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第4章 記憶と思惑のフィアンツ帝国
第244話 婚約者の行方
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それは、レクシャとマーザスが謁見の間を後にする少し前のこと。
「ところでレクシャ」
「はい。何でしょう?」
「我が娘の婚約者殿はどうなっている? まさか、あの愚か者に殺されたなんてことはないだろうな?」
冗談っぽく娘の婚約者のことを聞いた瞬間、レクシャの顔が強張った。
「レクシャ、まさか……」
(本当に、あの愚か者に殺されたのか?)
レクシャの表情を見た皇帝がゆっくりと玉座から立ち上がった瞬間、レクシャが慌てて首を横に振った。
「いっ、いえ! 皇女殿下の婚約者であらせられる、我が国の王太子殿下は生きております!」
「そっ、そうか……」
(良かった。もしものことがあれば、娘に何と話せばよいか)
力が抜けたように玉座に座った皇帝を見て、レクシャは悔しそうな顔をすると拳を握った。
「ですが現在、ノルベルトの改竄魔法で存在が抹消されているのです」
「……はっ?」
(存在が抹消されている? 一体どういうことだ?)
「実は、ノルベルトが国民に改竄魔法をかける直前、ノルベルトは王太子殿下を消そうとしました」
「っ!? それはなぜだ?」
「簡単です。国を乗っ取るのに邪魔だったからです」
「邪魔?」
眉を顰めた皇帝に、レクシャは静かに目を伏せた。
「我が国の国王陛下と王妃様には、王太子殿下と王女殿下の2人のお子がいます」
「あぁ、それは皇帝として知っている」
(実際、何度か顔も合わせたこともあるからな)
「そして、王女殿下と我が長男は婚約者同士であったのですが……」
「っ!? まさか……」
愕然とする皇帝を一瞥したレクシャは、強く拳を握った。
「確実に国を自分の手中に収めたいノルベルトは、王太子殿下を暗殺し、改竄魔法で王太子殿下の存在を消すのと同時に、王女殿下の婚約者としての立場を我が長男から自分の息子に置き換えようとしたのです」
「っ!!」
(そこまで、そこまでして世界征服をしたいのか? その愚か者は)
「このことを知った国王陛下は、王太子殿下をとある貴族の家に身を潜ませると、我が国の重犯罪人を殿下の身代わりとしたのです」
「……では、我が娘の婚約者は現在、その貴族の家に身を潜ませているというのか?」
「はい」
レクシャから話を聞いた皇帝は、天を仰ぐように深いため息をつくと、レクシャに視線を戻した。
「答えろ、レクシャ・サザランス」
「はい、皇帝陛下」
静かに答えるレクシャに、皇帝は怒気を帯びた声で問い質した。
「我が娘の婚約者は今、どこの貴族の家にいる?」
(あの愚か者が当主をしている家と口にした瞬間、問答無用で王国に攻め入ってやる)
皇帝から発せられる殺気と威圧に、謁見の間にいる人間全員が息をすることも許されない空気でいる中、ゆっくりと顔を上げたレクシャが淡々と答えた。
「『王国の剣』であるヴィルマン侯爵家の領内にある屋敷で、執事ジルとして身を潜ませております」
「ところでレクシャ」
「はい。何でしょう?」
「我が娘の婚約者殿はどうなっている? まさか、あの愚か者に殺されたなんてことはないだろうな?」
冗談っぽく娘の婚約者のことを聞いた瞬間、レクシャの顔が強張った。
「レクシャ、まさか……」
(本当に、あの愚か者に殺されたのか?)
レクシャの表情を見た皇帝がゆっくりと玉座から立ち上がった瞬間、レクシャが慌てて首を横に振った。
「いっ、いえ! 皇女殿下の婚約者であらせられる、我が国の王太子殿下は生きております!」
「そっ、そうか……」
(良かった。もしものことがあれば、娘に何と話せばよいか)
力が抜けたように玉座に座った皇帝を見て、レクシャは悔しそうな顔をすると拳を握った。
「ですが現在、ノルベルトの改竄魔法で存在が抹消されているのです」
「……はっ?」
(存在が抹消されている? 一体どういうことだ?)
「実は、ノルベルトが国民に改竄魔法をかける直前、ノルベルトは王太子殿下を消そうとしました」
「っ!? それはなぜだ?」
「簡単です。国を乗っ取るのに邪魔だったからです」
「邪魔?」
眉を顰めた皇帝に、レクシャは静かに目を伏せた。
「我が国の国王陛下と王妃様には、王太子殿下と王女殿下の2人のお子がいます」
「あぁ、それは皇帝として知っている」
(実際、何度か顔も合わせたこともあるからな)
「そして、王女殿下と我が長男は婚約者同士であったのですが……」
「っ!? まさか……」
愕然とする皇帝を一瞥したレクシャは、強く拳を握った。
「確実に国を自分の手中に収めたいノルベルトは、王太子殿下を暗殺し、改竄魔法で王太子殿下の存在を消すのと同時に、王女殿下の婚約者としての立場を我が長男から自分の息子に置き換えようとしたのです」
「っ!!」
(そこまで、そこまでして世界征服をしたいのか? その愚か者は)
「このことを知った国王陛下は、王太子殿下をとある貴族の家に身を潜ませると、我が国の重犯罪人を殿下の身代わりとしたのです」
「……では、我が娘の婚約者は現在、その貴族の家に身を潜ませているというのか?」
「はい」
レクシャから話を聞いた皇帝は、天を仰ぐように深いため息をつくと、レクシャに視線を戻した。
「答えろ、レクシャ・サザランス」
「はい、皇帝陛下」
静かに答えるレクシャに、皇帝は怒気を帯びた声で問い質した。
「我が娘の婚約者は今、どこの貴族の家にいる?」
(あの愚か者が当主をしている家と口にした瞬間、問答無用で王国に攻め入ってやる)
皇帝から発せられる殺気と威圧に、謁見の間にいる人間全員が息をすることも許されない空気でいる中、ゆっくりと顔を上げたレクシャが淡々と答えた。
「『王国の剣』であるヴィルマン侯爵家の領内にある屋敷で、執事ジルとして身を潜ませております」
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