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第4章 記憶と思惑のフィアンツ帝国
第250話 悪夢(後編)
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※レクシャ視点です。また、残虐シーンが出てきますのでご注意ください。
「貴様、こんなことをしてただで済むと思っているのか!」
(いくら『王国の陰』と言われているインベック家でも、現宰相である私に危害を加えたとあれば無事では済まないぞ!)
日が昇ってすぐの爽やかな空の下、ノルベルトを見た私はたまらず声を荒げる。
すると、王城前にノルベルトの貴族とは思えない品の無い高笑いが響き渡った。
「ギャハハハッ! 私の駒にあっさりと捕まった愚民に言われても、何の説得力もありませんね!」
「っ!!」
ノルベルトの言葉に下唇を噛んだ私は、そっと周りを見回した。
(私とマーティス以外の人間は、全員ノルベルトの傀儡と化しているのか……まずいな、私一人ならまだしも、マーティスまで傀儡にされるわけにはいかない)
「安心してください。そこにいる御者も、遅かれ早かれ私の傀儡になります」
「っ!」
私の視線に気づいたのか、満足げな笑みを浮かべたノルベルトが私に顔を寄せる。
「さて、あなたにお願いがあります」
「何だ?」
(どうせ、ろくでもないお願いなのだろうが)
警戒心を強める私に、下卑た笑みのノルベルトが人差し指を立てた。
「私に、宰相の座を明け渡してください」
「っ!? そんなこと、出来るわけ……」
「まっ、あなたが間髪入れずに断るのは分かっていたので」
そう言って顔を離したノルベルトが、意味あり気な笑みを浮かべる。
「取引をしましょう」
「取引だと?」
「そう、取引です」
『取引』という言葉を聞いた瞬間、私は自分にとって大切なものが天秤にかけられたのだと悟る。
(強欲なこいつが、まともな取引なんてするはずがない)
そして、その勘は間違っていなかった。
「あなたが宰相の座を明け渡せば、家族には一切手を出しません」
「っ!?」
「ただし、あなたが明け渡さなければ……」
楽し気に嗤うノルベルトが、親指を立てると自分の首に横一線を引いた。
「家族もろとも公開処刑をした上で、サザランス公爵家を『ペトロート王国の最大の汚点』として没落させましょう」
「っ!!!!」
ノルベルトの口から『家族』という言葉が出た瞬間、頭の中が真っ白になり、体を巡る血が通っていない感覚に陥った。
(家族を手にかける、だと?)
すると、顔面蒼白の私を見たノルベルトが再び下品な笑い声を上げる。
「ギャハハハハハッ! そうだよ! あんたのそういう絶望した顔が見たかったんだよ!」
「っ!! ノルベルト、貴様ぁ!!!!」
「おっと」
「グハッ!!」
「マーティス!」
ノルベルトに噛みつこうとした時、横からマーティスの呻き声が聞こえた。
慌てて横を見ると、虚ろな目の騎士が組み敷いているマーティスの片手に剣を突き立てていた。
「だっ、大丈夫です! 旦那様、私のことは構わず……」
「おやおや、こんなことを言っても良いのですかねぇ?」
「ギャーー!!」
「マーティス!!」
突き立てられた剣に片手を抉られて、涙を流しながら痛みに耐えるマーティス。
そんな彼を見て憎悪の感情に駆られた私は、鬼の形相でノルベルトを睨みつけた。
「ギャハハハハハッ!! 良いね! 良いですねぇ! あなたのそんな余裕の無い顔! それを国民の前で……そして、あなたの目の前で家族がしていたら、一体あなたはどんな顔をしてくれるですかねぇ!!」
「貴様――――!!!」
(許さない! 絶対に許さない!! 例え、国王陛下が許したとしても、私だけでは絶対許すものか!!!)
楽しそうに嗤うノルベルトに一発くれてやろうと、騎士の拘束から逃れるために必死に体を捩じる。
だが、鉛のように重い騎士から逃れることは出来ない。
(クソッ! これが、拘束魔法だったら私の無効化魔法で打ち消すことが出来た!)
代々、サザランス公爵家に伝わるあらゆる魔法を無効化する魔法。
その魔法が使えないことを歯がゆく思っていると、心底楽しそうに笑っていたノルベルトが突如その笑みを潜める。
そして、再び顔を近づけてきた。
「さぁ、お前が最も愛する家族があの御者のような酷い目に遭いたくなければ、さっさと宰相の座を返せ……この簒奪者」
「貴様、こんなことをしてただで済むと思っているのか!」
(いくら『王国の陰』と言われているインベック家でも、現宰相である私に危害を加えたとあれば無事では済まないぞ!)
