋がる門を閉じれば良かった」
「…………」
(そんな過激なことを考えていたのね。本当、相変わらずで何よりだわ)
フェビル団長の無茶に内心苦笑していると、メスト様の視線がポケットに向かった。
「それで、そのポケットに入っているのが、魔石屋の親父から貰った飴なのか?」
「あっ、はい。そうです」
メスト様に言われてポケットから飴玉を2つ取り出した。
すると、メスト様が飴玉を1つとって中身を空けた。
「見た目からして普通の飴玉だが……匂ってくるものは俺が知っている甘い飴ではないな」
「はい。何でも『ハッカ』と呼ばれる葉で作られた飴らしく、魔除けの効果もあるみたいで、大半の冒険者の皆様がクエストに行く前に舐めるそうです」
「へぇ~、そんな物があるなんて知らなかった」
感心深く飴玉を見ていたメスト様に、私は考え無しに言った。
「それ、差し上げますよ」
「えっ?」
メスト様の意外そうな顔を見た瞬間、私は自分の言ったことを酷く後悔した。
(何を言っているのよ! ただの平民の食べ物を、メスト様のお口に合うわけがないじゃない!)
「あっ、あの、今の言葉は忘れて……」
「いや」
嬉しそうな笑みを浮かべたメスト様は、大事そうに飴玉を包み紙の中に戻すと大きな手の中に入れた。
「俺も『ハッカ』という葉で作られた飴がどんな味がするのか、気になるから食べてみたい。それに……」
懐に入れたメスト様が、優しく微笑みかけた。
「カミルから初めて貰った物だ。これを返すなんて、出来るはずがないだろ?」
「っ!?」
(本当、あなたって方は……)
人通りがほとんどない道の真ん中で、私は彼の甘い飴よりも遥かに甘い言葉と笑顔で胸焼けしそうになった。
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