日が昇ってすぐの爽やかな空の下、ノルベルトを見た私はたまらず声を荒げる。
すると、王城前にノルベルトの貴族とは思えない品の無い高笑いが響き渡った。
「ギャハハハッ! 私の駒にあっさりと捕まった愚民に言われても、何の説得力もありませんね!」
「っ!!」
ノルベルトの言葉に下唇を噛んだ私は、そっと周りを見回した。
(私とマーティス以外の人間は、全員ノルベルトの傀儡と化しているのか……まずいな、私一人ならまだしも、マーティスまで傀儡にされるわけにはいかない)
「安心してください。そこにいる御者も、遅かれ早かれ私の傀儡になります」
「っ!」
私の視線に気づいたのか、満足げな笑みを浮かべたノルベルトが私に顔を寄せる。
「さて、あなたにお願いがあります」
「何だ?」
(どうせ、ろくでもないお願いなのだろうが)
警戒心を強める私に、下卑た笑みのノルベルトが人差し指を立てた。
「私に、宰相の座を明け渡してください」
「っ!? そんなこと、出来るわけ……」
「まっ、あなたが間髪入れずに断るのは分かっていたので」
そう言って顔を離したノルベルトが、意味あり気な笑みを浮かべる。
「取引をしましょう」
「取引だと?」
「そう、取引です」
『取引』という言葉を聞いた瞬間、私は自分にとって大切なものが天秤にかけられたのだと悟る。
(強欲なこいつが、まともな取引なんてするはずがない)
そして、その勘は間違っていなかった。
「あなたが宰相の座を明け渡せば、家族には一切手を出しません」
「っ!?」
「ただし、あなたが明け渡さなければ……」
楽し気に嗤うノルベルトが、親指を立てると自分の首に横一線を引いた。
「家族もろとも公開処刑をした上で、サザランス公爵家を『ペトロート王国の最大の汚点』として没落させましょう」
「っ!!!!」
ノルベルトの口から『家族』という言葉が出た瞬間、頭の中が真っ白になり、体を巡る血が通っていない感覚に陥った。
(家族を手にかける、だと?)
すると、顔面蒼白の私を見たノルベルトが再び下品な笑い声を上げる。
「ギャハハハハハッ! そうだよ! あんたのそういう絶望した顔が見たかったんだよ!」
「っ!! ノルベルト、貴様ぁ!!!!」
「おっと」
「グハッ!!」
「マーティス!」
ノルベルトに噛みつこうとした時、横からマーティスの呻き声が聞こえた。
慌てて横を見ると、虚ろな目の騎士が組み敷いているマーティスの片手に剣を突き立てていた。
「だっ、大丈夫です! 旦那様、私のことは構わず……」
「おやおや、こんなことを言っても良いのですかねぇ?」
「ギャーー!!」
「マーティス!!」
突き立てられた剣に片手を抉られて、涙を流しながら痛みに耐えるマーティス。
そんな彼を見て憎悪の感情に駆られた私は、鬼の形相でノルベルトを睨みつけた。
「ギャハハハハハッ!! 良いね! 良いですねぇ! あなたのそんな余裕の無い顔! それを国民の前で……そして、あなたの目の前で家族がしていたら、一体あなたはどんな顔をしてくれるですかねぇ!!」
「貴様――――!!!」
(許さない! 絶対に許さない!! 例え、国王陛下が許したとしても、私だけでは絶対許すものか!!!)
楽しそうに嗤うノルベルトに一発くれてやろうと、騎士の拘束から逃れるために必死に体を捩じる。
だが、鉛のように重い騎士から逃れることは出来ない。
(クソッ! これが、拘束魔法だったら私の無効化魔法で打ち消すことが出来た!)
代々、サザランス公爵家に伝わるあらゆる魔法を無効化する魔法。
その魔法が使えないことを歯がゆく思っていると、心底楽しそうに笑っていたノルベルトが突如その笑みを潜める。
そして、再び顔を近づけてきた。
「さぁ、お前が最も愛する家族があの御者のような酷い目に遭いたくなければ、さっさと宰相の座を返せ……この簒奪者」
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